基底ベクトルとは何か?アニメーションで一目で理解

基底ベクトルとは何か?アニメーションで一目で理解
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『/06
線形代数
2020年12月30日
2021年5月6日

基底ベクトルとは、簡潔に言うなら「空間上のあらゆるベクトルを v=xa+yb のかたちで表すことを可能にするベクトル a, b の組み合わせ」のことです。言葉だけでも理解できないことはないですが、そこからこの意味するところを具体的にイメージするのは難しいと思います。

そこで、このページではこの基底ベクトルについてアニメーションを使いながら誰でもわかるように解説します。ぜひ学習のお役に立てばと思います。

先に読んでおきたいページ

基底ベクトルについてしっかりと理解するには、先にベクトルの分解について理解しておく必要があります。これについては『ベクトルの分解とは?その方法と幾何学的な意味の解説』でわかりやすく解説しているので、ぜひご覧ください。

目次

  1. 基底ベクトルとは
  2. 様々な基底ベクトル
  3. 練習問題
  4. まとめ
  5. 基底ベクトルとは

「ベクトルの分解とは」では、ı^
(アイハット)と ȷ^
(ジェイハット)の2本のベクトル を使って、v⃗ =xı^+yȷ^
という式で2次元ベクトルを表しました。そして、ı^
と ȷ^
は以下のように、長さが1の水平ベクトルと垂直ベクトルでした。

ı^=[10],ȷ^=[01]

実は、この ı^
と ȷ^
は「基底ベクトル」という特別な名前で呼ばれます。基底ベクトルとは、「空間上のあらゆるベクトルを分解して表すことを可能とするベクトルの組み合わせ」のことです。

以下のアニメーションでこのことを幾何学きかがく的に理解することができますので是非ご覧ください。

このように「空間上のあらゆるベクトルを xı^+yȷ^
のかたちで表すことを可能とするベクトルの組み合わせ」が基底ベクトルです。2次元空間では、2本の基底ベクトルがあれば、どのようなベクトルでも描くことができます。同じように3次元空間では、3本の基底ベクトルがあれば、どのようなベクトルでも描くことができます。

ポイント

基底ベクトルは、「空間上のあらゆるベクトルを xı^+yȷ^
のかたちで表すことを可能とするベクトルの組み合わせ」。なお、3次元空間の場合は、xı^+yȷ^+zk^
になります。

  1. 様々な基底ベクトル

さて、ここまでは ı^
と ȷ^
を基底ベクトルとして用いてきました。しかし実は基底ベクトルは、これに決まっているわけではありません。

定義上、既定ベクトルは「空間上のあらゆるベクトルを xı^+yȷ^
で表すことを可能とするベクトルの組み合わせ」であり、そのような組み合わせは無限に存在するのです。この点について、以下のアニメーションで確認しましょう。

このように、ほとんどどのようなベクトルのペアでも基底ベクトルとして機能します。

なお基底ベクトルとしては、ı^
と ȷ^
が断然わかりやすいです。そのため「なぜわざわざ別のわかりづらい基底ベクトルを扱うようなことが必要なのか?」と疑問に思われるかもしれません。

これについては、さまざまな基底ベクトルで空間を認識できるようになると、線形変換をとてもよくイメージできるようになるという利点があるのです(もちろん現時点では、そこまでできる必要はありません。学習を進める中で自然とできるようになっていきます)。

なお、中には基底ベクトルになれない組み合わせも存在するのですが、これがまた線形代数において重要な意味を持ちます。

ただし、ここでは深く考えずに、「基底ベクトルになりえるベクトルの組み合わせは無限にある」ということを覚えておきましょう。

  1. 練習問題

それでは最後に基底ベクトルに関する練習問題を用意しておきます。しかし、実のところ、現時点でこの問題を解けるようになっている必要はありません(特に【練習問題②】)。そのため、最初は確認の意味で眺めておく程度でまったく問題ありません。もしかしたら難しく感じるかもしれませんが、必要な項目を理解した後で見返したら、とても簡単なものであることがわかるのでご安心ください。

【練習問題①】 異なる基底ベクトルによる分解表示

a⃗
ı^
ȷ^
v⃗
w⃗

a⃗ =[41]

ı^=[10],ȷ^=[01]

v⃗ =[12],w⃗ =[3−1]

[41]=4[10]+1[01]⇒a⃗ =4ı^+1ȷ^

[41]=1[12]+1[3−1]⇒a⃗ =1v⃗ +1w⃗

【練習問題②】 異なる基底ベクトルによる分解表示

a⃗
ı^
ȷ^
v⃗
w⃗

a⃗ =[11]

ı^=[10],ȷ^=[01]

v⃗ =[12],w⃗ =[3−1]

[11]=1[10]+1[01]⇒a⃗ =1ı^+1ȷ^

[11]=47[12]+17[3−1]=[47+3787+(−17)]⇒a⃗ =47v⃗ +(−17)w⃗

v⃗
w⃗
M
ı^
ı^
v⃗
w⃗

M=[123−1]

M
M−1
v⃗
w⃗
ı^
ı^

M−1=[172737−17]

M−1
a⃗
ı^
ı^
v⃗
w⃗

M−1a⃗ =[172737−17][11]=[4717]

v⃗
w⃗

  1. まとめ

以上が基底ベクトルです。繰り返すと、基底ベクトルとは『空間上のあらゆるベクトルを「 xı^+yȷ^
」 で表すことを可能とするベクトルの組み合わせ(3次元空間では「 xı^+yȷ^+zk^
」)』です。

当ページが理解を深めるための役に立ったなら嬉しく思います。』