トランプ氏のAI覇権、メタやMicrosoft呼応 22兆円投資
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『2025年1月30日 14:04 [会員限定記事]
【シリコンバレー=渡辺直樹】トランプ米政権が経済の最重要課題として掲げる人工知能(AI)戦略に呼応し、マイクロソフトやメタなどの米テクノロジー企業が22兆円に及ぶ巨額投資を続けている。中国の低コストAI、DeepSeek(ディープシーク)に警戒が強まる中でも、規模の経済を生かし米国のAI覇権を後押しする。
「データセンターの拡大を続け、この3年で能力は2倍以上になった」。29日に決算発表した米マ…
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『「データセンターの拡大を続け、この3年で能力は2倍以上になった」。29日に決算発表した米マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は提携するオープンAIの「チャットGPT」など生成AIを動かすための巨額インフラ投資の実績を強調した。
マイクロソフトが計画するデータセンターの年間投資は800億ドル(約12兆円)に達する。10〜12月期の決算は純利益が前年同期比10%増にとどまったが、決算説明会では急増する生成AIの需要に能力増強が追いつかず機会損失が発生していると釈明した。
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同日決算を発表したメタも年間設備投資が最大650億ドルになる見通しを示した。両社の総額は年1450億ドルで日本円に換算すると22兆4000億円という天文学的な数字だ。マーク・ザッカーバーグCEOはAIに長期的に数千億ドルを投じると述べた。
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AI投資ではソフトバンクグループ、オープンAI、米オラクルが1000億ドル、5年で5000億ドルとなるAIインフラ事業「スターゲート」を発表したばかりだ。各社の強気の投資の背景にはトランプ新政権が掲げるAI振興策がある。
AI覇権へ、トランプ氏が規制緩和の大統領令
「AIの世界的なリーダーの地位を固める」。トランプ大統領は23日、米国のAI覇権獲得を狙った大統領令に署名した。バイデン前政権が進めたAIの安全管理を求める規制を破棄し、新たに国家安全保障や経済協力強化のため、米国のAIの優位性を高める行動計画を180日以内に大統領に提出するよう命じた。』
『バイデン前政権はAI開発において安全検証を企業に義務付けようとしていたため、開発工数が増えて人員や費用の負担が重くなり、技術開発力で米国が出遅れる懸念がテック企業にはあった。
データセンターで急増する電力需要への対応でも規制緩和に期待がある。
トランプ氏はエネルギー非常事態宣言の権限を使うとまで宣言した。データセンター投資の泣きどころとなっている電力確保や建設承認といった面で政府の後ろ盾が得られば、テック企業はより高性能なAI開発を進めやすくなる。』