「強力に人権(自由)が制約されている例」…。

 ※ 次に、「強力に人権(自由)が制約されている例」について、見ておこう…。
 刑法の条項だ…。

『第三章 外患に関する罪
(外患誘致)
第八十一条 外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は、死刑に処する。
(外患援助)
第八十二条 日本国に対して外国から武力の行使があったときに、これに加担して、その軍務に服し、その他これに軍事上の利益を与えた者は、死刑又は無期若しくは二年以上の懲役に処する。
第八十三条 削除
第八十四条 削除
第八十五条 削除
第八十六条 削除
(未遂罪)
第八十七条 第八十一条及び第八十二条の罪の未遂は、罰する。
(予備及び陰謀)
第八十八条 第八十一条又は第八十二条の罪の予備又は陰謀をした者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
第八十九条 削除』

 ※ 外患誘致罪なんて、法定刑は「死刑」だけだぞ…。「無期懲役」ですら規定されていない…。
 だから、「死刑廃止論」を声高に唱える人には、気をつけた方がいい…。もしかして、暗に「外患誘致罪」の廃止を狙っているのかもしれない…。そこいら辺を、よくよく見極めないとな…。
 その周辺罪として、「外患援助罪」というものもある…。こっちも、「死刑又は無期若しくは二年以上の懲役」だから、相当な「重刑」だ…。
 さらには、「外患誘致罪」「外患援助罪」は、「未遂罪」も処罰される…。
 そればかりでは無い…。両罪の「予備罪」さらには、「陰謀罪」も処罰される…。「予備罪」とは、一定の「予備行為」を必要とする…。「陰謀罪」だと、そういう「予備行為」すら必要無い…。
 「陰謀」する行為だけで、処罰される…。まあ、そういう「陰謀」が発覚して、逮捕される…、なんて事態は、ごくごく稀なケースだろうがな…。

『第二章 内乱に関する罪
(内乱)
第七十七条 国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する。
一 首謀者は、死刑又は無期禁錮に処する。
二 謀議に参与し、又は群衆を指揮した者は無期又は三年以上の禁錮に処し、その他諸般の職務に従事した者は一年以上十年以下の禁錮に処する。
三 付和随行し、その他単に暴動に参加した者は、三年以下の禁錮に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。ただし、同項第三号に規定する者については、この限りでない。
(予備及び陰謀)
第七十八条 内乱の予備又は陰謀をした者は、一年以上十年以下の禁錮に処する。
(内乱等幇助)
第七十九条 兵器、資金若しくは食糧を供給し、又はその他の行為により、前二条の罪を幇助した者は、七年以下の禁錮に処する。
(自首による刑の免除)
第八十条 前二条の罪を犯した者であっても、暴動に至る前に自首したときは、その刑を免除する。』

 ※ 内乱罪は、「目的犯」だ…。「国の統治機構を破壊」する目的や、「その領土において国権を排除して権力を行使すること」を目的や、「その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱すること」を目的としていることを必要とする。そういう「目的」で、「暴動する」と内乱罪となる…。
 この犯罪は、そういう目的での「暴動」における、果たした「役割」に応じて、処罰されるのが特徴だ…。
 「首謀者」「謀議参与者・群衆指揮者」「付和随行者・単なる暴動参加者」に分かれて、処罰される…。
 「首謀者」は、「死刑または無期禁錮」だ。「懲役」でなく、「禁錮」になっているのは、「政治・信条」において行動に出た場合があり、そういう「政治犯」の場合は、「名誉刑」としての「禁錮刑」が適切だ…、と考えたからだ…。「禁錮刑」だと、刑務所内でムリヤリ働かせられる…、ということは無いから、独房で寝っ転がって、差し入れの「本」ばかり読んでいることも、できる…(むろん、「検閲」は、されるだろうがな…)。

『第八章 騒乱の罪
(騒乱)
第百六条 多衆で集合して暴行又は脅迫をした者は、騒乱の罪とし、次の区別に従って処断する。
一 首謀者は、一年以上十年以下の懲役又は禁錮に処する。
二 他人を指揮し、又は他人に率先して勢いを助けた者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。
三 付和随行した者は、十万円以下の罰金に処する。
(多衆不解散)
第百七条 暴行又は脅迫をするため多衆が集合した場合において、権限のある公務員から解散の命令を三回以上受けたにもかかわらず、なお解散しなかったときは、首謀者は三年以下の懲役又は禁錮に処し、その他の者は十万円以下の罰金に処する。』

※ 騒乱罪は、上記のような「日本国の存立を危うくする」とか、「日本国の統治秩序を転覆させる」とかの「大それたことを考えずに」、単に「大きな騒ぎ(騒乱)を起こしたケース」を、処罰するものだ…。
 「多衆で集合して暴行又は脅迫」と言っているが、「一地方の平穏を害する程度」に達することを要する、と解されている…。まあ、そうとう程度の警察官・機動隊員(銃器で武装している場合、場合によっては、自衛隊…。その前に、SATか…)を投入しないと鎮圧できないような程度だろうな…。
 以下に、日本の有名な「騒乱事件」を挙げておく…。興味がある人は、見てくれ…。

騒乱罪
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A8%92%E4%B9%B1%E7%BD%AA

血のメーデー事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%80%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%BC%E4%BA%8B%E4%BB%B6 

大須事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%A0%88%E4%BA%8B%E4%BB%B6

吹田事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%B9%E7%94%B0%E4%BA%8B%E4%BB%B6

平事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6

新宿騒乱(※いわゆる「新宿事件」)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E5%AE%BF%E9%A8%92%E4%B9%B1