プーチン氏、エネルギー輸出先の多様化指示 欧米以外に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR14EJH0U2A410C2000000/
『【ロンドン=篠崎健太】ロシアのプーチン大統領は14日、石油・天然ガス部門の現状に関する政府の会議に出席し、エネルギー資源について「輸出先を多様化しなければならない」と述べた。欧米諸国がロシア依存の脱却を急ぐなか、売り先としてアジアや中東・アフリカに力点を移すよう指示した。
大統領府によると会議はオンラインで開かれ、閣僚や大統領府高官、エネルギー企業の代表者のほかロシア中央銀行のナビウリナ総裁らが参加した。
プーチン氏は「急成長している南方や東方の市場に一歩ずつ輸出の方向を変えていくという、近年の傾向を固めることが重要だ」と語った。西側へのエネルギー供給は当面減っていくとの認識を示し、売り先を広げるべきだと訴えた形だ。アジア向けの輸出インフラを整備する必要性にも言及した。
ウクライナへの侵攻後、欧米を中心にロシアからのエネルギー調達の中止や依存脱却の表明が広がった。国際エネルギー機関(IEA)は4月の石油市場リポートで、ロシアの石油供給量は5月以降に3月比で日量300万バレル減る可能性があるとの見通しを示した。石油・ガスはロシアの歳入の約4割を占めており、プーチン氏の指示には収入源維持への危機感がにじむ。
欧米を補う形でアジアなどへの輸出が増えれば、戦争の原資を干上がらせることを狙う経済制裁の抜け穴が広がりかねない。ウクライナ侵攻で欧米がロシア産の石油の調達見合わせに乗り出す一方、割安感に着目したアジアなどから引き合いが強まった。IEAによると3月のロシアの原油出荷量は欧米向けが落ち込む一方、ほぼゼロだったインド向けは日量31万バレルに増えた。
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説
この記事にある会議の様子はテレビ放映されたようであり、ロイターによると、「現時点で欧州には合理的な(ガスの)代替品は存在しない」とプーチン大統領は発言。
欧州はロシア産エネルギー供給を断ち切ると発言することによって、価格を押し上げ、市場を不安定にしているという見方を示した。
欧州経済がエネルギー調達におけるロシア依存脱却を一朝一夕に実現出来ないことを見越した強気の発言である。
自国に対する経済制裁は上記の欧州要因ゆえに踏み込み不足のものにとどまらざるを得ないという点で、自信を持っているようにも見える。
販売を今後増やしていく「急成長している南方や東方の市場」には、インドと中国が含まれているのだろう。
2022年4月15日 13:09 (2022年4月15日 14:02更新)
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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説
ロシア産の原油や石炭は欧州に代わる代替先を時間をかけて模索する可能性がある。
ただ天然ガスはパイプライン供給の場合、すぐ代替先がみつけることができず設備投資に時間がかかるだろう。
LNG供給の増加についても設備投資が必要ですぐに増やすのは難しいのではないか。
欧州にとって当面の代替先をノルウェー、米国、カタール、アフリカなどに求めるとしてもやはり追加投資が必要になるのではないか。
いずれにしても欧州が代替先をみつけると、将来的にはエネルギー価格は供給過剰となり価格が大きく低下する可能性もある。そうしたことを予想して設備投資資金があつまるのかどうかにも注目している。
2022年4月15日 12:05 』