トランスジェンダーの女子競技参加禁止 米大統領令

トランスジェンダーの女子競技参加禁止 米大統領令
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN05FS00V00C25A2000000/

『2025年2月6日 7:04

トランプ氏はトランスジェンダー選手の女子スポーツ参加を禁じる大統領令に署名した=ロイター

【ワシントン=芦塚智子】トランプ米大統領は5日、出生時の性は男性だが女性を自認するトランスジェンダーの選手が女子スポーツに参加することを禁じる大統領令に署名した。トランスジェンダー選手が女子競技参加のために米国入国を求める場合、「詐欺」として拒否することも検討するよう指示した。2028年のロサンゼルス五輪にも影響する可能性がある。

トランプ氏は署名式で「常識だ」「女子スポーツは女性だけのものになる」と強調した。ロサンゼルス五輪について「我が政権は男性が女子選手を負かしたり虐待したりすることを座視しない」と述べた。

ルビオ国務長官が国際オリンピック委員会(IOC)に対し「米国はトランスジェンダーの狂気を断固として拒否する」ことを明確にすると語った。

大統領令により、トランスジェンダー選手の女子競技参加や女子用の更衣室利用を容認した学校や大学を調査し、違反した場合は政府の助成を打ち切ると説明した。

トランスジェンダーの女子競技参加を巡っては、「不公平」として反対する声とトランスジェンダーの権利擁護の観点から支持する声がある。

米紙ニューヨーク・タイムズが1月上旬に実施した世論調査では、国民の79%が女性を自認するトランスジェンダーの選手は女子スポーツに参加すべきでないと答えた。民主党支持者でも67%が反対している。

IOCは2021年に発表したガイドラインで、トランスジェンダー選手の参加規則については各競技団体の判断に委ねるとしている。

トランプ氏は就任初日の1月20日に性別は「生物学的な男女」のみとし、連邦刑務所などでトランスジェンダーが自認する性の施設を使用することを禁じる大統領令に署名した。トランスジェンダーの米軍入隊を制限する方針も示した。

米メディアによると、連邦地裁はトランスジェンダー女性の男性刑務所への移送を一時差し止める命令を出した。トランスジェンダーの米兵も訴えを起こしている。

バイデン前政権は学校スポーツでのトランスジェンダーの差別を禁止し、第1次トランプ政権によるトランスジェンダーの米軍入隊禁止を解除していた。

【関連記事】

・トランプ政権、反DEIで官僚機構に大なた 企業に波及も
・トランプ氏「性別は男女のみ」 多様性促進政策も廃止
・マクドナルドもメタも転換…DEI推進の「反動」なぜ? 』