米特使、ロシアに「トランプ対策」指南 通話記録報道で共和に解任論

米特使、ロシアに「トランプ対策」指南 通話記録報道で共和に解任論
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26C2D0W5A121C2000000/

『2025年11月27日 2:09 [会員限定記事]

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福井健策さんの投稿
福井健策

【ワシントン=坂口幸裕】米ブルームバーグ通信は25日、米国のウィットコフ中東担当特使が10月14日にロシア高官と実施した電話協議の通話記録を報じた。トランプ米大統領への対処方法を指南する発言があり、ロシア寄りとの懸念があるウィットコフ氏の解任論が共和党から出た。

ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)と5分あまり電話協議した際の内容として報じた。ウィットコフ氏は米国が主導したパレスチナ自治区…

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『首脳協議で「トランプ氏を尊敬している、と伝えろ」

ブルームバーグによると、ウィットコフ氏は10月14日のウシャコフ氏との電話で、その3日後にウクライナのゼレンスキー大統領が訪米するのに先立ち、ロシアのプーチン大統領がトランプ氏と協議するよう提案した。

その場で「ゼレンスキー大統領は金曜日にホワイトハウスを訪問する。可能であれば金曜の前にボス(プーチン氏)との電話を実現させたい」と打診した。ウシャコフ氏が有益な電話になるかと尋ねると、ウィットコフ氏は「そうなる」と伝えた。

プーチン氏から直前の10月10日にガザの停戦合意が発効したのを踏まえ、トランプ氏にガザ和平合意への祝意のほか「平和の男として大統領を尊敬している」と伝えるよう進言した。「そうすれば非常に良い電話になる」とも伝達した。

ウィットコフ氏は「例えばトランプ氏に『ご存じの通り、スティーブ(・ウィットコフ)とユーリ(・ウシャコフ)は(ガザ合意と)類似した20項目の和平計画を協議した。これは状況を少し動かす可能性があり、そうした提案には前向きだ』とプーチン氏が言うとすばらしい」と助言した。

ロシア側はウィットコフ氏のアドバイスの一部を採用したとみられる。プーチン氏はウィットコフ氏とウシャコフ氏が話した2日後にトランプ氏と電話し、ガザ合意へ祝意を示した。』

『ロシア、停戦案を非公式に米国と共有か

10月29日にロシアのドミトリエフ大統領特別代表とウシャコフ氏が会話した内容も報道した。和平案を巡り、ロシアがどの程度強硬な要求を主張すべきか話し合い、ウシャコフ氏は「最大限の要求をすべきだ」と提起した。

通話記録によると、ウシャコフ氏は米国がロシア提案を誤解したり項目を削除したりする可能性に懸念を示した。そうなればロシアと交渉が決裂するリスクがあるとも唱えた。ドミトリエフ氏は米国と非公式に文書を共有すべきだと促し、完全には受け入れられなくても「非常に近い内容になると確信している」と述べた。

米ニュースサイトのアクシオスは、ウィットコフ氏が米南部フロリダ州マイアミにドミトリエフ氏を招いて夕食をともにして和平案を巡って意見を交わしたと報じた。』

『トランプ氏、ウィットコフ氏を擁護

トランプ氏は25日、記者団からウィットコフ氏のやり方を問われ、通話内容を精査していないとしつつ「ごく標準的な交渉手法だ」と述べた。「双方は譲歩し合う必要があり、彼はウクライナにも同じことを言っているだろう」と擁護した。』