https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200312-00231458-diamond-cn
※ 中国当局は、「ほぼ、押さえ込んだ…。」という認識のようだ…。習近平氏も、初めて武漢入りして、「我々は、必ずや勝利する!」と鼓舞した…。
しかし、その裏側で、中国人民が支払った多大な「市民生活上の犠牲」については、あまり語られることが無く、情報も流通していない…。
この記事は、珍しくその一端に触れているので、紹介しておく…。DIAMOND onlineからの転載のようだな…。
『「震源地」である武漢が1月23日に封鎖されてから現在までもう50日近くになる。1月中旬から感染が蔓延している中、この1100万人の都市はパニックになった。人々は医療機関に殺到し、大勢の患者が病院の中に入りきれず、外にまであふれていた。医療現場は混乱状態になり、完全崩壊の寸前にまで至った。そして、多くの医療従事者が感染した。現在の統計では約3000人が感染して生死をさまよい、10人が命を落とした。』
『病院は通常の外来診察をやめ、新型肺炎の治療を最優先せざるをえなかった。このため、新型肺炎以外の患者は治療してもらえないという事態に陥った。その結果、人工透析が必要とされる人や治療中のがん患者、持病がある人々が自宅で苦しみながら亡くなった。まさに二次災害だ。
当然ながら、新型コロナウイルスに感染したたくさんの患者も、当初は入院できずに自宅で亡くなった。苦しみのあまり高齢者がマンションから飛び降りて自殺するなど、目を覆いたくなる惨状も繰り広げられた。こうした死者の数字は、統計として表には出てこない。
また、全国各地から医療支援部隊の約3.5万人が武漢に派遣されたため、上海などの大都市の医療機関も一時、外来を停止せざるをえなかった。ようやく再開した日には、人々が冷たい雨の中、病院の玄関から延々と長い列をなしている写真がSNSに投稿された。
このように中国各地の医療機関にも大きな影響を及ぼしていたことは、あまり国外には報道されていない。』
『武漢の市民は42日間、自宅から一歩も出ず、外の空気を吸うことができず、青空を眺めることができない。このような事態が延々と続く「先が見えない生活」はどんなに苦しいことか、容易には想像がつかないだろう。健康な大人も、活発な子どもも一律に自宅に閉じ込める生活を強いられている。』
『突然の武漢の閉鎖や交通網の遮断なども多くの悲劇を生んだ。
武漢の封鎖と各地の幹線道路の遮断・封鎖、農村部の村民の移動禁止により、人々は身動きができなくなってしまった。
特に武漢の閉鎖直前にたまたま来ていた人々、あるいは、たまたま武漢を出た人々は、そのまま足止めされてしまい、どうしようもなくなってしまった。家族とは離れ離れになり、仕事場にも戻ることができない状況が今も続いている。
ある中年の女性は危篤の母親と“最後の対面”をするため、クルマで入院先の病院へと急いでいたが、不幸なことに高速道路の出口を間違えて武漢で下りてしまった。結局、母親の看取は叶わず、一生悔いが残る結果となってしまった。』
『また、武漢に働きに来ており家を持ってない農民工(農村出身の日雇い労働者)は行き場がないため、駅周辺に寝泊まりして、毎日3食を支援のカップラーメンで過ごしている。』
『外出禁止などに伴うストレスなどで精神面への影響も大きい。
全国に号令をかけた「マスク着用、外出禁止、自宅勤務、学校休校」などの措置に、中国の国民一人ひとりが協力し、「自宅から出ないのが社会への一番大きい貢献だ」と、黙々と耐えて過ごしてきた。
外食はもちろん、親戚や友人とも会ってはいけない、人々の集まりも禁止されていた。そんな中で、これらの規制を順守しなかった人に対して、罰金、強制隔離、拘束、暴力的振る舞い、平手打ちなど、法的な根拠のない人権侵害のような行為が各地で起こった。』
『社会や経済面への影響も出始めている。
現在でも、多くの地域で道路を封鎖していたり、外出禁止の状態である。物流が滞っている中、さまざまなコストが上がり、物価が高騰している。一番問題となっているのが、多くの労働者が仕事に就くことができずに収入がなくなって、生活難に直面していることだ。
ただでさえ経済格差の大きい中国では、「自分の命より家族を養うためのお金の方が大事」という状況に置かれている人がまだまだ多い。統計では62.6%の人が非正規雇用者である。これらの人々はたとえばデリバリーの従業員、飲食店や屋台の店員、タクシー運転手、旅行社のガイド、中小企業の従業員などだ。そして、農村部の農民は、作った野菜や果物を外へ運ぶことができずに莫大な損失を被っている。
これらすべて、国民が「代償を払っている」ということだ。長い歴史から見れば、ほんの一幕にすぎない出来事でも、個々人にとっては人生が変わってしまうほどの出来事だ。』
『一方、日本は民主主義の国であり、中国のように一斉に強硬な命令を強制できない。
日本は現在、「イベント自粛、時差通勤・リモートワーク推奨、休校要請」などの対策を講じながら、医療体制を崩壊させないように、原則的には「軽症の人は自宅療養、重症の患者にベッドを確保」というように、患者の状態によって優先順位を付けた方針を明らかにしている。その理由は、仮にコロナウイルスに感染しても「8割が軽症であり、自宅で安静にすれば治る」という理由からだ。
また、日本では人々が概ね支障なく、普通に自由な日常生活が継続できている。マスクやトイレットペーパーなどが手に入らないこと以外は、スーパーには食材が充実し値段も安定している。街には普通に人々が行き交い、大勢の人で賑わっていた有名観光地を除けば、休日には地元の商業施設などでは相変わらず人が出ている
中国とはあまりに対照的であり、中国人には信じられないことである。』
『中国の人々から見れば、日本のこのように普段と変わらない日常風景は、「緊張感がない」「日本は緩い」と見える。
また、日本政府のあらゆるコロナウイルス対策に対して、逐一、日本の野党やマスコミ、大勢の人たちが批判している。
これも中国人の目には不思議な光景であり、「理解不能」である。
例えば、2月末に安倍首相の「一斉全校休校の要請」に対して、一部の自治体の知事や市長が反対したことに対してSNSでは、
「中央政府の言うことを聞かなくていいんだ、すごい!個性が強いね、中国だと首が飛ぶよ」
「この非常事態に国をあげて団結して乗り越えていくのではないの?」
などのコメントであふれた。』
『大多数の中国人から見れば「あまりにユルすぎる日本」は今後、どうなるのか――。
今回のウイルス対策に、多大な犠牲と我慢を強いられてきた中国人にとっては、非常に気になって仕方がない。
日本の人々の様子や日本政府の対応に、敏感に反応してSNS上でコメントし批判したりするのも、自分たちが払ってきた犠牲や境遇を考えたり、納得したりするために必要なことなのだ。
また、多くの中国人は当初日本の人々から受けた支援に対する恩を忘れてはいない。そのため自分の身内のように心配する人も多い。』
『現在のところ、日本はイタリアや韓国などに比べると、感染者の人数が爆発的には増えていない。死者の人数もそれほど多くない。無論、大勢の専門家が指摘するように日本のPCR検査数が少ないことが背景にあるのかもしれない。今後、検査数が増えたらどうなるのか…。それとも封じ込めに成功しつつあるのか…。
大多数の中国人から見て、日本は「自由な民主主義国家」「民度が高い」と評価される国である(その民度が高いはずの日本で、トイレットペーパーのようなものの買い占めが起きたことは、多くの中国人にとっても衝撃であった)。
これから日本が「自由」を大事にしつつも、一人ひとりが国の対策に協力し、自らの力で感染拡大を阻止して封じ込めに成功するのか。それとも、「自由」を優先した結果、感染を拡大させてしまい、結果的に、東京オリンピックも中止という最悪の事態を招くのか…。
14億人の中国人も、日本の新型コロナウイルス対策の成り行きを見守っている。
王 青』
※ オリンピックに関しては、たとえ日本国内で流行を押さえ込んだとしても、欧米その他の国で感染拡大が収まらなければ、「延期」や「中止」を検討することになるだろう…。全て、その時の状況しだいだ…。