トランプ氏、ウクライナ特使にケロッグ氏 停戦交渉主導

トランプ氏、ウクライナ特使にケロッグ氏 停戦交渉主導
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『2024年11月28日 5:39 [会員限定記事]
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岩間陽子さんの投稿
岩間陽子

ケロッグ元米陸軍中将はウクライナがめざすNATO加盟を長期間延期すべきだと唱える=AP
【ワシントン=坂口幸裕】トランプ次期米大統領は27日、ウクライナ・ロシア担当特使にキース・ケロッグ元米陸軍中将を指名すると発表した。大統領補佐官も兼務する。トランプ氏が早期終結を掲げるロシアによるウクライナ侵略を巡る停戦交渉を仕切るとみられる。

トランプ氏は声明で「キースは1次政権で国家安全保障の要職に就くなど軍とビジネスで卓越したキャリアを積んできた。彼は最初から私のそばにいた」と指摘。「力による平和を確保し、米国と世界を再び安全にする」と強調した。人事には上院での承認が必要になる。

ケロッグ氏は1次政権でペンス前副大統領の補佐官(国家安全保障担当)を務め、トランプ氏に外交政策を助言してきた。現在はトランプ氏に近い人物が運営するシンクタンク「アメリカ・ファースト政策研究所(AFPI)」の米国安全保障センターの共同議長を務める。

AFPIが4月に公表した外交政策の提言を1次政権で国家安全保障会議(NSC)高官だったフレッド・フライツ氏と執筆した。

米国の安保政策について「強力な軍隊を持ち、軍事力を慎重に使い、米軍を不必要で際限のない戦争に巻き込まないことが必要だ」と記した。同盟・有志国を巡っては地域の安定へ協力しつつ「十分な役割を求める」とうたう。

ケロッグ氏は停戦協議への参加を条件に、ウクライナに武器支援を継続する必要性を唱える。和平合意後を見据え、ロシアが再び侵略しないようウクライナの抑止力を高めるべきだとの立場だ。

ロシアのプーチン大統領の和平協議への参加を促すため、和平合意と引き換えにウクライナがめざす北大西洋条約機構(NATO)加盟を長期間延期するよう提案すべきだと主張する。NATO加盟国には目標である国内総生産(GDP)比2%の防衛費達成を迫る。

米国とウクライナの2国間で、長期的なウクライナ防衛を担保する取り決めを結ぶべきだと訴える。ウクライナ復興費用を捻出するため、ロシアからエネルギーを買い取る国に特別税を課すべきだとも提起する。

トランプ氏は同盟・有志国に防衛費の増額を迫りつつ、自国の軍事力増強にも軸足を置く。自身が大統領在任中にはウクライナや中東で紛争が起きなかったと訴え、新政権でも「力による平和を取り戻す」と繰り返す。

ケロッグ氏はAFPIの提言で、トランプ氏が重んじた「抑止力の強化と力による平和でプーチン氏は近隣諸国への侵攻を思いとどまった。他の米国の敵と同様にトランプ氏を予測不能で型破りな人物と見ていた」との見方を示した。

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岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
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分析・考察キース・ケロッグ氏はこの春ウクライナ政策に関するペーパーをFred Fleitzと共にAFPIのために書いています。https://americafirstpolicy.com/issues/america-first-russia-ukraine これを読むと、従来のバイデン政権のウクライナ政策批判はかなり的を得ています。このまま泥沼の戦争を続けることはアメリカの国益に適わないという主張も頷けるものがあります。和平に関してこの論考が主張しているのは本記事に書かれている通りの内容です。Foreign Affairs誌のRichard Haas/Charles Kupchanの論文も引用しており、ある程度国際派にも配慮し、アメリカ・ファーストは孤立主義ではないと明言しています。私はそれなりに期待の持てる人選だと思います。
2024年11月28日 10:54
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