[FT]弾薬輸出増やすセルビア、ウクライナに迂回供給
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB030TS0T00C24A7000000/
『2024年7月3日 19:00
セルビアは欧州で対ロシア制裁に加わっていない2カ国のうちの1つだ。一方で、西側諸国を経由してウクライナへの弾薬供給をひそかに増やしている。
フィナンシャル・タイムズ(FT)が入手した推計データによると、セルビアから輸出され第三国を通じてウクライナに渡った弾薬は、ロシアが2022年にウクライナに全面侵略を開始して以降、総額で約8億ユーロ(約1390億円)に上る。
セルビアのブチッチ大統領は、これが…
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』
『セルビアのブチッチ大統領は、これがおおむね正確な数字であることを示唆し「経済再生の一環として、われわれにとって重要な意味を持つ」と語った。
ブチッチ氏は弾薬の輸出を認めた上で「ウクライナとロシアには輸出しないが、米国、スペイン、チェコなどと多くの契約を結んでいる。最終的にどう使うかは彼らの決めることだ」と述べた。
さらに「私の役目は、弾薬の合法的な取引が行われるようにすることだ。私は自国民を大事にしなければならない」と付け加えた。
セルビアは北大西洋条約機構(NATO)にも欧州連合(EU)にも加盟していない。1999年にNATOから空爆されたことを受けて西側にはなびかず、親ロ的な国民感情も強い。
ブチッチ氏は、対ロシア制裁への参加を求める西側からの圧力には屈しないものの、EU加盟を目指す方針に変わりはないと明言してきた。一方でロシアのプーチン大統領とも距離を置いている。
西側外交官の1人は「ブチッチ氏をプーチン氏から引き離すように欧州と米国が仕向けてきた」と指摘する。「それが成功した。ブチッチ氏はもう何年も、プーチン氏に会うどころか、電話すらしていない」
複数の外交官やアナリストの話では、セルビアが輸出経路をうまく隠していることから、ウクライナへの弾薬供給は公式統計に現れていない。
旧ユーゴスラビアの一部だった東西冷戦期に軍需産業が栄えたセルビアでは、ウクライナ軍で依然広く使われている旧ソ連規格の弾薬が生産されている。ブチッチ氏は、西側諸国製より安価なセルビア製の弾薬輸出が増えるとの見方を示す。
セルビアのマリ財務相も、人口およそ700万人の国内で2万人を雇用する防衛産業が急拡大する可能性を見いだしている。「先進国の生産能力にはまだ及ばないものの、今こそが好機だ」
By Alec Russell and Marton Dunai
(2024年6月22日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)
(c) The Financial Times Limited 2024. All Rights Reserved. FT and Financial Times are trademarks of the Financial Times Ltd. Not to be redistributed, copied, or modified in any way. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translation and the Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
【関連記事】
・米国、ウクライナに3700億円の軍事支援 国防相会談
・プーチン氏、韓国に対抗示唆 ウクライナに兵器支援なら
・米国、対空ミサイルをウクライナに優先供給 他国は遅れ 』