米効率化省、政府決済システムにアクセス 財務省認める
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN05FIZ0V00C25A2000000/
『2025年2月6日 7:09
トランプ氏は「政府効率化省」の責任者としてマスク氏を任命した(ワシントン)=ロイター
【ワシントン=赤木俊介】米財務省は4日、実業家イーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」の関係者に連邦政府の決済システムへのアクセス権を付与したと認めた。声明を出し「(DOGEの裁量で)政府機関から財務省へと提出された支払い申請が凍結、却下されることはない」と説明した。
財務省の決済システムは連邦政府によるほぼすべての支払いを処理する。システムを管理する米財政サービス局によると、同局は23会計年度(22年10月〜23年9月)に総額5兆4000億ドル(約823兆円)分の支払い手続きを済ませた。
米メディアによると、DOGEによる決済システムへのアクセスを拒否した財務省の官僚トップが1月31日に辞任し、DOGEは同日夜までにアクセス権を獲得していた。
報道を受け、上院財政委員会のワイデン委員(民主)は31日、ベッセント財務長官に宛てた書簡でマスク氏らが「政治的な意図から(決済システムに)干渉すれば、国家と経済に多大なる損害を与えかねない」と懸念を示し、説明を求めていた。
2月3日には米テクノロジー誌「WIRED」が複数の政府関係者の話としてDOGEのアクセス権が閲覧にとどまらず、決済システムを構築するコードベースそのものに干渉することが可能だと伝えていた。
財務省はDOGE関係者のアクセス権は閲覧に限られており、従来通りのセキュリティーやプライバシーに配慮した手順を踏んでいると報道を否定した。
財務省の決済システムには住所、社会保障番号、口座番号など手続き上必要となる個人情報も登録されている。アクセス権があれば、政府職員から政府手当の受給者まであらゆる個人の情報を閲覧できる。これまでは財務省のごく少数の官僚にのみアクセスが許されていた。
政府職員の労働組合などはDOGEによる決済システムへのアクセスが政府に個人情報の保護を義務付ける1974年のプライバシー法に違反したとして、3日に財務省とベッセント氏を相手取って訴訟を起こした。
上院民主トップのシューマー院内総務は同日、上院の議場で「ドナルド・トランプ(米大統領)はほぼすべての米市民の個人情報をDOGEに手渡した」と政権を強く非難した。トランプ氏は「連邦政府の効率化と生産性向上」を実現するため、大統領令でDOGEを新設しマスク氏を責任者として任命している。
トランプ氏は4日、マスク氏が「とても良い仕事をしている」と評価した。一方、同日には首都ワシントンの財務省周辺でDOGEに抗議する数百人規模のデモが開かれた。デモには民主党のラスキン下院議員やフロスト下院議員も参加した。
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