DEEPSEEKが、発表された意図。

DEEPSEEKが、発表された意図。
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/36098531.html

『物議を醸している中国製のAIであるDEEPSEEKですが、ここに5年間で、21兆円(1兆元)の投資が行われるそうです。どうも、当初アナウンスの安価に製造できるはずのAIに、なぜ、これだけの投資が必要なのか、不思議ですね。つまり、今用意されている開発レベルは、OpenAIなりから、データを引っ張ってきているので、素のデータを自力で加工して、サービスを提供し続けるには、その部分のシステムを用意する必要があるという事でしょう。つまり、加工後のデータの中で利用する分には、盗ってきたデータの中で生成するので、費用はかからないけど、情報の更新は必要ですから、サービスを継続するには、それなりの施設を整えないといけないという事だと思います。

実際、DEEPSEEKの中では、トランプ大統領の再選が認識されておらず、未だに第一次政権時代の事しか回答がされません。つまり、ディープラーニングする元情報の更新が止まっているという事です。この先、常に最新のデータで学習を続けるには、自力で一次情報からの抽出をする必要があり、それには、設備と費用がかかるものと思われます。つまり、9億円程で開発したという開発者の言葉の中には、色々と省かれた費用が、その他に存在していると思われます。まぁ、将来の発展・展開を見据えて、それだけの投資をするという意味かも知れませんが、どうも、強調されている安価という部分と、投入される資金の額に差を感じます。

中国のIT企業であるアリババも、Qwen2.5-Maxという、DEEPSEEKライクなAIを発表していて、中国においてAI開発は、普通に進んでいて、発表するタイミングを待っていたと思われます。それは、トランプ大統領の就任直後という事ですね。バイデン政権の時から、AI開発と運用に使う高性能AI専用のGPUは、輸出規制が、かかっていましたが、第三国経由など、ちょっとした細工をすれば、大量に手に入れる事は可能だったと言われています。つまり、アメリカから直輸入ができないだけですね。穴だらけでした。なので、中国国内では、一般の認識とは違い、普通にAIの開発が進んでいて、後は、最も効果的なタイミングで発表を待つだけだったと推測されます。同じような特徴のAIが複数の企業から、出てきている点から見て、ベースの開発情報は共有されていると見て良いでしょう。

さて、技術的面と経済価値の面での話とは別に、このDEEPSEEKの発表は、別の問題を引き起こします。安価という事です。これは、ブランドと独占で、高付加価値情報で対価を得る仕組み自体を破壊する可能性があります。中国があらゆる製品で行っている、ダンピングで世界市場でのシェアを獲得して、ライバル企業を潰して、市場を独占してから、価格を吊り上げるという戦略が、AIの世界でも成立してしまうのですね。儲からないビジネスになったら、莫大な投資を必要とするAIは廃れます。国家の金が企業に支援で入っている中国には、敵いません。つまり、中国の独占市場になる可能性があります。

それと、AIというモノが、学習に細工をする事で、開発元に都合の良い回答を返すようにできるのが、DEEPSEEKで明らかになりました。例えば、「尖閣諸島は、どこの国の領土ですか?」と聞いて「中国です」と返ってくるわけです。つまり、中国政府の主張の代弁者になります。素朴に正しい回答を返してくれると信じていると、世の中とは別の常識が生成される事になります。無料・安価という事で、世界中で中国製のAIが使われるようになると、AIの回答が世の中に反して常識になる可能性があります。アメリカの大手がビジネスが成立する程の高額な使用料を請求する場合、無料の中国AIが市場を制覇する可能性は低く無いです。もちろん、原資が、かかっているのですから、使用料が必要で、利益を出していかないと開発が継続できないのですが、中国政府というスポンサーが、いくらでも補填してくれるなら、話は別です。そして、一度シェアを奪われると、ビジネスとして、引き合う利用料は取れないでしょうし、そもそも投資が継続できません。

技術分野としては、最先端ですが、その戦い方は、従来の実に古臭い、中国産業の戦い方です。格安という触れ込みで、シェアを奪って、その分野を独占する方法ですね。ただし、中国の場合、EV市場を見ていると判りますが、国の補助金が出るとなると、競争が加熱して、身内同士でも価格による叩きあいが起きて、儲からない事業になってしまうのですよね。実際、EVを売って、利益が出ているのは、BYDのみと言われていて、他は政府からの援助で成り立っています。なので、売上が伸びているのに、借金も累積して伸びるという歪な産業になっていて、構造的に不動産バブルと似ています。BYDでも、膨らんだ借金の返済が可能か、現在の時点で疑問視されているくらい、薄利です。

こうなると、AIという分野自体の発展が止まる可能性もあります。投資が回収できてこそ、開発に資金が回せるわけで、安く提供するだけでは、その産業の未来は見えているという事です。』