韓国「核保有国になれる準備を」 アメリカへの疑心抱く
核なき世界の現在地(3)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM149310U4A111C2000000/
『2024年12月4日 2:00 [会員限定記事]
韓国のソウルから北朝鮮の平壌までは約200キロメートル、東京から福島の距離ほどしかない。国際原子力機関(IAEA)は6月、平壌の近郊に核兵器の原料となる高濃縮ウランの生産施設が完成したと指摘した。
「ここは見るだけで力が出る」。北朝鮮の朝鮮中央通信はその3カ月後、遠心分離機が整然と並ぶ建屋を視察する朝鮮労働党総書記、金正恩(キム・ジョンウン、40)の動静を伝えた。新たな核施設の存在を明かす写真と記事は韓国に衝撃を与えた。
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『核拡散防止条約(NPT)体制は非核国への濃縮や再処理技術の拡散を防いできた。例外扱いの日本は青森県にウラン濃縮工場を持ち、非軍事用として45トンのプルトニウムを保有する。韓国は日本を「決断次第でいつでも核兵器を持つ能力がある国」とみなしている。』
『北朝鮮が韓国を核攻撃したら、米国は核のボタンを押してくれるのか。韓国の「疑念」にこたえようと、米軍は23年に核兵器を搭載できる原子力潜水艦を釜山港に入港させ、戦略爆撃機B52を韓国に着陸させた。
それでも収まらない核保有論に米国は懸念を募らせる。韓国が核保有に転じれば非核国が続々と核保有を訴え、東アジアの核ドミノを引き起こしうる。』
『10月末、米首都ワシントン。米韓の外務・国防関係閣僚会議(2プラス2)がまとめた成果文書は、韓国も含む「朝鮮半島の非核化」を明記した。さらに、米国による念押しの跡がうかがえる一節がこう記された。「両国はNPTの義務に対する長年の公約を再確認した」』