※ 『ついに中央日報も半年後の9月23日の米韓首脳会談を報じるにあたっては「同盟の危機」を指摘せざるをえなくなりました。誰が見ても、韓国がまともな同盟国として扱われていないことが明白になったからです。
同紙の社説「『空っぽ』の韓米首脳会談で先が見えない韓米同盟」(9月25日、日本語版)はトランプ、文在寅両大統領の間で日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の話題が一切出なかったことに「同盟の終焉」を見いだしました。以下です。
・11月には韓米同盟の重要な基盤であるGSOMIAが破棄される。GSOMIAが中断されれば韓米連合防衛体制に決定的な亀裂が生じる。それでも両首脳は今回の会談で同盟復元のための可視的な結果を出すことができなかった。GSOMIAは議題にもならなかった。
この会談でトランプ大統領がGSOMIA破棄の翻意を促すだろうとの観測が韓国では一般的でした。日―米―韓の3国軍事協力の象徴でもある重要な協定だから、破棄を表明した韓国に翻意を促すであろう。そうなったら日本の輸出管理強化の問題を持ち出し、米国を通じて撤回させよう――との計算もあったようです。
――韓国はすっかり、計算が狂った……。
鈴置: 計算違いどころではありません。「米国が日韓GSOMIAを復元しようとしない」のは「日―米―韓の3国軍事協力を重要視しない」ことであり、ひいては「米韓同盟の存続に関心がない」ことを示唆します。
トランプ大統領から「日本とのGSOMIAを続けよ」と叱られるのならまだよかった。叱られているうちはまだ「味方」扱いされているからです。叱られもしないのは見捨てられた証拠なのです。』
『――韓国はどうするのでしょうか。
鈴置: 文在寅政権は大声では言いませんが、「核を持つ北朝鮮と手を組めば『民族の核』を当てにできる」と考えています。2020年から韓国海軍は垂直発射管を持った3000トン級の潜水艦を実戦配備します。
10月2日に北朝鮮はSLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)を試射しました。ただ、弾道ミサイルを発射できる垂直発射管を備えた潜水艦はまだ、配備していません。建造中と北朝鮮は発表していますが、その技術・資金力から見て実際に運用できるかは怪しい。
敵の核先制攻撃に耐え、核で反撃できる第2撃能力――弾道ミサイル発射型の潜水艦を持たねば、本当の意味で核武装国にはなれません。
文在寅政権は北朝鮮に対し「南の弾道ミサイル発射型潜水艦と、北の核弾頭・ミサイルを組み合わせれば『民族の核』を完成できる」と持ちかけるつもりでしょう。
すでに、北朝鮮は韓国に対し「北の核と南の経済力を合わせ、民族を興そう」と提案しています(『米韓同盟消滅』第1章第4節「『民族の核』に心躍らせる韓国人」参照)。
文在寅政権は大統領以下、「米韓同盟こそが諸悪の根源」と考える人たちで占められています。「同盟廃棄」と「北の核武装維持」をセットで実現したい。そんな彼らにとって「同盟廃棄」に抵抗感を持たないトランプ大統領の登場は千載一遇のチャンスなのです。』