バイデン氏が選挙戦継続の可否検討 米紙、報道官は否定
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN03EO10T00C24A7000000/
『2024年7月4日 5:33
【ワシントン=坂口幸裕】米紙ニューヨーク・タイムズは3日、11月の大統領選で再選を目指してきた民主党のバイデン米大統領が選挙戦を継続する可否を検討していると側近に伝えたと報じた。米ホワイトハウスのジャンピエール大統領報道官は同日の記者会見で報道について「絶対にない」と否定した。
ニューヨーク・タイムズは共和党のトランプ前大統領と参加した6月27日のテレビ討論会で酷評されたのを受け、バイデン氏が「…
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『ニューヨーク・タイムズは共和党のトランプ前大統領と参加した6月27日のテレビ討論会で酷評されたのを受け、バイデン氏が「数日以内に世論を納得させられなければ候補者として挽回できないかもしれない」とも語ったとも伝えた。
ジャンピエール氏はニューヨーク・タイムズの報道について「我々はバイデン氏に尋ねた。この質問に対して直接答え『絶対に噓だ』と言った。バイデン氏から直接聞いた」と説明した。
米CNNによると、バイデン氏は3日に選挙スタッフとの電話協議で「私は民主党の候補者だ。退かない。選挙戦に最後まで参加し、勝利するつもりだ」と述べた。民主内から公然と出ている撤退要求を念頭に「誰も私を追いやろうとはしていない」とも訴えた。
ジャンピエール氏によると、ザイエンツ大統領首席補佐官が選挙スタッフを招集し「チームとして団結して支え合う重要性を話した」という。
バイデン氏は3日、民主党のシューマー上院院内総務やジェフリーズ下院院内総務ら議会指導部と意見を交わした。黒人の重鎮であるジム・クライバーン下院議員、ナンシー・ペロシ元下院議長、選対幹部のクリス・クーンズ上院議員とも接触した。
同日に民主党の20人ほどの知事らとも会談する。週内に予定する米メディアとのインタビューや支持者との集会などもこなし、認知力への疑念払拭に努める構えだ。
民主内では精彩を欠いたバイデン氏の討論会を受け、撤退論が公然と出始めている。ロイド・ドゲット下院議員は2日の声明で「バイデン氏が撤退という苦渋の決断をするよう望む」と提起した。AP通信によると、現職議員として初めて公の場で選挙戦から退くよう求めた。
マリー・ペレス下院議員は「バイデン氏がトランプ氏に負けるというのが真実だろう。あの討論でダメージを受けた」と指摘した。
ブルームバーグ通信によると、民主の議員数十人がバイデン氏に選挙戦からの撤退を求める書簡を出すことを検討している。11月5日の大統領選と同時に実施される上下両院選での改選議員にとっては不人気のバイデン氏が選挙戦を継続すれば、自身にも打撃になるとの危機感がある。
クライバーン氏はバイデン氏が選挙戦から離脱した場合、ハリス副大統領を後継候補として支持すると表明した。
米CNNが6月28〜30日に実施した調査によると、75%がバイデン氏以外の人物を民主党の候補にした方が大統領選で勝利できると答えた。同氏のままの方が勝率が高いとの回答は25%だった。
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植木安弘
上智大学特任教授
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ひとこと解説 最新のニューヨークタイムズ・シエナカレッジの世論調査ではトランプ氏の優勢度が高まり、投票予定者の中では6ポイントバイデン大統領を引き離している。
74パーセントの回答者がバイデン大統領は高齢過ぎて大統領職は無理と答えている。
民主党内で高まっているアイデアは、バイデン大統領がこれまでに確保した代議員を解放し、8月の民主党大会で有力候補による透明性で民主的な方法で候補者選びをするというもの。
有力候補のニューサム知事、ウィットマー知事、ハリス副大統領などは皆50代。メディアや国民の目がこの若返りに注目を寄せ、民主党支持が高まり、高齢のトランプ氏に勝ちうるというもの。さてバイデン大統領がどう判断するか。
2024年7月4日 8:07いいね
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滝田洋一
日本経済新聞社 客員編集委員
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ひとこと解説
①米大統領選の勝率について、賭けサイトElection Betting Oddsではすでに、ハリス氏16%台、バイデン氏13%台。出馬断念は既定事実に。
②ただ全体ではトランプ氏は56%台と、賭けはトランプ氏に傾いています。ハリス氏は副大統領としての存在感が薄く、バイデン氏より支持率が低いからでしょう。
③バイデン政権はカーター政権の末期と同じ錐揉状態に陥りつつある。米政治の空白の足元を見透かして、プーチン氏や習近平氏は攻勢に出ています。
④そんな事態を招いているのに、民主党は勝てる候補探しに全精力を注ぐ。危ういかな。米大統領選のさなかに募る中ロや北朝鮮のリスクを見過ごしてよいのでしょうか。
2024年7月4日 8:00 (2024年7月4日 8:49更新)
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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察 これをバイデン大統領の失言とみるか、何らかの選挙戦略とみるかは人によって違いがあると思うが、こういう発言をしても選挙戦には何の役にも立たないので、本格的な失言ないしは本気の発言なのだろうと考えている。
しかし、それはバイデンの年齢上の不安を高めるだけで、選挙戦には何の利益もないので、バイデン大統領のオウンゴールと言わざるを得ない。
こんな状態で大統領選を戦うと考えると、民主党は本気でバイデン降ろしをしなければならないだろう。
2024年7月4日 7:33いいね
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説 仮にバイデン大統領が再選をあきらめて撤退する場合、民主党は誰を代わりに立てるのか。
ロイター通信は3日、ハリス副大統領が最有力だと、民主党全国委員会の幹部ら7人の話をもとに報じた。
ニューサム・カリフォルニア州知事やウィットマー・ミシガン州知事の名も挙がっているが、副大統領のハリス氏をないがしろにして指名を勝ち取るのは「ほぼ不可能」とみられているという。
ウォールストリートジャーナルは同日、仮にハリス副大統領を差し替え候補にしない場合には、女性や黒人の民主党支持者から怒りを浴びることになると報じた。
すると、仮にバイデン氏が撤退する場合は「トランプ対ハリス」になる。トランプ氏の優位は変わるまい。
2024年7月4日 7:30』