https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1731I0X11C20A2000000
『インドで農産物取引を自由化する農業の新法を巡る大規模なデモが発生してから26日で1カ月を迎える。モディ首相は25日の演説で「農家は以前より稼げるようになる」と主張したが、農家側は収入減少などに不安を募らす。デモは1日数万人規模に膨らんでおり、抗議が収束しなければモディ氏の政権運営に打撃を与える可能性がある。
モディ氏は「農家は自由に好きな場所で農産物を販売できる。農家は新法で保障を得られる」と強調…』
・「新法の間違った情報が広がっている。農家が農地を失うような事態にはならない」と力を込めた。農家向け演説は12月に入って2度目だが、不安を解消できるかどうかは不透明だ。
・9月に施行された農業の取引や契約を巡る新法は、大都市のスーパーなど様々な場所で自由な取引を可能にした。従来、農産物の販路は地域の卸売市場に限定していた。農家は民間業者に買いたたかれることに加え、政府の米や小麦を対象にした最低価格保証の撤廃などに不安を示している。
・11月26日に始まったデモを巡り、政府と農家の代表者は5回にわたり協議の場を設けた。政府は法律の一部を修正する妥協案を示したが、新法の完全な廃止を求める農家側は拒絶。12月上旬に予定された6回目の協議は開催されず、政府と農家の亀裂が深まっている。農家は23日に「意味のない法律の修正ではなく、具体的な提案を求めている」と政府に要望した。
・人口13億人強のインドでは就業者の半数を農家が占める。モディ政権の大票田で、農家の意向には一定の配慮を示してきた。11月に署名された東アジア地域の包括的な経済連携(RCEP)からインドが離脱したのは、ニュージーランドなどから安価な酪農製品の流入増加を嫌がる農家の声を聞き入れたためだ。
・デモに参加している農家はインド北部のハリヤナ州やパンジャブ州から主に集まり、デリー州境の道路を封鎖する動きも見せる。州境の複数の地点にテントを建てて座り込みを続け、物流網にも影響が及んでいる。
・印メディアによると、デモによる死者は20人以上にのぼるという。新型コロナウイルスの影響でインドの景気が低迷するなか、農家のデモが長引くと政権運営が不安定になる恐れがある。(馬場燃)