中東・アフリカ、気候変動にAI活用 災害予防に軸足

中東・アフリカ、気候変動にAI活用 災害予防に軸足
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR149IA0U5A110C2000000/

『2025年1月20日 4:00 [会員限定記事]

気候変動問題が真っ先に表面化する地域である中東・アフリカで対策や適応に人工知能(AI)を利用する機運が高まっている。多大な電力を消費するAIは「解決」ではなく「問題」の一部との観測もある。中東の産油国はテック大手の主張を取り入れ、段階的な脱石油という国家戦略と調和させようとしている。

1月14〜16日にアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで開いた「世界未来エネルギーサミット」で発表された報告書は…

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『生成AIは大量の電力を消費することで知られる。対話型AIの「Chat(チャット)GPT」は通常のグーグル検索に比べて一回あたり25倍の電力を使うとの試算がある。AIの電力消費量は2030年にはフランスの消費量の2倍に達する可能性がある。予想を上回る電力消費が、温暖化ガスの抑制に逆行するのではないかという懸念が向けられている。』

『それでもAIが気候変動対策の有力ツールとなる期待は大きい。国連のグテレス事務総長は24年の国連総会演説で、持続可能な開発目標(SDGs)の達成でAIの活用と、それを規制する国際協力の重要性を強調した。

24年に世界食糧計画(WFP)は英オックスフォード大などが東アフリカを舞台としてAIを利用した新しい気候変動予測のモデルを作成した。降雨量や干ばつについてより正確な早期警告を提供することで、気候変動の被害への対策ではなく予防に軸足を移すことが可能になる。大手テック企業の主張によればAIを利用することで温暖化ガスの排出量は10%削減されエネルギーコストを10〜20%抑制できる。』

『化石燃料の利用に急ブレーキをかけ、一足飛びのクリーンエネルギーへの移行を「非現実的」と主張してきた中東の湾岸産油国の戦略とAI利用は親和性が高い。中東の国営石油会社は欧米の民間石油企業が、株主の圧力で投資を一気に縮小したのを尻目に、AIやビッグデータなどの分野に多額の投資をおこなってきたからだ。

UAEは23年の第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)のホスト国だった。UAEは世界未来エネルギーサミットを気候変動へのAI利用を訴えるプラットフォームとして活用しようとしている。』

『気候変動の「元凶」ともいえる石油の輸出を国家発展の柱に据えてきた産油国の気候変動対策は広義の「グリーン・ウオッシング」(イメージ改善を目的とした見かけだけの対策)という批判もある。気候変動対策の焦点がサプライチェーン(供給網)全体の温暖化ガス排出量「スコープ3」へと移るなか、産油国もふくめたパートナーシップや対策の透明性が求められている。』