『スウェーデンが「世界一安全な福祉国家」というイメージから一転し、ギャング犯罪や銃撃・爆破事件が多発する治安危機に直面した経緯には、長年にわたる人道的な難民受け入れ方針と、その後の社会統合(インテグレーション)の失敗が深く関係しています。 [1, 2]
主な経緯と背景は以下の4つのステップに集約されます。
1. 「人道大国」としての大量の難民・移民受け入れ
スウェーデンは長年、寛容な人道主義を掲げ、世界の紛争地域(1990年代のバルカン半島、2000年代のイラクやソマリア、2011年以降のシリアなど)から積極的に難民を受け入れてきました。
特に2015年の欧州難民危機の際には、人口約1,000万人(当時)の国に1年間で約16万3,000人もの亡命希望者が殺到し、人口比で欧州最多の受け入れ国となりました。現在では、全人口の約2割が外国生まれとなっています。 [2, 3, 4]
2. 「地理的・社会的」な分断(セグレゲーション)の発生
流入した多くの移民・難民は、政府が用意した安価な公営住宅がある主要都市(ストックホルム、ヨーテボリ、マルメなど)の郊外に集中して住むようになりました。
スウェーデン人がほとんど住まなくなったこれらの地域では、スウェーデン語が話されず、独自の排他的なコミュニティが形成されました。これが「社会的な孤立(セグレゲーション)」を生む原因となりました。 [3, 4, 5, 6]
3. 就労・教育の格差と「移民2世」の孤立
スウェーデンは高度な知識やスキルが求められる知識集約型の経済であるため、言語や学歴の壁がある移民・難民は、一般市場で仕事を見つけることが極めて困難でした。
localsと非ネイティブの失業率の格差は先進国の中でも最大級となります。
さらに深刻だったのが、その親を見て育った「移民2世・3世の若い世代」の孤立です。彼らはスウェーデンで生まれ育ちながらも「自分たちは社会から排除されている」という不満や経済的困窮を抱え、主流社会への帰属意識を持てない「失われた世代」となりました。 [1, 5, 7, 8]
4. 犯罪組織(ギャング)の台頭と過激化
こうした社会からあぶれた困窮する若者層を、麻薬密輸や武器密売を資金源とするギャング組織が吸収していきました。
近年、事態が急速に悪化した原因として以下が挙げられます。 [7, 9]
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- 刑罰の軽さを突いた「子ども兵士」の利用: スウェーデンは伝統的に刑罰が軽く、特に18歳未満の未成年には寛大な司法制度(最長4年の少年院収容など)をとっていました。
ギャングの首謀者たちはこれを悪用し、13〜14歳といった少年たちを報酬で手なずけ、ライバル組織の襲撃や殺害の実行犯(ヒットマン)として利用するようになりました。 [1, 5, 10]
- 報復の連鎖による過激化: 組織同士の縄張り争いに加え、SNSや音楽(ドリル・ミュージックなど)を通じて挑発し合い、一度銃撃や爆破が起きると親族をも巻き込んだ血の報復合戦へと発展しました。 [10, 11]
社会の危機感と方針転換
2020年以降には、ギャングと関係のない一般市民や子どもが銃撃の巻き添えになって死亡する事件や、一般の住宅街での爆破事件が日常化し、欧州で「人口あたりの銃撃死亡率がトップクラスに高い国」にまで治安が悪化しました。 [12, 13]
「寛容さの限界」を痛感したスウェーデン世論は、2022年の総選挙で「治安強化と移民抑制」を掲げる右派政権を選択し、警察の権限強化、未成年の厳罰化、移民受け入れの厳格化へと、これまでの国策を180度転換することになったのです。 [6, 9]
[1] https://jbpress.ismedia.jp
[2] https://courrier.jp
[3] https://gendai.media
[4] https://storymaps.arcgis.com
[5] https://www.youtube.com
[6] https://bisi.org.uk
[7] https://www.newsweekjapan.jp
[8] https://www.telegraph.co.uk
[9] https://www.bbc.com
[10] https://newlinesmag.com
[11] https://www.aljazeera.com
[12] https://www.anzen.mofa.go.jp
[13] https://www.sankei.com
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