「トランプ人事」無風、共和掌握鮮明に FBI長官も承認
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『【ワシントン=芦塚智子】米連邦議会上院は20日、連邦捜査局(FBI)長官にカシュ・パテル氏を充てる人事を承認した。トランプ大統領が指名した閣僚・閣僚級人事はこれでほぼ全員が承認される見通しとなった。資質が疑問視され難航が予想された人事も結局は大方無風に終わり、トランプ氏による与党・共和党内の掌握ぶりが鮮明となった。
パテル氏の承認は賛成51、反対49で、民主党議員に加え共和穏健派のコリンズ、マカウスキ両議員が反対に回った。
パテル氏は司法省のテロ担当検察官などを歴任後、2018年から連邦議会下院の情報特別委員会幹部だった共和党議員の補佐官を務めた。第1次トランプ政権では国防総省の首席補佐官や国家安全保障会議(NSC)のテロ対策上級部長に起用された。
トランプ氏を捜査したFBIなどを「ディープステート(闇の政府)」と攻撃した過去の過激な発言などから、承認が危ぶまれた閣僚級候補の一人だった。承認公聴会では陰謀論的な発言を封印して慎重な受け答えに徹したことなどが功を奏したようだ。
パテル氏のほか、性的暴力疑惑が浮上したピート・ヘグセス国防長官、ワクチン懐疑派として知られるロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官、経験の乏しさなどが問題視されたトゥルシー・ギャバード国家情報長官も承認され、既に就任した。いずれもトランプ氏による指名当初は共和内にも反対論があった。
指名発表後に人事が頓挫したのは、トランプ氏が司法長官に指名したマット・ゲーツ前下院議員だけだ。未成年の買春疑惑などで指名辞退に追い込まれた。
上院は24年の選挙で共和が多数派を奪回し、共和が53議席、民主が47議席となっている。賛成票と反対票が同数になった場合は上院議長を兼ねるバンス副大統領が1票を投じるため、共和は3人が造反しても人事を承認できる。
ヘグセス氏承認のカギを握ったのは共和のアーンスト議員だった。退役軍人で性暴力の被害を受けたことを公表しているアーンスト氏は当初懸念を示していたが、ヘグセス氏との面会後に支持に転じた。26年に改選を控えていることも判断に影響したとの見方がある。
トランプ氏に逆らえば、共和議員は改選時に予備選で対抗馬を立てられる恐れがある。21年の連邦議会占拠事件を巡る弾劾裁判でトランプ氏の有罪に票を投じたカシディ議員は、26年の共和予備選に向けて既に対抗馬の立候補の動きがある。医師であるカシディ氏はケネディ氏の承認公聴会で支持をためらう姿勢を示していたが、最終的には承認に賛成した。
ヘグセス、ケネディ、ギャバードの3氏の承認に反対票を投じた共和重鎮のマコネル議員は、20日に26年の選挙で改選を目指さず引退する意向を表明した。
ホワイトハウスによる周到な根回しも比較的円滑な承認に貢献したとみられる。米メディアによると、副大統領就任まで上院議員を2年務めたバンス氏が議員の説得に奔走したという。
閣僚・閣僚級人事は労働長官候補のロリ・チャベス・デレマー前下院議員や通商代表部(USTR)代表候補のジェミソン・グリア元USTR首席補佐官などが残っているが、いずれも承認される公算が大きい。』