https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD08AHV0Y6A700C2000000


『2026年8月10日 5:00
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高齢者の恋愛を喜劇的に描いた「ポワールのソルベ」の連載が終了した。作者の中島京子さんが執筆の過程とテーマに込めた思いを振り返った。
十か月間、次郎さんと胡桃さんの物語におつきあいいただき、ありがとうございました。
ふたりは後期高齢者で、四捨五入すると八十歳という、人生の終わりのほうの日々を生きています。
二〇二五年に、日本の総人口の五人に一人が後期高齢者になったという話があって、この小説を書いてみ…
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『この小説の中では、あきらかに男性優位の価値観で育ってきた世代の一人である次郎さんから、「男性性」を剝奪してしまうことを考えました。
彼は、離婚によって家長としての権威を失い、会社の解散によって社長でもなくなります。それ以上に、病気で「男性機能」を失ってしまうのです。強くてマッチョでお金があって、女子供を従え、いろいろな場面で「長」であり、しかも性的にパワフルであるというようなことを「男性性」と呼ぶのであれば、次郎さんは自分が頼りにすべき「男性性」を全部失ってしまいます。
そんな次郎さんは、人間的魅力のない人でしょうか? あるいは異性愛者の胡桃さんにとって性的魅力のない人でしょうか?
わたしは、そんなことはないんじゃないかなと思っています。
世の中は進歩しているように見えて、家父長制的な価値観の根強さに驚かされることもあります。
でも、次郎さんと胡桃さんの関係を通して、古い社会が押しつけてくる「らしさ」から自由になってもいいんじゃないか、なんてことを考えていただけたらいいなと、作者は秘(ひそ)かに思っているのです。』