日本近海で陸海自衛隊とアメリカ海軍が共同訓練を実施

「日本近海で陸海自衛隊とアメリカ海軍が共同訓練を実施」(2019年1月15日 17時0分 おたくま経済新聞)

 https://otakei.otakuma.net/archives/2019011504.html

『1月13日、輸送艦「くにさき」は、九州西方海域において、米海軍強襲揚陸艦「アメリカ」と日米共同訓練を行いました。「アメリカ」は、昨年12月に米海軍佐世保基地に配備され、海上自衛隊との訓練は今回が初めてです。
本訓練を通じ、海自と米海軍との水陸両用作戦に係る相互運用性の向上を図りました。』
https://twitter.com/JMSDF_PAO/status/1217714000911224832

くにさき (輸送艦)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8F%E3%81%AB%E3%81%95%E3%81%8D_(%E8%BC%B8%E9%80%81%E8%89%A6) 

輸送艦くにさきは、「おおすみ型」輸送艦の3番艦だ。

「おおすみ型」輸送艦については、前に投稿を上げた。

「おおすみ」とLCACについて
https://http476386114.com/2019/06/22/%e3%80%8c%e3%81%8a%e3%81%8a%e3%81%99%e3%81%bf%e3%80%8d%e3%81%a8%ef%bd%8c%ef%bd%83%ef%bd%81%ef%bd%83%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/

「おおすみ」とLCACについて(その2)
https://http476386114.com/2019/06/24/%e3%80%8c%e3%81%8a%e3%81%8a%e3%81%99%e3%81%bf%e3%80%8d%e3%81%a8%ef%bd%8c%ef%bd%83%ef%bd%81%ef%bd%83%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6%ef%bc%88%e3%81%9d%e3%81%ae%ef%bc%92%ef%bc%89/

日本国における「大人の事情」が、満載されている「輸送艦」だ…。

※ 今回、後部のハッチを開けて、船腹に収納しているLCACがよく分かる画像に当たったんで、貼っておく…。

ポイントを再述すると…

1、ヘリコプターが発着艦できる「飛行甲板」を有するが、船腹に「艦載ヘリ」用のエレベーターを備えておらず、艦載ヘリを搭載することは、できない…。

2、「飛行甲板」は、耐熱素材になっておらず、オスプレイが発着艦する場合には、「移動式耐熱板」を敷く必要がある…。

さらに今回、

3、『船体設計は軍艦構造ではなく一般の商船ベースとされており、艦首の揚錨機も一般舶用品である[7]。就役時は赤色の艦底塗料が喫水線下まで塗られていたが、就役後に喫水付近は黒色に塗りなおされている。』というものも、発見した…。

それでも、「有事」の際には役に立つと見え、米軍も一定の役割を期待しているようだ…。それで、そういうことに備えて、おさおさ怠らず、「共同訓練」をしているんだろう…。

各艦それぞれ「機関」が異なり、出せる速度も異なるから、同一方向に、同一速度で走らせるだけでも大変だ…。予定された「作戦行動の場所」へ、「同一時刻に」到着できないと、集団としての力(ちから)は出せないからな…。

『変わって1月14日、東シナ海へと進んだグリーン・ベイは、今度は陸上自衛隊第15ヘリコプター隊との共同訓練に臨みました。陸上自衛隊のヘリコプターがアメリカ海軍の艦艇に着艦する訓練です。
 陸上自衛隊からは、沖縄県の那覇駐屯地に所在する第15旅団・第15ヘリコプター隊第1飛行隊のUH-60JAと、第2飛行隊のCH-47JAが参加。ドック型輸送揚陸艦グリーン・ベイの後部飛行甲板を使って発着艦訓練を行いました。
 普段は動かない陸上で発着している陸上自衛隊のヘリコプター。このため、絶えず移動するだけでなく、波によって揺れる(水平でない)場所に降りるという訓練が必要になります。そして大規模な災害救援活動など、日米が連携して対処する場合、海上自衛隊の艦船だけでなく、活動地域の近くにいるアメリカ海軍の艦船に一時お世話になる事も考えられます。これはそういう事態を想定した訓練なのです。』

※ 「大規模な災害救援活動」に焦点を当てた書き方をしているが、そういう場合だけでは無いだろう…。それでも、「おおすみ型」輸送艦は艦載ヘリを搭載しないから、ヘリの部隊は必ず他部隊からやって来る…。今回は、陸自の第1飛行隊と第2飛行隊が参加したようだ…。しかも、「くにさき」では無く、米軍の「グリーン・ベイ」への発着艦訓練を行ったようだ…。画期的な話しだ…。それだけ、「キナ臭い」状況になっている、と言うことだろう…。

※ グリーン・ベイについて、もう少し詳しく調べた…。

グリーン・ベイ (ドック型輸送揚陸艦)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%99%E3%82%A4_(%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E5%9E%8B%E8%BC%B8%E9%80%81%E6%8F%9A%E9%99%B8%E8%89%A6)

サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦 ( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%8B%E3%82%AA%E7%B4%9A%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E5%9E%8B%E8%BC%B8%E9%80%81%E6%8F%9A%E9%99%B8%E8%89%A6 )
 『設計にあたっては、アメリカ海軍の揚陸艦として初めてステルス性への配慮が導入された。特にマストについては周囲が八角柱に近い構造のパネルにより覆われた先進型閉囲マスト/センサーとなっており、外部からのレーダー波を反射し、自艦の電波は透過するようになっている。前檣の頂部ドームにはAN/SPQ-9B低空警戒レーダー、本体内にはAN/SPS-73(V)13対水上捜索レーダーが、また後檣にはAN/SPS-48E3次元レーダーが装備される[2]。これらの配慮により、レーダー反射断面積(RCS)はオースティン級の1パーセント程度にまで低減されている[1]。』
 『LPDはもともと強襲揚陸艦に近い性格を備えていた[3]ことから、本級も優れた航空運用能力を備えている。上部構造物の後端はハンガーとされており、MV-22Bティルトローターであれば2機、CH-46E輸送ヘリコプターであれば4機を収容できるほか、AV-8B垂直離着陸機の支援も可能である。また艦尾甲板はヘリコプター甲板とされており、発着スポット2個が設定されている。またヘリコプター甲板直下のウェルドックはオースティン級と同程度の面積であり、LCACであれば2隻、LCUであれば1隻、AAV7であれば14両を収容できる[1]。』 と言うようなものだ…。

※ もっと凄いのは、その運搬能力(兵站支援能力)だ…。『物資搭載能力は963m3であり、また弾薬についてはパレット搭載分708m3、弾薬庫1,007m3に収容できる。このほか、ジェット燃料(JP-5)1,196m3、ガソリン38m3も搭載できる。また逆浸透膜による海水淡水化装置5基を備えており、それぞれ毎日45,000リットルの真水製造能力を備えている[1]。
病院船機能として、手術室2室と病床24床が設けられており、また必要であれば更に病床を100床に拡張することができる[1]。』

※ 内部の透視図は、こんな感じ…。

※ 佐世保に入港した時の様子…。車との比較で、そのデカさが分かるな…(※ 画像元のサイトです。 最新鋭揚陸艦「グリーン・ベイ」が初入港(「戦車のブログ」) https://ameblo.jp/tank-2012/image-11992125852-13223231199.html )

米海軍の輸送揚陸艦グリーン・ベイ 沖縄のホワイトビーチ入港(2020年1月20日 15:00)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/524030 

※ しかし、こういうものが来ていると言うことは、いつでも「実戦」に移行できると言うことだ…。それとも、米軍は、世界中で「直ちに、実戦に移れるような臨戦体制に、常時ある。」と言うことなのか…。

『くにさきなど、海上自衛隊のおおすみ型輸送艦はヘリコプターの発着ができるような全通式の飛行甲板を備えていますが、あくまでも「輸送艦」なので航空機を管制・誘導する要員は乗り組んでいません。しかしアメリカ海軍の揚陸艦は、水陸両用作戦で航空支援を行う関係上、常に飛行甲板要員が乗り組んでいます。見かけは同じように見えても、艦種が違うため、実際の運用には違いがあるのです。第15ヘリコプター隊長の坂本貴宏一佐は、グリーン・ベイの航空艦橋から訓練の様子を見守りました。
これらの共同訓練を通じ、海上自衛隊と陸上自衛隊はより多くの経験を積んで練度を向上し、即応性を高めるとともに日米の連携を深めました。』

※ 重要なことが、書かれている…。

何でもそうだが、「物(モノ)」は割と簡単に作ることができる…。しかし、それを操作・運用する「人材」を、訓練・育成・選抜するのは、大変だ…。米軍の「原子力空母10隻」体制は、そういう人材5万人が支えている…。さらに、そういう人材を指揮する「指揮官」が、支えている…。そして、そういう人材を生み出す「訓練・育成・選抜のシステム」こそが、本質だ…。モノだけ作って浮かべたところで、兵隊の頭数だけ揃えてみたところで、空しいだけの話しだ…。