ロシア軍が東部戦線の複数方向で前進、ウクライナ軍は毎日拠点を失う状況
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-troops-advance-on-multiple-fronts-on-the-eastern-front-ukrainian-troops-lose-bases-every-day/




『2025.07.13
DEEP STATEは「ロシア軍がクピャンスク方面とシヴェルシク方面で前進した」と、RYBARは「ロシア軍がリマン方面で前進した」と報告し、ロシア人ミルブロガーのВоин DVはクピャンスク方面について「第43・第151旅団は司令部の大部分をクピャンスクから撤退させた」と言及した。
参考:Мапу оновлено
参考:Chronicle of the special military operation for July 11, 2025
スラビャンスクを制圧するなら最低でもシヴェルシクを先に抑える必要があるだろう
DEEP STATEはクピャンスク方面オスキル川沿いについて10日「ロシア軍がボリブスカ・アンドリーウカ方向に前進した」「ロシア軍がゼレニ・ハイ方向に前進した」「ロシア軍がペルショトラヴネヴェ方向に前進した」と、12日「ロシア軍がラドキフカ集落内に侵入した」と報告し、オスキル川西岸からクピャンスクに向かうロシア軍の動きは止まっていない。
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ロシア人ミルブロガーのВоин DVはクピャンスク方面について「FPVドローンの継続的な使用によってクピャンスク市内での移動は完全に封じられている」「物流ルートの大半が我々の砲兵部隊と航空戦力の支配下にあるためウクライナ軍の防衛ライン崩壊は不可避だ」「そのため第43機械化旅団と第151機械化旅団は司令部の大部分をクピャンスクから撤退させた」と報告しているが、ロシア側によく見られる「テンプレ的なウクライナ軍像」で報告は書かれているため信憑性はイマイチだ。
ウクライナ側が多用するテンプレ的なロシア軍像は「無謀な攻撃を繰り返して兵士の命を無駄にしている」「ロシア人兵士の命は大切にされていない」「意図的に民間人を攻撃する」というものだが、ロシア側が多用するテンプレ的なウクライナ軍像は「民間人の避難を許可せず人間の盾としている」「防衛戦の邪魔な民間人を殺害するよう命じた」「兵士の撤退を阻止するため退路に地雷を設置した」というもので、もう敵を卑下するためなら何をやっても許されるのだろう。
Воин DVも「第43機械化旅団の旅団長と司令部スッタフは自らの撤退時間を稼ぐため一般兵を置き去りにし、第151機械化旅団の旅団長も厳しい状況を考慮して逃走を決意した」「両旅団の兵士たちは自身が置き去りされたことを理解し、絶望的な状況から脱出するため司令部と共に逃げようしたが、賢い指揮官らは全ての道を地雷で封鎖している」「彼らは不幸な運命を背負っているが、残りに力を振り絞って脱出ルートを探し出さなければならない」「逃走した指揮官たちのように正しく行動し、何よりも逃げ遅れないことが重要だ」と述べている
要するにВоин DVの報告は「ロシア人に向けた状況説明」ではなく「クピャンスク方面で戦うウクライナ人兵士に対する情報戦」で、ヴェリカノボシルカやスジャの時も「この手の言及」が始まると「投降して命が救われたウクライナ人兵士の偽映像」が登場し、この映像に登場する偽兵士は「我々を置き去りにして旅団司令部が逃げた」と罵るがお約束だ。
出典:Сухопутні війська ЗС України
因みにВоин DVのやり方は「どんな手段を用いても戦況を有利にするという観点」から見れば何も間違っておらず、現地で戦うウクライナ兵士の幾らかは「自分たちが置き去りにされた」と疑心暗鬼になって逃げるかもしれないし、彼らが捨てた陣地が防衛ラインに致命的な裂け目を引き起こすかもしれないし、それがロシア人兵士の損失減に繋がるなら有益以外の何者でもない。
DEEP STATEはリマン方面ゼレベツ川沿いについて9日「ロシア軍がゼレナ・ドリナを占領した」と報告していたが、RYBARも12日「ロシア軍がゼレナ・ドリナを占領した」「ロシア軍がコロディアジ方向に前進した」「ロシア軍がカルピフカ方向に前進した」と報告、視覚的にもロシア軍兵士がゼレナ・ドリナ集落=Ⓐで国旗を掲げる様子が登場した。
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ロシア軍がゼレベツ川西岸を約13km西に前進すればオスキル川に到達し、これが実現するとボロバ周辺のウクライナ軍はクピャンスク西岸地区と同じように孤立する恐れがあるものの、リマンの背後には広大な森林地帯があるため「迂回して後方を遮断するアプローチ」と採用しにくく、この方向からの唯一の突破口は森林密度が薄いドロビシェフ周辺かもしれない。
どちらにしてもリマンからスラビャンスクに到達するのは容易ではなく、2022年の時もリマンからスラビャンスク方向への突破に失敗しているため、もしスラビャンスクを制圧するなら最低でもシヴェルシクを先に抑える必要があるだろう。
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そのシヴェルシク方面についてDEEP STATEは12日「ロシア軍がビロホリウカを完全に占領した」と報告、ヴェルフノカミャンスケとセレブリャンカを奪われるとシヴェルシクへの攻撃が可能になるが、一軸のみでの攻撃で防御を強化された街を落とすのは困難なので、こちらも南からのアプローチが必要になるかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:РИА Новости
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ウクライナ戦況 コメント: 53 』