そろそろ、ハード的な限界の見えてきた集積密度

そろそろ、ハード的な限界の見えてきた集積密度
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『2025 2月14

電子回路の細密化というのは、昔は倍々で進んできたのですが、そろそろ限界が近いようです。今の先端は、量産ベースで4nm(ナノミリ、1/1000ミリの単位)、研究ベースで2nmです。流通している殆どの高性能と言われるCPU、GPUの集積密度は、7nmですね。ちなみに、中国に輸出が許可されている露光装置(シリコン・ウェーハーに電子回路パターンを焼く装置。オランダのAMSLの独壇場の市場です。製造できるのが、そこしかありません)は、14nmまでの集積密度で、それ未満の集積密度で電子回路の焼付ができません。そのはずだったのですが、ハーウェイの発売したスマホ、Mate 60 Proに7nmの集積密度のチップが使われていて話題になりました。ハーウェイは、このチップの製造を、中国の半導体メーカーであるSMICへ発注したと言われているからです。

このように、集積密度=処理性能という図式が成立しているのですが、これが物理的に限界に来ています。この集積密度だと、余りにも回路間の幅が無いので、電子レベルで干渉を受けて、誤動作したり、高い電力消費によって、発熱が酷い事になり、回路の劣化が進み、寿命が実用に適さなくなるからです。集積密度が処理性能の向上に重要な理由は単純で、力技でそのチップで動く、全ての処理を高速で行えるようになるからです。つまり、ソフト側で工夫をしなくても、単純に処理スピードが上がります。

ところが、最近、パソコン用に開発されたGPUや、CPUが、今までに無いような故障の仕方をしています。例えば、RX5000シリーズという、発売されたばかりのnVIDIAのGPUですが、余りにも消費電力が大きいので、コネクタ部分が焼き切れるという、今まで聞いた事の無い故障が報告されています。消費電力が電子レンジ並みに大きいので、そういう発熱体を、精密部品の塊である基盤に接続して使う事自体が、無理があるのですが、処理スピードを上げるには避けられない問題です。しかも、冷却ファンと、放熱板の重みで、マザーボードがたわむくらい巨大化しています。

また、CPUの方も、消費電力が大きくなり、発熱が高熱になる傾向は同じで、こっちも、CPUと基盤の接点部分が焼けるという、余り聞いた事の無い故障が報告されています。こういう事故は、主に自作パソコンなどで、グリスの塗りムラなどで、皆無ではなかったのですが、あくまで製作サイドの組み立てミスに起因する事が多く、普通は無い故障です。あ、例外的にPentium4という、Intelの古い規格のCPUが、無理やりにクロック周波数を上げて、処理スピードを稼いでいて、冷却が弱いと煙を上げて燃えるという事がありましたけどね。自作派から地雷CPUとして、認識されていたシリーズです。

つまり、この発熱という問題が、物理的に集積密度の限界を示しつつあり、パソコンの性能が上がるに比例して、事故る確率と寿命の短命化が伸びています。集積密度が上がらなくなると、処理方法でスピードの向上を図るしか手段が無くなり、ハードウェア的には、多積層化といって、回路の上に別の回路パターンを焼き付けて、集積密度を上げずに処理スピードを稼いだり、処理の重い事は、別回路で専用に処理したりして工夫しています。ただし、あくまでも、工夫なので、以前のように、シリーズが更新されると、当たり前のように、旧世代より20%も30%も、全体の処理スピードが上がるという事は無くなりました。あくまで、特定の処理に限ってスピードが改善されるとか、そういう話になっています。

処理性能的には、ドン詰まりの上、昔のパソコンより、発熱が異常に伸びているので、故障しやすく、寿命は短くなっています。今のまま、電子回路を使って処理する方法は、この辺りが限界でしょう。また、このまま、電力に頼った処理を続けていると、EVなどを除いたIT業界だけの電力消費だけで、世界の発電能力を限界突破してしまいます。そこで、今後は、IWONという光電融合技術を用いた、デバイスの変換が進むと見られています。オン・オフの信号を伝えるには、電気信号でなくても、光の明滅でも良いわけで、光は基本的に発熱が低いです。全ての部分を置き換える事は、今のところ不可能ですが、低電力・高速化が期待できる新しい技術です。

今のインフラを維持し続けるだけでも、世界中の電力の消費量は、急カーブを描いて増え続ける事が予想されているので、発電量限界が、技術革新のボトルネックになる世界は、そう遠くない未来です。その時の解決の可能性が、電子回路に代わる光回路の導入です。
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