習氏「万に一つの失敗もするな」 北京五輪へ厳戒体制

習氏「万に一つの失敗もするな」 北京五輪へ厳戒体制
緊迫の北京五輪(3)
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『「万に一つの失敗もするな」。冬季五輪を間近に控えた中国の首都、北京市。国家主席(総書記)の習近平(シー・ジンピン)はこう檄(げき)を飛ばす。1月4日には市内の五輪会場を視察し、新型コロナウイルス禍での開催に向けて厳戒態勢を敷くよう求めた。

【前回記事】
・「北京五輪出られなくなる」 移動リスク、選手の受難

習にとって、2022年は重要な一年となる。秋に控える5年に1度の共産党大会では、建国を実現した毛沢東に次ぐ地位を狙って異例の3期目入りをうかがう。権力基盤を固めるうえでも、その前哨戦ともいえる五輪での混乱は許されない。

それだけに、感染拡大の阻止は必達目標といえる。成否のカギを握るのが、感染の連鎖を完全に止めようとする「ゼロコロナ政策」の徹底だった。

開催日が近づくにつれ、警戒レベルは上がる。陝西省西安市で21年12月に事実上の都市封鎖(ロックダウン)を断行。北京に隣接する天津市では今年1月に約1400万人の市民全員を対象に3回のPCR検査を実施し、工場停止にも踏み切った。

鉄壁の守りにもほころびがみえる。15日には北京でも変異型「オミクロン型」の感染者が確認され、五輪・パラリンピックの観戦チケットを一般販売しないことも決まった。「厳守・死守を徹底し、五輪の感染対策を全力で進める」。北京市幹部の言葉には、習指導部の強い危機感と焦りがにじむ。

混乱の火種はコロナにとどまらない。新疆ウイグル自治区のウイグル族や女子テニス選手の彭帥が性的被害を受けた疑惑といった人権問題も浮上する。米英豪などは相次いで政府幹部らを北京に派遣しない「外交ボイコット」を決めた。

中国は「人権問題は存在しない」との立場を崩さない。海外の批判や制裁にも、外務省の報道官は「強烈な不満」を繰り返すばかり。彭についても国際オリンピック委員会(IOC)会長のバッハらとの「面会」で、早期の幕引きを図った。

それどころか、大会を通じて新疆ウイグル自治区製の商品のアピールにも乗り出す。「中国選手団専用の防寒服のために、新疆の最高の原材料を使った」。衣料メーカーで総経理を務める李海宏は、五輪用に2000着余りの製造を請け負った。

主役であるはずの選手以外が目立つ今回の五輪。「スポーツの政治問題化に反対する」。国務委員兼外相の王毅(ワン・イー)の言葉はむなしく響く。(敬称略)

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