中国・深圳の邦人男児刺殺事件、45歳男に死刑判決

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中国・深圳の邦人男児刺殺事件、45歳男に死刑判決
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM242BB0U5A120C2000000/

『2025年1月24日 20:02 (2025年1月24日 21:25更新)

裁判所に入る被告を乗せたと思われる車列(24日午前、広東省深圳市)
【深圳=藤野逸郎】中国南部、広東省深圳市の中級人民法院(地裁)は24日、2024年9月に日本人の男児を刺殺し、故意殺人罪で起訴された中国人の男、鐘長春被告(45)を死刑とする判決を言い渡した。24日に初公判が開かれ、判決が出た。金杉憲治駐中国大使が北京市内で記者団に明らかにした。

日本の外務省によると判決は「被告人はインターネットで注目を集めるために刃物を購入し、その刃物でなんら罪のない児童を殺害し、犯行後にはメディアに電話をかけるなど極めて悪辣、かつ重大な犯行であって極刑が相当」とした。動機に関して日本への言及はなかったという。

外務省関係者によると、被告から謝罪や反省の発言はなかった。金杉氏によると被告は「被害者のご家族、弁護士および在中国日本大使館と話したい」と発言した。

執行猶予はついていない。中国は二審制をとっており、被告が控訴するかの情報は入っていないという。

裁判は現地時間の午前9時半に始まり、約1時間後に休廷。同午後3時に再開し、判決文を読み上げて終了した。被害者の遺族のほか、在広州日本総領事館の貴島善子総領事らが傍聴した。早朝から裁判所に隣接する一部の道路が封鎖され、周辺は公安など当局職員が多数配置されていた。

事件は24年9月18日、同市南山区にある日本人学校に登校中だった男児(当時10歳)が、被告に刃物で切りつけられて翌日に死亡した。男児は母親と一緒だった。被告はその場で当局に拘束され、逮捕されていた。

深圳は電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)や通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)などが本社を置く中国有数の経済都市だ。日本企業の拠点も多く、23年10月時点で約3600人の日本人がいる。

23日には、江蘇省蘇州市の地裁が24年6月に同市で日本人の母子らが刃物で襲われた事件を巡り、故意殺人罪で起訴された中国人の男を死刑とする判決を言い渡した。

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