https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE233VB0T21C20A2000000
『在中国日本大使館が1989年、学生らの民主化運動を通じて中国の政治改革が進むと楽観的な見通しを示していたことが23日公開の公電や極秘文書などで明らかになった。「中国の民主化は将来への流れ」と改革・開放政策に期待する報告をしていた。
外務省が一般公開した外交文書
中島敏次郎駐中国大使は5月18日の公電で、宇野宗佑外相に前日の大規模デモなど一連の動きによって「共産党指導部の権威が大きく揺らいだことは疑いない。体制の民主化、政治体制改革へ向けて強い圧力となって働く」と伝達した。
日本大使館は31日付で作成した「学生運動と趙紫陽の失脚」と題する報告では「民主化は中国の将来への流れ」と明記。民主派らの動きにも十分注意を払うよう訴えた。
天安門事件後の6月14日の三塚博外相宛ての公電では、中島氏は民主派への武力弾圧を受け「エネルギーがかえって増幅した。機会を見て再び爆発する危険性は常に存在していく」と主張した。
一方、外務省中国課は6月28日付の極秘文書で改革・開放政策を続けるしか選択肢がないとして「長い目」で中国を見守るよう求めた。「民主化要求の力を過大評価することは誤り。農民を中心に中国人の大多数は政治的自由に無関心」と強調。孤立化させると、中国はソ連と連携を強化するとして制裁に反対した。
ソ連課長は6月20日付の極秘文書で、共産主義の一党独裁体制下における民主化の限界を指摘。「ソ連の『民主化』も西側諸国とは根本的に異なりペレストロイカ(改革)を遂行するための手段だ」と断じた。〔共同〕』