韓国大統領、選挙管理に疑念 野党「国民へ宣戦布告」

韓国大統領、選挙管理に疑念 野党「国民へ宣戦布告」
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『2024年12月12日 19:34 (2024年12月12日 22:13更新) [会員限定記事]
12日、ソウルの韓国大統領府で談話を発表する尹錫悦大統領(大統領府提供)=聯合・共同

【ソウル=甲原潤之介】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は12日に発表した国民向け談話で、3日夜の非常戒厳の判断を正当だと訴えた。「闘い続ける」と表明し、自ら辞任をせず法廷闘争で勝つことに意欲を示した。野党は「国民への宣戦布告だ」と反発を強めた。

尹氏はおよそ30分にわたり持論を展開した。前半は野党批判に費やした。「巨大野党は国民が選んだ大統領を引きずり下ろすため、退陣と弾劾の扇動を止めない」「北朝鮮の肩を持ち、どこの国の政党か分からない」などと不満を漏らした。

その上で、自らが非常戒厳という決断に至った動機を口にした。選挙管理委員会が北朝鮮からハッキング攻撃を受けながら「ほんの一部しか点検に応じなかった」と語った。「選管は強制捜査が事実上できない。それで国防相に指示した」と明かした。

野党が検事や監査院長の弾劾を推進したことも引き金となり「これ以上、見過ごすわけにいかないと判断した」と述べた。4月の総選挙で尹氏の与党「国民の力」は大敗しており、選挙結果への疑念を膨らませていたようだ。

非常戒厳で兵力を投入したのは1?2時間程度で「もし国会の機能をまひさせようとしたなら、平日ではなく週末に発動した」などと説明した。

非常戒厳は「司法審査の対象とならない統治行為だ」とし、内乱罪に問われないとの認識を示した。「大統領の高度な政治的判断だ。私は国会の解除要求を直ちに受け入れた」と憲法に従った点を強調した。

尹氏は現在も軍の統帥権や人事権などを握る。聯合ニュースによると12日も法律案21件と施行令案21件に署名した。

与党「国民の力」は7日、尹氏が政局運営や自らの任期を党に一任すると談話を出したのを受け、弾劾訴追案の投票拒否でまとまった経緯がある。

尹氏が早期退陣を否定したのを受け、与党の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は「国民への約束を破った」と批判した。「大統領は軍統帥権をはじめとする国政運営から直ちに排除されなければならない」と明言した。

弾劾訴追案が可決されれば尹氏は職務停止となり、首相が権限を代行できる。軍統帥権などが尹氏に残る状態は解消する。野党は12日、弾劾訴追案を再び国会に提出した。14日の採決をめざす2度目の弾劾案で賛成に回る与党議員が増えるよう、切り崩しを進める。

だが罷免して新たな大統領を選ぶには憲法裁判所の手続きが残る。9人の裁判官のうち6人以上の賛成が必要で、現在は空席が3人いるため6人全員の賛成という壁がある。6人には保守系とされる裁判官も含まれ、尹氏は最終的に失職しないと考えている可能性がある。野党は空席の裁判官の任命手続きを急ぐ。

最大野党「共に民主党」の朴贊大(パク・チャンデ)院内代表は尹氏が「極右ユーチューバーに毒され、正常に職を遂行できる状態ではない」と訴えた。「与党議員は理性と良心を回復し、国民の命令に従ってほしい」と呼びかけた。

弾劾案の可決には与党から最低8人の造反が必要になる。聯合ニュースは12日夕時点で、賛意を示した議員が7人に上ると報じた。

中央選挙管理委員会は尹氏の主張に強く反発した。2023年に3カ月かけてサイバーセキュリティーの検査を施し、北朝鮮によるハッキングの痕跡はなかったと説明した。一部の脆弱性が見つかり、24年4月の総選挙までに対策したと表明した。

選挙不正は「事実上不可能なシナリオ」とし、尹氏の選管批判は「自分が大統領に当選した選管システムに対する自己否定だ」と強調した。

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