https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2906K0Z20C21A1000000/
『【ニューヨーク=吉田圭織】国連のグテレス事務総長は28日、ニューヨークの国連本部で記者会見し、緊張が続く米中関係について「リセットを願っている」と述べた。気候変動対策など国際社会が直面する課題で協力するよう両国に呼びかけた。
グテレス氏は、米国と中国は「人権を巡る視点は完全に相違している」と述べ、「共通するビジョンの余地はない」と指摘した。中国によるウイグル族の弾圧を「国際法上のジェノサイド(民族大量虐殺)にあたる」と認定したトランプ前政権の立場をバイデン新政権が維持するなど、人権を巡る米中の対立は続きそうだ。
一方、グテレス氏は両国に対し「気候変動対策など共通の関心事について、国際社会と共に取り組んでほしい」と呼びかけた。11月の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に向けた両国の取り組みに期待していると話した。
また、世界経済やインターネットの分裂を避けるために、米国と中国には「貿易や技術について真剣に話し合うよう求める」と述べた。
米中関係はトランプ前政権下で冷え込み、両国が拒否権を持つ国連の安全保障理事会は機能不全に陥った。新型コロナウイルスの世界的流行を受けて、医療支援が紛争地に届くようグテレス氏が呼びかけた「新型コロナ停戦」を支持する決議は、米中の対立で採択が大幅に遅れた。
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