『(Copilot)
非常に本質的な論点です。
アメリカ政治を理解するうえで重要なのは、
大統領は「国家元首」ではあるが、「立法者」ではない
という点です。
日本の首相は与党多数なら比較的容易に法律を通せますが、米国大統領はもともと議会から独立した存在です。
そのため、上下両院を失った場合、「何ができなくなるのか」を考えると、実はかなり広範囲に及びます。
まず整理
米国大統領の権限は大きく3つあります。
① 立法への影響力
・法案提案
・議会との交渉
・拒否権行使
② 行政権
・省庁運営
・行政命令
・規制制定
③ 外交・安全保障権限
・軍統帥
・外交交渉
・条約交渉
共和党が議会多数を失うと、
①は大幅に弱体化するが、②と③はかなり維持される
という構造になります。
- 最大の制約は予算
まず予算です。
米国憲法では、
「財政支出は議会の承認が必要」
です。
つまり大統領が
・国境の壁を増設したい
・海軍艦艇を100隻増やしたい
・AI開発予算を倍増したい
と思っても、
議会が予算を出さなければ実行できません。
これは大統領にとって最も重い制約です。
歴史的に見ても、
レーガン クリントン オバマ トランプ第1期
すべて予算闘争に苦しみました。
- 大規模な制度改革ができない
例えば
・社会保障改革
・Medicare改革
・税制改革
・移民法改正
などです。
これらは法律そのものを書き換える必要があります。
行政命令ではできません。
したがって、
トランプ政権が仮に
不法移民を完全に排除したい
と思っても、
現行移民法の枠内でしか動けません。
法改正には議会が必要です。
- 税制変更が困難になる
大統領は税率を決められません。
議会が決めます。
例えば
・法人税減税
・所得税減税
・キャピタルゲイン課税変更
などはすべて法律です。
トランプが最初の政権で実施した2017年減税も議会通過が必要でした。
議会を失えば、
新たな大型減税は極めて難しくなります。
- 連邦政府再編が限られる
例えば
・教育省廃止
・FBI改革
・省庁統合
などです。
行政組織の基本構造は法律で定められています。
そのため、
大統領は規模縮小はできても、完全な廃止は困難です。
- 人事承認で詰まる
米上院は重要人事を承認します。
例えば
・最高裁判事
・連邦判事
・閣僚
・大使
などです。
民主党が上院を支配すると
・承認拒否
・審議引き延ばし
が可能になります。
これは長期的には大きい。
なぜなら、
米国の政策方向を決めるのは法律だけではなく
裁判所
だからです。
- 条約締結が難しくなる
上院は条約批准権を持ちます。
有名なのは
・国際連盟
・パリ協定
・包括的核実験禁止条約
などです。
大統領が外交交渉しても、
上院の3分の2が賛成しなければ正式条約になりません。
- 議会調査への防御が必要になる
ここが中間選挙敗北後の最大問題です。
多数党になった側は
・証人喚問
・召喚状
・文書提出要求
・公聴会
を行えます。
歴史的には
・ウォーターゲート
・イラン・コントラ
・ベンガジ問題
・ロシア疑惑
などで活用されました。
つまり、
議会を失うと
「政策推進」
より
「防御戦」
にリソースを取られやすくなります。
(では何が残るのか)
ここでミラー起用の意味が見えてきます。
議会が取れない状況では、
大統領が使える武器は主として5つです。
① 行政命令
連邦機関への指示。
② 規制変更
省庁のルール改定。
例えば
・環境規制
・労働規制
・エネルギー規制
など。
③ 執行裁量
どの法律をどれだけ厳格に執行するか。
移民政策で特に大きい。
④ 外交
大統領権限が強い。
⑤ 国家安全保障
軍統帥権。
ただし予算は議会依存。
(あなた向けの構造分析)
安全保障・権力分析の視点で見ると、
議会多数を失ったトランプ政権は、
「立法国家」から「行政国家」へ重心を移す可能性があります。
つまり、
・法律を変える力 ↓
・官僚機構を動かす力 ↑
・執行優先 ↑
・規制変更 ↑
・行政命令 ↑
という形です。
だからこそ、もし首席補佐官に強硬な理念派であるミラー氏が就いたのであれば、そのシグナルは
「議会を説得して新法を作る政権」
ではなく
「既存法の解釈と執行を最大限活用する政権」
への移行と読むことができます。
歴史的にいえば、これはオバマ後期やバイデン後期よりもさらに強い形での「行政権への依存」であり、今後の争点は議会採決よりも、連邦裁判所・最高裁・行政機関を舞台にした法廷闘争へ移っていく可能性が高いと言えるでしょう。』