フロイト、アドラー、フランクルの「三大心理学」の動機論の違い、を。

『フロイト、アドラー、フランクルの3人は、ウィーンを舞台に活躍したことから「ウィーンの三大精神医療(心理学)流派」と呼ばれ、それぞれ人間を動かす「根本的な原動力(動機論)」について異なる結論を出しました。

彼らの動機論は、人間の行動の目的をどこに置くかによって、大きく「快楽」「権力」「意味」の3つに分類されます。

1. 三大巨頭の動機論:比較一覧

3人の動機論の核心、人間の捉え方、および代表的なアプローチをまとめると、以下のようになります。

提唱者動機の核心(何に突き動かされるか)人間の捉え方(人間とは何か)視点の方向

| ジークムント・フロイト (精神分析学) | 快楽への意志 (衝動・リビドー・欲求の解消) | 過去のトラウマや、内なる本能・衝動に支配される存在。 | 原因論 (過去に目を向ける) |

| アルフレッド・アドラー (個人心理学) | 権力への意志 (劣等感の克服・優越の追求) | 自分の人生の主人公であり、目的のために自ら動く存在。 | 目的論 (未来の目標に目を向ける) |

| ヴィクトール・フランクル (実存分析・ロゴセラピー) | 意味への意志 (人生の意味・価値の探求) | どんな状況でも、意味を見出し責任を持って生きる存在。 | 実存論 (今ここの「問い」に目を向ける) |


2. 各理論の詳しい解説##

① フロイト:過去の「衝動(リビドー)」が人間を動かす [1, 2]

フロイトは、人間を「無意識のエネルギー(リビドー)」によって突き動かされる存在とみなしました。

  • メカニズム:心の中に溜まった性的・本能的な衝動やストレスを解消し、「不快を避けて快楽を得る(緊張緩和)」ことが行動の最大の動機です。
  • 特徴:現在の心理的問題は「過去の抑圧された経験(トラウマ)」に原因があると考えるため、視線は常に「過去」と「内面(無意識)」に向かいます。

② アドラー:未来の「目標(劣等感の克服)」が人間を動かす

フロイトの「原因論」に真っ向から反対したのがアドラーです。人間は過去の犠牲者ではなく、自ら目的を決めて動くと考えました。

  • メカニズム:人間は誰しも「不完全な自分」に対する劣等感を持っています。

この劣等感をバネにして、「もっと優れた存在になりたい、目標を達成したい(優越の追求・権力への意志)」と願うことが行動の動機です。

  • 特徴:人間を「過去の原因」ではなく「未来の目的」に向かって進む存在と捉えるため、視線は「未来」と「対人関係(社会)」に向かいます。

③ フランクル:人生からの「問い(意味)」が人間を動かす

フロイト(快楽)とアドラー(優越)の理論を認めた上で、「それらは人間が本当に求めるものが満たされないときの代替品にすぎない」と批判したのがフランクルです。

  • メカニズム:人間はただ自分の欲求を満たしたり(フロイト)、他者より優位に立ったり(アドラー)するだけでは幸福になれません。

「自分の人生にはどんな意味があるのか」「自分を必要としている誰か(あるいは何か)のために何ができるか」という、自己を超えた存在に貢献すること(自己超越)を根本的な動機としました。

  • 特徴:意味は自分で勝手に作り出すものではなく、客観的に世界に存在し、それを「発見」するものとされます。

そのため、視線は「今、この状況で人生から何を求められているか(責任)」に向かいます。


まとめ:車に例えるなら

3人のアプローチの違いは、車をどのように修理・運転するかに例えることができます。

  • フロイトは、「なぜエンジン(過去・衝動)が故障したのか」を徹底的に調べる。
  • アドラーは、「これからどこへ向かって(未来・目的)ハンドルを切るか」を重視する。
  • フランクルは、「なぜその目的地へ向かうのか、そのドライブにどんな価値(意味)があるのか」を問いかける。

フランクルは、フロイトの「階下(本能・身体)」とアドラーの「1階(認知・心理)」の上に、さらに「2階(精神・実存)」を付け足したと言えます。

この3人の動機論の中で、ご自身の現在の関心や考え方に一番しっくりくるものはどれですか?
もし気になる点があれば、さらに深く掘り下げて解説します。

[1] https://sipe-selye.co.jp
[2] https://e-classa.net