米大統領選2024〉政治団体、巧妙な高額献金
規制くぐり特定候補と連携 富裕層の政策介入に懸念
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79471930S4A320C2FF8000/


『2024年3月23日 2:00 [会員限定記事]
【ワシントン=芦塚智子】11月の米大統領選に向けて「スーパーPAC」と呼ばれる政治団体が影響力を拡大している。政治献金の集金・支出に上限がないため、選挙費用の高騰や富裕層の政治介入を招くとの批判が出ている。
デサンティス氏支援のスーパーPACのイベントの垂れ幕。団体名が下部に小さく記載されている(1月)
スーパーPACは企業や団体が政治献金の集金・支出のために設立する政治活動委員会(PAC)の一つだ。連邦法で候補陣営への資金提供や連携を禁じられている。本来は特定の候補や政党から独立して活動する。
民主党全国委員会は2月初め、大統領選に無所属で立候補しているロバート・ケネディ・ジュニア氏を支援するスーパーPAC「アメリカの価値観2024」が、候補陣営と違法に連携しているとして連邦選挙委員会(FEC)に告発した。
具体的には、同団体が大統領選の投票用紙にケネディ氏の名前の記載を求める署名活動を肩代わりし、約1500万ドル(約23億円)の投入を発表したと指摘した。連邦法が禁じるスーパーPACによる候補陣営との連携や資金提供にあたると主張している。
民主党はさらに、トランプ前大統領の大口献金者が同団体に1000万ドルを献金していることにも言及した。前大統領は共和党の大統領候補指名が確実だ。同団体の活動は再選を目指す民主党現職バイデン大統領の票を奪うのが目的と示唆した。
連邦最高裁は2010年、企業や団体には言論の自由があるとして政治献金を制限する過去の法律を違憲と判断した。同判決を受けて、個人や企業、団体から無制限に集金できるスーパーPACが誕生した。富裕層の大口献金はスーパーPACに流れる傾向がある。
米調査サイト「オープンシークレッツ」によると、20年の選挙でスーパーPACが集めた総額は約34億ドルと12年の約8億ドルの4倍以上に達した。今回も既に約10億ドルを集めた。上位1%の大口献金が個人献金額の94.7%を占める。
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