平成 20 年度 数学学習指導設計Ⅰ
高等学校数学 数C・行列とその応用 行列の積
https://www.rs.tottori-u.ac.jp/mathedu/mt/xue_sheng_zuo_pin_files/d1_c.pdf
『行列という単元は、同時期に学習する数Ⅲの微積分の演算にくらべ、演算が拍子抜け
するほど単純だが、グラフ等と合わせて視覚的に理解しやすい微積分より「それがいったい何であるのか?何の役に立つのか?」理解しづらく、学習が進むにつれ理解が難しくなる単元である印象を受ける。
自分自身も、行列の有用性は大学での数学で初めて理解した部分があり、高校の頃は計算方法を厳守することに心を砕いていたように思う。
学習において必要なのは教科に対する興味であり、歴史上こんな問題を解決するために作られてきたのだ、現実世界においてこのように役に立つのだ、ということが興味をかき立てる原動力となると考えている。
しかし、高校の数学は複素数のように新しい概念を持つ世界が広がる場面も多く、その世界へはいるための手続きの段階で、現状では天下り式にならざるを得ないことがある。
複素数や行列は特にその限界を感じることが多い。
今回の学習では、
天下り式に暗記せよとなることの多い行列の積に関して、感覚的に理解できるような方法を模索した。
まず行列の歴史を調べ、どのような問題解決の場面があったのかを探した結果、行列式の方がずっと歴史が古いということ、行列は一次変換や連立方程式を解く手段として整備されてきたことがわかった。
また、行列の積は必要に応じて定義されたものであることもわかった。
そこで、授業設計において、指導要領ではもっと後に学習するベクトルの一次変換を利用して行列の積を定義する必要性を生み出し、定義に必然性を持たせることを意図した。
行列の式を工夫してベクトルの回転を表現することはできたように思うが、行列の積を定義することの有用性、実用性について掘り下げることができなかった。
今回の授業では、単元の理解についても授業設計についても自分の力不足を痛感した。
当初の意図は達成できていないと感じるが、難しいテーマに挑戦することで自分自身が成長することができたように思う。この経験を生かして次につなげていきたい。(米原)』












