脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論 Kindle版
https://www.amazon.co.jp/dp/B09XV35SNR?psc=1&tag=vortexdrive-22&th=1&linkCode=osi
※ 今日は、こんな所で…。
『細胞の塊にすぎない脳に、なぜ知能が生じるのか?
カギは大脳新皮質の構成単位「皮質コラム」にあった。
ひとつの物体や概念に対して何千ものコラムがモデルを持ち、次の入力を予測している――脳と人工知能の理解に革命を起こす「1000の脳」理論、初の解説書』
『出版社からのコメント
知能の謎を解くカギは、大脳新皮質の構成単位「皮質コラム」にあった。
/あなたが動くと感覚入力が変わる。それを観察することによって、脳は世界のモデルを学習する。
モデルの基礎をなすのは、物体の位置とその変化を記述する「座標系」である。
あらゆる皮質コラムに座標系をつくる細胞があり、あらゆる皮質コラムがモデルを持つ。
/いま、あなたの目の前にコーヒーカップがあるとする。それをつかもうと手を伸ばすとき、コーヒーカップのモデルを持つ何千ものコラムが、次にどんな入力があるかを予測している。
手ざわり、重さ、温度、机にもどしたときに立てる音……。あなたの知覚とは、コラム間の「投票」によってたどり着いた合意である。
/このメカニズムは、物体の認知にとどまらない。民主主義、人権、数学、すべての概念は座標系内に保存される。思考とは、座標系内を動きまわることに他ならない。
著者について
著者紹介
ジェフ・ホーキンス(Jeff Hawkins)
1957年生まれ。神経科学者、起業家。神経科学とAI(人工知能)の研究を行なうヌメンタ社の共同創業者、チーフサイエンティスト。
1979年にコーネル大学で電気工学の学士号を取得後、インテルのソフトウェア・エンジニアとして数年間働く。
1986年にカリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)で神経科学の博士課程に進んだが、大学という組織のなかで脳を総合的に研究することの壁に突き当たってシリコンバレーに戻り、1992年にパーム・コンピューティングを設立。
現在のスマートフォンの先駆けとなる携帯情報端末「パームパイロット(PalmPilot)」を開発した。
2002年、レッドウッド神経科学研究所を設立。
2005年、同研究所をUCバークレーに移管するとともに、ヌメンタを設立。
ホーキンスのアイデアはアンドリュー・エンや松尾豊らAI分野の著名人に影響を与え、各方面から称賛を集めている。他の著書に『考える脳 考えるコンピューター』(サンドラ・ブレイクスリーとの共著)がある。
訳者略歴
大田直子(おおた・なおこ)
翻訳家。東京大学文学部社会心理学科卒。訳書にドーキンス『さらば、神よ』『魂に息づく科学』、イーグルマン『あなたの脳のはなし』『あなたの知らない脳』、ムッライナタン&シャフィール『いつも「時間がない」あなたに』、リドレー『繁栄』『進化は万能である』(ともに共訳)、サックス『意識の川をゆく』『音楽嗜好症』(以上早川書房刊)ほか多数。』
『Am͜a͉zon カスタマー
5つ星のうち5.0 真に知的なAIを作る
2023年2月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
Deep LearningやGPT-3は、私達へ明確なAIの未来を提示してくれた。しかし、真に知的な存在となるにはもうあとワンステップが必要なのだ。
彼はその方法論を示した。大脳新皮質をシミュレートするために必要な皮質コラムの役割りと、それらのオブジェクトがマッピングされる必要性をである。
間違えてはならないのが、目的は人間の脳を再現することではなく知的とはどういった構造で実現出来るのか?なのだ。
ここに書かれていることはほんの基礎でしかないが、未来へ着実に進むための一歩となる。あとは神経生理学の知見が勝手に後押ししてくれるだろう。
2050年以降の汎用AIが当たり前となった時代。この本に書かれていることはもはや常識となっているだろう。 』
『かなえるゾウ
5つ星のうち4.0 脳に関する理解は、「シーケンスから座標」、「階層から投票」へと進化した
2024年3月22日に日本でレビュー済み
脳の新皮質は、平たく伸ばすと大きめの食事用ナプキンぐらいの大きさで、厚さは約2.5mm程度である。
厚さ方向に伸びるニューロンは、その密度と種類、およびそのつながり方の違いによってだいたい6層に区分され、平面方向には、同類の情報の伝えるニューロン束から構成される断面1平方mmの柱状構造(コラム)に分割される。
1コラムあたりのニューロンはおよそ10万、シナプスは5億、シナプスへ信号を送る軸索とシナプスから信号を受け取る柱状突起は数kmに及ぶ。
このコラムは境界があまり明確ではないが、さらに顕微鏡で識別できる100あまりのミニコラムに分割できる。
このようなニューロンの分布は視覚野、言語野、触覚野などの各領域を比較してもよく似ていて、存在する神経細胞の種類やその割合に若干の違いを有する程度である。
また、各領域のコラムから出力される信号は、別のコラムにつながっている。
2005年に出版された前著『考える脳考えるコンピューター』では、ニューロンの下位側(感覚野)から入力された信号の変化によって生成されるパターンが上位側に記憶されているパターンとの比較によって、次に発生する信号を予測し、確実に予測できる状態であれば、それが新たなシーケンスのパターンとして記憶される。
もし、満足な予測ができなかった場合には、その信号は、さらに上位の階層に伝えられて、より高次のレベルでの予測が試みられるとみなされていた。
このようなパターンを予測する処理は、自然言語や音楽など時系列(シーケンシャル)なイメージが強かった。
これに対して、本書『脳は世界をどう見ているか』では、前著で述べられていた神経回路による時系列的なパターン(シーケンス)の予測処理の上位処理として、感覚入力により得られた特徴に対応する場所細胞と自ら動くことにより得られる位置に対応する格子細胞との間のやりとり(予測)が何千もの位置で同時に行われることによって得られる座標的な認識、さらに頭方位細胞が加わることによって得られる物体の構造や現在位置から目標への行き方や、より抽象的な概念の構造が得られる過程が説明されている。
(ただし、現時点では、個々のニューロン活動がどのようにして場所細胞、格子細胞、座標系の概念に至るかは不明。)
さらに、前著で述べた特徴(パターン)検出の処理が、人間の視覚に代表されるように上位領域と下位領域の間の階層的なものとして説明されていたが、実際には、ほとんどの領域が異なる多くのレベルの階層とつながっていることがわかってきた。
その結果、階層的な関係ではなく、むしろ並列関係にある多数のコラムが各々のモデルによって予測された特徴を投票し、その中から最も頻度の高いものを選ぶことによって、物体の3次元構造や物体の構成、変化やふるまいを理解できると考えている。(1000の脳理論)
以上に述べた座標や投票にもとづいたシステムは、世界モデルと呼ばれている。
この投票にもとづく説は、ニューロン構造において、細胞体に遠い樹状突起に位置する隣り合った20個程度のシナプスが同時に入力を受けたときに、はじめて細胞体の電位が高まって予測状態となり、かつ細胞体に近い樹状突起上のシナプスに入力を受けたときに、細胞体は軸索を経由して他のニューロンに信号を出力することが観察されている事実と符合する。
すなわち、この事実は、予測はニューロン間の階層ではなく、ひとつのニューロン内で行われていることを示している。
もっと少なく読む
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
Kindleのユーザー
5つ星のうち5.0 納得のいく説明
2022年9月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
脳が認知を組み立てていて、それ故に、私達の意識も生まれている。我思う故に我あり、というよりも、我認知す、故に我あり。脳には身体の感覚器官から情報がひっきりなしにフィードされていて、脳神経が反応しているが、記録の仕組みとフィルターの仕組みが上手く働いて、認知や記憶が為される。実験に裏打ちされた実証的研究の最新知見が山盛りです。
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
おかけ
5つ星のうち5.0 最新の脳理解から読み解く、人間理解の本
2022年10月2日に日本でレビュー済み
大変素晴らしい本でした。
当方、専門家でもない文系卒ですが楽しく学ばせていただきました。
タイトルこそ脳の構造になっておりますが、最新の人間存在の理解につながる哲学的内容も含有されていると感じます。
本書は大きく二つのパートで成り立っております。
前半は、著者の長年研究の集大成となっていて、
脳を「古い脳」と「新しい脳」に分類し、その新しい脳が担う機能を紹介しています。
「新しい脳」と呼ばれる新皮質の機能構造を、「コラム」「座標系」「投票」という単語を使いながら解説してくれてます。
正直、一読でスッと入ってくる内容ではない(本書で言う”座標系を構築しづらい”)です。
しかし、よく噛んで理解すると、大変納得。
既存の脳理解では解釈に”無理がある”事象に対し、一つの答えを持つことができます。
後半は、前半の理解をもって見た時の機械頭脳(AI・AGI)と人間頭脳の関わりと、
著者が考える私たちの未来についてのパートとなっております。
こちらは”主張”の色が強いですが、このパートも非常に面白いです。
来るシンギュラリティによる機械脅威論に信憑性がないこと、私たちという種がいたことをこの宇宙に遺すための方法など、ワクワクする内容となってました。
著者も何度も繰り返しているとおり、脳の機能について ー特に、人間とその他の生物を隔てる決定的な違いが、脳のどこから生まれるのかー はまだ確証のない分野ではありますが、今人類がたどり着いているフロントラインに立てた気持ちになれる、大変素晴らしい本でした。
θ
5つ星のうち3.0 前半は脳研究の面白い話なのだが、後半が脳とはあまり関係ないただの居酒屋談義になっている
2022年7月25日に日本でレビュー済み
本書は、脳についての新たな理論を提唱している脳科学者による、自身の説の解説書である。
その理論は「1000の脳」理論と呼ばれているものであり、既存の階層的な脳理解ではなく「分散と投票」を軸としている理解である。
筆者は、脳の大きな割合を占める新皮質の役割は、世界の予測モデルを学習することであるという。
予測は個々のニューロンで行われる。そして、予測結果は新皮質内の「座標」と組み合わせられ、そこで多数決投票がとられる形でどの予測が最終的に生き残るのかが決まる。
「座標」というのは物理的な位置の3次元空間とは限らず、さまざまな対象に対して適切な形で拡張されて用いられる。
場所や画像などに比べて抽象概念の学習が難しいのは、座標の適切な設定が難しいからだという。
脳の話は筆者の研究成果に基づく(大胆な仮説も含むが)堅実な研究の話で面白い。内容が内容だけになかなか難しいところも多いのだが、それは致し方がないだろう。
だが、後半に進むとどんどん脳と関係のない話になり、堅実な話というより与太話が増えてくる。
まず人工知能に関する話が始まる。脳の特徴は「随時情報取得と学習を行っていることで、現在の人工知能とは大きく違う」というのは正しいし有意義な指摘だと思うが、そこから一足飛びに「現在の人工知能は知能ではない」と結論付けるのは、知能の定義を「人間の脳と同じように動くもの」と(たいした議論もせずに)定義してしまっているからで、これは説得力がない。
知能の定義は非常に難しい問題で、こんな雑な議論で終わらせられるものではないだろう。
筆者が繰り返すAI批判は「脳に似ていない」の一点に尽きているので、脳に似ていないことの何がどう問題なのかを論じていない議論は、脳好きの脳科学者の興味関心に沿ってない以上の意味は見出しにくい。
そこから先はさらに居酒屋談義になっている。例えば錯視によって本当は同じ色なのに色が違って見えるような写真の話と、反ワクチンや地球温暖化懐疑論を同列に並べて議論しており、これはありえない水準の議論だと思う。
反ワクチンや温暖化懐疑論が誤りだというのはそうだとしても、それは錯視で色が違って見えるのとは「正しい/正しくない」のレベルは全然違う話である。
ここでの記述は、反ワクチンや温暖化懐疑論をただ嘲笑する以上の価値のあるものではない(なぜ反ワクチンを信じるか、どうすれば反ワクチンを説得しうるか、のような心理学的な研究はいろいろある。例えば 事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学 )。
それ以降のSF的な話は・・・まあ飲み会で話すのなら大いに楽しいであろう。
前半は面白かったのだが、後半がただただ蛇足であった。
筆者の脳理論はそこまでわかりやすいわけではないので、そこに紙面を使って一貫した著作に仕上げてくれれば非常によかったのに、と残念に思う。
14人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
キュレーターNobu
5つ星のうち5.0 人間とは何者か?改めて考えさせられる一冊
2023年8月15日に日本でレビュー済み
ChatGPTの登場とともに、人工知能(AI)に興味を持った矢先、偶然出会った本書。現在も研究が進められるニューラルネットワークやディープラーニングなどの理論では、決して本来の脳の仕組みには到達出来ないという著者の考察は、衝撃的である。また、単純な視点にこそ真理が宿るという視点は、あらゆる人間生活において役立つ指摘でもある。AIに興味がなくとも、人生を考える上で必読の一冊!
役に立った
レポート
hbspmd
5つ星のうち5.0 脳を知り、AIを知る
2022年5月9日に日本でレビュー済み
筆者のジェフ・ホーキンスは、パームパイロットの産みの親である一方、本当にやりたいことは脳の研究という異色の天才。脳を知り、ITを知る人であるからこそ、その「AI観」には説得力がある。
1992年にインテルの上級社員向けの講演でポケットサイズのパーソナル・コンピュータの将来性を訴えたが、時代を先取りし過ぎて、使い道が想像出来ないと相手にされなかった。その筆者が、今日予測することは、「本物のAI」は人間の脳を手本としてつくられるべきであるということ、それは現在AIと呼ばれる、個別の能力に限定したものではなく、汎用人工知能(AGI)と呼ばれるものであること、機械知能によって人類が滅亡することにはならない、ということなどである。
筆者の稀有壮大な発想は宇宙空間にも及び、その時間軸は人間の時間軸ではなく、地球や恒星のライフの時間軸で考えている。人類が他の惑星に移住する可能性とそれを実現するための技術的な進化についての考察も興味深い。
9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
FS
5つ星のうち5.0 脳を知って人工知能の本質を知る
2022年6月5日に日本でレビュー済み
AIに興味があり本書を読みました。
はじめはAIというよりも脳科学に重点をおいた書籍なのかと思っていたのですが、思ったよりもAI技術にも深く関連した内容で知的好奇心をたっぷりと満たしてくれました。
AIに興味ある人にもおすすめ。
むしろ読んでほしいと思えるおすすめの一冊です。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
OhTakkeyT
5つ星のうち5.0 序文を読んで期待したら
2022年11月2日に日本でレビュー済み
序文を読むと期待しちゃうのだが、第1部については専門的な部分も多く若干難解で読み進めるのに苦労しました。但し、第2部「機械の知能」からはAIの部分となり、具体的な部分もイメージしやすくそこからは一気に読み進めてしまった。読み進めるうちにあと少しで終わってしまう気持ちが強くなった。本体価格¥2,600
しますがそれだけの価値はありました。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
暗号牛
5つ星のうち5.0 すさまじく面白い
2022年6月22日に日本でレビュー済み
今年読んだ本の中で、今のところ文句なしに一番おもしろかった。
リチャード・ドーキンスが序文で述べているように、本書はダーウィンの「種の起源」に匹敵し得る本だと私も感じた。
もちろん今後の科学的検証が必要だが、後世から振り返ったとき、本書がそのような立場の本になる可能性は十分あると思う。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
yt
5つ星のうち5.0 納得できたような気もする
2022年9月22日に日本でレビュー済み
完全に理解できていないかもしれないが、本書で提示された理論はもっともらしく思えた。ただ記憶は、皮質だけでなく「古い脳」も大きく関与するのではないかと思う。まだまだ脳の神秘は続くだろう。後半は著者のぶっ飛んだアイデアが満載で、自分でも考える材料になる。人類の遺産を残すプロジェクトは、莫大な予算と資源を使う壮大な道楽のようだ。しかし、人類の終活を考えるのはいい。核戦争のような悲劇的終焉でなく、徐々にフェードアウトするような終わり方はできるだろうか。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
TaHi
5つ星のうち5.0 脳は遺伝子を凌ぐ潜在性がある事を感じました
2022年6月12日に日本でレビュー済み
ジェフ・ホーキンス「脳は世界をどう見ているのか」読了。大脳新皮質の構造と役割は座標平面で捉えられるという理論は大変興味深く斬新だった。また、新皮質と旧代の脳幹の隔たりは、ダニエル・カーネマンのスロウとファストな思考と対比して考えると効率良く深く思考するヒントになるのかもしれない。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
あまぞん
5つ星のうち1.0 どこがおもしろいのかわからない
2022年8月8日に日本でレビュー済み
高評価のレビューが多いが、どこが良いのかまったくわからない・・・
著者は、脳はシミュレーションし予測するのが本来の機能で、予想外のことが起きると慌てて脳全体が活発に動き始めるようなことをテーマにGPS的な位置関係の脳細胞の反応などを研究しているようだが、それでは何故自我意識があるのかの説明がまったくなかったように思う。
まるで、ミツバチの8の字ダンスはどういう規則になっているのか研究しているのと同じような感じがして、斬新なアイデアやインスピレーションは得られなかった。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
caritas77
5つ星のうち5.0 本の構成は、説明しやすい順序にも従っています
2022年6月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
序文
第1部 脳についての新しい理解
第1章 古い脳と新しい脳
第2章 ヴァーノン・マウントキャッスルのすばらしい発想
第3章 頭のなかの世界モデル
第4章 脳がその秘密を明かす
第5章 脳のなかの地図
第6章 概念、言語、高度な思考
第7章 知能の一〇〇〇の脳理論
第2部 機械の知能
第8章 なぜAIに「I」はないの?
第9章 機械に意識があるのはどういうときか
第10章 機械知能の未来
第11章 機械知能による人類存亡のリスク
第3部 人間の知能
第12章 誤った信念
第13章 人間の知能による人類存亡のリスク
第14章 脳と機会の融合
第15章 人類の遺産計画
第16章 遺伝子vs.知識
おわりに
の内訳です。簡潔明瞭な記載のなかに、きちんと次の時代への課題も透けて見えるようにしてあります。
11人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
WildTurkey
5つ星のうち4.0 脳、AI、宇宙
2022年8月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
脳神経科学の本かと思いきや、AIや宇宙、遺伝子vs知能といった幅広い論旨を展開するもので非常に面白い本だった!
著者の幅広い経験知識が存分に発揮されていて、新皮質が活性化されます
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
יודה
5つ星のうち5.0 本書の主要部分は、第1部の 脳についての理論です。
2022年8月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書の主要部分は、第1部の 脳についての理論です。
著者は、考察の対象を大脳新皮質に限定します。著者は、知的処理(知覚)が 専ら 大脳新皮質で行なわれると考えます。
大脳新皮質は、感覚系領野群や運動系領野群等に分けられ、領野は、皮質コラム群に分けられて、大脳新皮質全体で15万の皮質コラム群があります。
著者は、ヴァーノン・マウントキャッスルの洞察に基づき、「すべての皮質コラムは、基本的に同じ処理を行なっている!」と考えます。つまり、感覚系領野の皮質コラムも、運動系領野の皮質コラムも 同じ処理を行なっているということです。
「皮質コラムが行なっている処理とは、予測である!」と著者は主張します。
更に、「皮質コラムは、予測するために、それぞれの世界モデルを持っている!」と著者は主張します。
そして、「皮質コラムが持つ世界モデルは、予測に使うために座標を持つ必要がある!」と著者は主張します。
これが、著者が言うところの「1000の脳理論」のエッセンスです。つまり、正しくは、1000ではなく15万です。
※「脳(知覚系)は基本的に予測機械である!」というのは 最近の脳理論の共通の見方ですが、これを最初に洞察したのは 私が知る限り著者です。
行動系(筋など)は、脳(知覚系)の予測(予期)が当たるように行動します。脳(知覚系)は 、「当たった程度」を評価し 自己の世界モデル(予測モデル)を調整します。脳(知覚系)は 長期的に 自己の世界モデル(予測モデル)をオペラント調整(強化調整)します。こうして、エージェントは 適応的に行動するようになります。
★[私見] 以下、評者の私見です。参考まで。
◎18:56 2023/03/27
●評者は、「皮質ミニコラム」を基本単位と考えます。
「皮質ミニコラム」が、ある状況特徴について、「monitor述語」「predict述語」を持ちます。更に、それらの述定値を記憶する「monitor記憶述語」「predict記憶述語」を持ちます。
「monitor述語」「predict述語」の例は、「捕食者が居る」「捕食者が現れる」です。「predict述語」の述定値は、近未来の「monitor述語」の述定値の予測(/予期)です。
「monitor述語」「predict記憶述語」の述語定義式(/述語知識)は、毎回の知覚に於いて、調整(/学習)されます。
◆状況特徴は「monitor述語」(の定義)で表現されています。状況特徴は 述語の参照域に於ける「極大の纏まり」です。毎回の「monitor述語」での述定に於いて「monitor述語」(の定義)を調整(/学習)します。
◆現在の「monitor述語」の述定値と、参照先領野の記憶状態との関係から、「predict記憶述語」(の定義)を調整(/学習)します。
後位の領野は、前位(/参照先)の領野が認識する状況特徴に比べて、より長い未来射程の状況特徴を認識します。ただし、複数の 前位(/参照先)の領野組を保つ場合、それらの中で最も短い未来射程に足を引っ張られて短い未来射程になります。例えば、一次運動野は、一次体性感覚野に足を引っ張られて 極めて短い未来射程になります。
前頭前野は、最も長い未来射程を持ちます。
行動系は、脳(/知覚系)の予期(/predict)が当たるように行動します。筋は、一次運動野の予期(/predict)が当たるように収縮/弛緩します。
前頭前野の予期(/predict)は、最上位の意図や目的の役割を果たします。
脳(/知覚系)の述定状態(/行動系にとっての表示状態)は、「予期的発展シナリオ」と見做せます。それは、最新の「世界認識」を含みます。
◎19:25 2023/03/27
◆”脳(/知覚系)”は、毎回の知覚に於いて、”述定状態”に成る。
◆”知覚”とは、所与の”感覚状態(/直接述定状態)”と”短期記憶(/記憶述定状態)”とに対し、”知識矛盾度(/葛藤ポテンシャル)”の低い”述定状態”に成ることである。
◆”述定状態”は、”世界観”を含み、同時に”発展シナリオ”を含む。つまり、”世界発展シナリオ”を含む。
◆未来射程を持つ述語での”現状認識”は、予期を含んでいる。「天気が下り坂だ」という現状認識は、「雨に成るだろう」という予期を含んでいる。
※未来射程を持つ述語での”現状認識”が洞察である。
※未来射程を持つ述語での”現状認識”は、目的や意図を持つことと同じ効果を持つ。
※実践理性,美的判断力は、”現状認識機能”に還元される。
◆仮説は、内部に矛盾が無くても、接地していなければ、唯のフィクションである。
◆内部に矛盾が無いことが、仮説の最小限度の一次資格条件である。
◆内部矛盾の無い仮説同士が、”接地部分(/直接述定,記憶述定を参照する述語集団)”の無矛盾性という二次資格条件を巡って、互いに争う。
※夢では、この二次審査がないため、内部に矛盾がないだけの知覚仮説が知覚事実に成り、記憶され意識される。
ただし、その知覚事実による述語定義更新は起きない。行動系も動作しない。
◆内部矛盾が無い、つまり、全ての述語定義と整合しているということは、統一があるということである。
※夢には統一がある。
●”状況特徴”は、参照域の中での”極大共起パタン(/極大共起証拠群)”である。
◆述語Aが述語aを参照しているとする。
・述語aが”T”であるとき、述語Aが”T”である確率が”≧75%”であるならば、述語aは述語Aの”確証(/係数>0)”である。
・述語aが”T”であるとき、述語Aが”F”である確率が”≧75%”であるならば、述語aは述語Aの”反証(/係数<0)”である。
・述語aが述語Aの”確証(/係数>0)”であるとき、述語aが”T”かつ述語Aが”T”ならば、係数を↑する。
・述語aが述語Aの”確証(/係数>0)”であるとき、述語aが”T”かつ述語Aが”F”ならば、係数を↓する。
・述語aが述語Aの”反証(/係数<0)”であるとき、述語aが”T”かつ述語Aが”F”ならば、係数を↑する。
・述語aが述語Aの”反証(/係数<0)”であるとき、述語aが”T”かつ述語Aが”T”ならば、係数を↓する。
◆”領野”は、参照域に現れた”特徴”を認識する。
◆”理解(/知覚)”は、アブダクション(/仮説推論)であり、”デターミニスティック・ボトムアップ処理”では限界がある。
例えば、”理解(/知覚)”では、何かの一部(/例えば蒸気機関車の車輪部分の一部)の写真から、「何か」を推論する必要がある。人間は明らかに無意識下でアブダクション(/仮説推論)する。
◎12:32 2023/03/16
◆「知覚仮説(/状況モデル)」は、全ての「間接述語」について、述定値=-1/+1 である。つまり、「間接述語」集団の総数をNとすると、可能な「知覚仮説(/状況モデル)」集団の規模は、2^N である。
◆「知覚過程」期間、「多世界共存状態(/量子もつれ状態)」の全ての「世界」で、{「直接述定値(/感覚)集団」+「記憶述定値集団(/脳が持つ記憶の内容)」}は共通である。
※これが、フォーダー(,クワイン)の「境界条件」である。同時に「意識」に上る内容である。
◆「知識」は、「述定値導出式」の形をとる。「述定値導出式」は、「参照先証拠価組の線型結合式」である。ただし、[証拠価]=活性化関数 。[述定値]∈(-∞,+∞), [証拠価]∈[0,+∞) 。
※「述語定義」は、述語間の「証拠(/反証|確証)関係知識」である。
※ここで、活性化関数はReLUであ
◆「状況特徴」は、「実在」と見做される。それは、論理学的に「原子命題」という地位を持ち、「モデル」に於いては、独立に「真偽値」を持ち得る。
※「実在」は未来に広がっている。
◆「実在」に対し最も適切な「知覚仮説(/状況モデル)」が存在すると想定される。それを「事実」と呼ぶ。ただし、「知覚仮説(/状況モデル)」は未来に広がっており、「事実」も同様である。「真」は「善」や「美」という意味も含んでいる。同様に「偽」は「悪」や「醜」という意味も含んでいる。「事実」の未来部分は、特に、倫理的、美的意味合いを強く含んでいる。「事実」とは「神の発展シナリオ」である。
◆脳は、どの「知覚仮説(/状況モデル)」が「事実」であるかを推定するため、「全体知識」に対する「知覚仮説(/状況モデル)」の「不整合度(/違反度/不調和度)」評価を実行する。
◆すべての「知識」は、「述語定義(/述語知識)」の形に集約される。
「述語定義(/述語知識)」に基づく「検証値」と、「述定値」との符号が一致する場合、「不整合度(/違反度/不調和度)」=0 とする。符号が一致しない場合、「検証値」の二乗(≧0)を「不整合度(/違反度/不調和度)」とする。
◆すべての述語についての「不整合度(/違反度/不調和度)」の総計が、その「知覚仮説(/状況モデル)」の「不整合度(/違反度/不調和度)」である。(※これは「二乗乖離」に一致している。)
◆「知覚仮説(/状況モデル)」の「不整合度(/違反度/不調和度)」が最低の1つの「知覚仮説(/状況モデル)」を選択(/出力)する。
◆脳は、その「知覚仮説(/状況モデル)」を「事実」として受け入れる。
つまり、「不整合度(/違反度/不調和度)」>0であった「述定値導出式」を、「導出値」と「述定値」の符号が一致するように跳躍的に「調整」する。
符号が一致するリテラル(/項)の係数を1.2倍する。特に絶対値がMAXを越える場合、係数をそのままにする。
符号が逆のリテラル(/項)の係数を1.2で割る。特に、絶対値がMINよりも小さくなる場合、元の係数の符号を逆転する。
◆この理論は、フォーダーの「世界」と「知識」とについての次の観方と合致している。
・「世界」は、証拠(/確証|反証)的に結合された述語集団から成る「統一体」である。
・「知識」は、述語間の関与性、つまり「どの述語が どの述語の確証/反証になるか」に関する「評価(/係数)」である。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
岩手軽便鉄道Jazz
5つ星のうち5.0 「1000の脳」理論、もっといい呼び名はなかったのかな
2022年8月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
斬新で刺激的な仮説が展開される。コラム構造をなす新皮質、著者ホーキンスは、この皮質コラムが基本単位として機能する(新皮質には15万ほどのコラムがある)と主張する。
読みどころは、皮質コラムが2層になっていて、下の層は「座標系」を担当するというあたりと、近位シナプスと遠位シナプスでは役割が違い、ニューロンの「予測」には後者が関係するというあたりか。
後半部、AIや機械知能の話は不要。むしろ、前半部の理論の解説のほうを深めてほしかった。
知能の「1000の脳」理論(The thousand brains theory of intelligence)という名称が引っかかる。もっといい呼び名はなかったのかな。
(蛇足。本書とちょうど同じ時に、①ボンド『失われゆく我々の内なる地図』、②イーグルマン『脳の地図を書き換える』、③グラツィアーノ『意識はなぜ生まれたか』が書店に並んだ。①は場所細胞と格子細胞(座標系)がテーマ、②は脳の可塑性(経験によって新皮質の役割の変更が可能)がテーマで、本書に直接関係している。③も、意識は新皮質にあって、科学的に説明可能と主張している点で、本書と軌を一にしている。)
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
スポンサー
カスタマーサービスが必要ですか?』