トランプは「2018年と2023年の習近平」と同じ道を辿る
https://gendai.media/articles/-/142058
(※ 一部抜粋。)
※ 『中国には、「小事は智によって成し、大事は徳によって成すが、最大事は運によって成す」という言い方もある。』…。
※ 『「桐一葉落ちて天下の秋を知る」。』…。
※ 嚙みしめておこう…。
『だが古今東西、「絶頂の時は凋落の始まり」である。中国ウォッチャーの私には、現在のトランプが、「2018年3月と2023年3月の習近平」と、ダブって映る。』
『好き勝手な政策ばかり推し進めた結果…
だが、ガチガチの「イエスマン体制」を築いた結果、どうなったか? まず習近平主席が、わが意を得たりとばかりに、「ほしいがままの政治」を始めた。習主席は3月13日の国家主席受諾演説で、威風堂々と述べた。
「現在から今世紀半ばにかけて、全面的に社会主義現代化の強国を建設し、全面的に中華民族の偉大なる復興をすることが、全党全国人民の中心的な任務である。われわれはさらに優れた発展と安全をコントロールしていく必要がある。安全は発展の基礎であり、安定は強国の前提である。強国の建設には、党の指導と党中央(習近平総書記)による集中的な統一指導の堅持が必須なのだ」
こうして、いわゆる「総体国家安全観」という政策を推し進めていったのである。平たく言えば、「中国ファースト」→「中国共産党ファースト」→「習近平総書記ファースト」へと移行していく流れだ。昨年7月には習近平体制に対する社会の反抗や動揺を阻止すべく、反スパイ法を改正し、今年5月には国家秘密保護法を施行した。今年3月には、国務院(中央官庁)を党中央の下部組織のようにする国務院組織法も制定した。』
『習近平グループ内部の「権力闘争」
2023年に北京で起こったもう一つの現象は、「習近平グループ内部」の権力闘争の激化である。習主席は前述のように、究極の「お友達共産党」及び「お友達内閣」「お友達軍隊」を築いた。それでおそらく、権力闘争は一息ついたと思ったことだろう。
だが実際には、「習近平グループ内部」で、激しい権力闘争が始まったのである。まもなく秦剛・国務委員兼外相、李尚福・国務委員兼国防相らが「犠牲」となった。
なぜ同じ「習近平グループ同士」で権力闘争が起こるかと言えば、それは誰もが習近平主席だけを見て仕事しているからだ。政治はもとより、経済も外交も軍事も、何もかもを習主席一人が決める体制にしたのだから、誰もが習主席を見て仕事するのは当然のことだ。
その結果、3期目の習近平体制は、習主席と各部下たちという「縦の連携」だけが太くて、部下同士の「横の連携」が頗(すこぶ)る細いのである。そのため往々にして、チグハグな政策が実行されることになる。』
『同様に、来年1月にトランプ政権が出帆するや、おそらくは「トランプグループ内」で、すぐに激しい権力闘争が巻き起こるだろう。幹部たちは皆、トランプ大統領しか見ていないため、横の連携がうまく取れないからだ。』
『2期目のトランプ政権の政策と人事に続く3つ目の問題点は、トランプ大統領の年齢である。78歳という史上最高齢で大統領に就くことになるからだ。いくら見た目を若々しく装っても、寄る年波には勝てない。諸政策の細かい部分で、おざなりになっていくはずだ。
まさに、今年6月に71歳を迎えた習近平主席が、そうなりつつあるのだ。それは、あまりに自分一人に権限を集中したために、疲れてしまったところもあるだろう。』
『総じて言えば、トランプ大統領にしても習近平主席にしても、最終的にいつまで「強権政治」を続けていられるかは、「運」次第だと思う。中国には、「小事は智によって成し、大事は徳によって成すが、最大事は運によって成す」という言い方もある。
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いまのところ両雄とも、この地球上で稀に見る「強運の持ち主」であり続けている。トランプは計91件もの罪で起訴され、うち34件で有罪評決を受け、大統領として2回弾劾されても、次期大統領に当選してしまった。習近平も過去に何度もピンチに陥ったが、そのたびに「強運」によって突破してきた。
「強運」がいつ尽き果てるかは、誰にも予測できない。ジャーナリストとしてできることは、次の一句を常に銘心しておくことだけだ。「桐一葉落ちて天下の秋を知る」。』