https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB282GF0Y6A021C2000000
『賢者に聞く株の勝ち技(3)
日経マネー特集
2026年10月29日 4:00
テスタさん 2005年に元手300万円で株式投資を開始。最初の10年はデイトレード中心に利益を重ね、最近は中長期投資も手掛けるように。24年に累計利益100億円を達成。Xのフォロワーは約120万人
株式投資に必要なエッセンスを投資賢者に聞く連載のトップバッターは、2024年に累計利益100億円超を達成した著名個人投資家のテスタさん(ハンドルネーム)。投資を続ける上でのモチベーションの保ち方や、目標の立て方について聞いた。相場のボラティリティー(変動幅)が大きい局面において、くじけそうになった際は「自分が何のために投資しているのか」を考えれば、おのずとやる気が湧いてくるという。今回は昨日の前編に続く後編をお届けする。
【前編】著名投資家のテスタ氏が語る 「NISA貧乏、全然アリです」
調べずに始めてだまされる
――とはいえ、ネットの情報には嘘やデマも多いです。うのみにしてしまう人も多く、新NISA(少額投資非課税制度)が始まってから、投資詐欺が急増しています。
投資を始める人が増えて、そこにお金が入ってくるので、狙われるのでしょう。詐欺と立件できないだけで、詐欺のようなものもたくさんあります。
――最近はどんな手口が多いのでしょうか。
SNSの広告などからLINEに誘導し、「自称」著名人のアシスタントがやり取りをする手口です。入り口は僕の名前でも他の著名人でも、アシスタントにつなげば一つのアカウントで管理でき、会話の辻つまも合わせられます。
そこで「預ければ安心」と言われてお金を振り込むと、画面上ではどんどん増えていく。いざ出金しようとすると「先に税金を払え」「保証金が必要だ」と、さらにお金を請求されます。出金できると思っているから、また入金してしまう。だまされている人ほど、だまされたと思いたくなくて、取り戻そうとさらにお金を入れてしまうケースが多いのです。
出所)警察庁「特殊詐欺の認知・検挙状況等」各年確定値
――テスタさんの名前をかたる詐欺について、問い合わせが来ることもありますか。
「これは本当ですか」という問い合わせは、よく来ます。その時は「違いますよ」と返信しています。こちらが何もせずとも、いきなりDMが届くパターンもあります。
――だまされる人は、リテラシーが低いのでしょうか。
必ずしもそうとは言えません。リテラシーが高くても、最新の手口を100%見抜けるとは限りませんから。ただ、理屈に合わないことを信じてしまう人は一定数います。理屈で考えれば絶対にあり得ないことでも、本当だと思ってしまうのです。
商売を始める時に、何も調べない人はいないですよね。なのに、投資だけは何も調べずに始めてしまう。時々「国が勧める新NISAならば損をしない」と信じる人がいます。一度調べれば、投資に元本割れの可能性があることくらい、すぐ分かりますよね。
最近は「預金より株」という言葉だけが頭に入って、投資を始める人もいます。投資は損をすることもある。それを理屈で理解していれば、うまい話を疑えるはずです。
――信頼できる人から聞いた話だと、つい信じてしまいます。
うそをつかない親友や友達が言っているなら、うそではないと思いますよね。でもそれはその人の考えであって、真実とは限りません。ねずみ講のように、だまされている人が、だましているつもりもなく人に勧めることもよくあります。だからこそ、自分で調べることが欠かせないのです。
人にお金を預けない
――詐欺をなくすことはできないのでしょうか。
どうしてもなくなりません。詐欺は、引っかかる人が引っかかるようにつくられているわけですから。人間はうそをつけてしまうので、だまされる人はだまされてしまう。難しいですが、勉強して、引っかからないところまで自分を引き上げるしかありません。
――だまされないために、何を心掛ければいいですか。
端的に言えば、人にお金を預けないことです。お金は自分の名義で運用する。知らない会社や知らない人に預けて、運用してもらうような話には乗らないことです。
――SNSでは銘柄を推奨する投稿も目にします。
会社関係者ではない特定の人物の発言で株価が動く銘柄は、危険だと思うべきです。本当に良い決算なら、つぶやく人は1人ではないはずです。小型株でも画期的な材料が出れば株価は上がりますが、その時は多くの人が話題にしています。
僕も明らかにあおっていると感じたら無視するようにしています。同じ銘柄を何度も推している人も危ない。相手が何の目的で書いているのか、自分が売りたいがために株価を上げようとしていないか、推測するしかありません。
――発信者を見極めるには、どうすればいいでしょうか。
その人が株で稼いでいるのか、情報商材で稼いでいるのかを見るべきです。フォロワーが10万人規模になると、初心者はすごい人だと思ってしまいます。でも、買っていない銘柄でも「買った」と書くことはいくらでもできる。最初に誰を参考にするかで、その後は大きく変わります。
雑誌などのメディアに出ているかどうかも一つの判断材料になります。とはいえ、昔出ていたから信用できるわけでもないので、総合的に判断するしかありません。
僕も投資を始めた頃、情報商材を買ったことがあります。5万円だったかな。ほかにも、毎月高いお金を払って、メルマガを購読していた時期もありました。
今振り返ると、「何であんなものにお金を使っていたのだろう」と思いますが、自分なりの判断軸がなかったのでしょうね。何度も繰り返しますが、自分で調べ、考える習慣を身に付けるのが本当に重要です。
――投資詐欺からお金を守るのみならず、最近はパスワード漏洩による口座乗っ取りも目立ちます。サイバー犯罪からお金を守るにはどうすればよいでしょうか。
サイトにアクセスする時は、ブックマークから入ることです。おかしいと思ったら、パスワードをわざと間違えてみてください。本物なら次の画面に進めませんが、詐欺サイトなら進んでしまいます。 クレジットカードの決済で求められる2段階認証も、面倒でも大切です。知らない番号からの電話には出ずに、番号を検索してみる。パスワードを使い回さないことも大切です。
自分の大事なお金を預けているのですから、石橋をたたいて渡るくらいがちょうどいいのです。
――最後に一言お願いします。
まず編集長に言いたいのですが、「投資の参考にしている人」ランキング、もうやめませんか? だって、今回1位になったら後は落ちるだけじゃないですか。プレッシャーが……。僕は本当に皆さんのお役に立てているのでしょうか。
――大丈夫! 皆さん、テスタさんの言葉にいつも励まされているし、楽しみにしていますよ!
(取材・文/武田安恵 写真/竹井俊晴)』