ブラジルはインドになれない ビニシウス・ビエイラ氏

ブラジルはインドになれない ビニシウス・ビエイラ氏
ブラジルFAAP大准教授
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1400K0U5A110C2000000/

『2025年1月15日 18:00 [会員限定記事]

ブラジルは大国と言えるのだろうか。2024年11月、ブラジルはリオデジャネイロでの20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を成功させた。ただ、国際社会のなかでの地位は中規模国家あるいは地域大国なのではないか。

ブラジルはBRICSに名を連ね、それなりの経済規模を持ち、中南米諸国やアフリカにも影響力を持つ。だがインドのような国際的地位や発言力は持てない。軍事大国ではなく、核兵器も保有していないから…

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『第2次世界大戦後、インドは東西いずれの陣営にも加わらない「非同盟運動」を主導した。常に途上国をけん引し、西側諸国の支配に対しある種の敵対的な姿勢を示そうとしてきたのだ。』

『ブラジルはポルトガルなしには存在しなかった。ポルトガル人によって植民地化とキリスト教化が進み、アフリカや先住民の要素を融合させ、新しい文明が生まれた。』

『だがブラジルのエリート層は自分たちを西洋的だと考えている。ボルソナロ前大統領のような右派が政権を握ると、欧州連合(EU)や米国との関係強化を求める。』

『一方、現在のルラ氏のように左派が政権につくと、先進国ではなく、グローバルサウスの国々と利害を共有すると言い出す。これがブラジル人の曖昧な二面性だ。』

『ブラジルでは最近、「積極的非同盟」がよく話題になる。インドは政権が代わっても「戦略的自律」という外交方針を貫いてきた。BRICSに今年加盟したインドネシアも日本や韓国のように米国と強力な同盟関係を築いてこなかった。これこそ、ブラジルが進むべき道ではないかというわけだ。』

『「熱量」、外交力に差

貧しさゆえにブラジル北東部からサンパウロ州に出てきたルラ大統領が最初に働いたのは、日系人が営むクリーニング店だった。その後、旋盤工をしている時に左手小指を失った。インドのモディ首相は子どものころ、地元の言葉しか話せず「駅で紅茶を売りながらヒンディー語を覚えた」と最近、メディアに明かした。
寒村の生まれから国家のトップに上り詰めた2人。両国は今やグローバルサウスの代弁者と称される。しかし、昨年、かつて赴任していたブラジルを16年ぶりに訪ね、インドほど外交的野心に満ちていないと感じた。欧米諸国に代わって中国に対峙し、発言力を高めようともくろむインドと、域内の大国で満足しているブラジルの熱量の違いだと気付いた。
どちらが正しいと言えるものではない。ただ、予測不能なトランプ次期米大統領と相性がいいのはモディ氏だろう。一方、米共和党の急進派の一部はボルソナロ一族と結びつきが強く、ルラ氏の再選阻止に動こうしているという。今年はこの両国から目が離せない。(ニューデリー=岩城聡)』