バイデン氏の家族「選挙戦の継続を」 討論会後に撤退論

バイデン氏の家族「選挙戦の継続を」 討論会後に撤退論
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN303V00Q4A630C2000000/

『2024年7月1日 9:36

【ワシントン=坂口幸裕】米紙ニューヨーク・タイムズは6月30日、民主党のバイデン米大統領が11月の大統領選への対応を巡り家族と協議したと報じた。酷評された6月27日の討論会を受けて撤退論が出たものの、家族は選挙戦の継続を求めた。民主からも予定通り党候補に指名すべきだとの声が相次いだ。

バイデン氏は29日夜から首都ワシントン近郊の大統領山荘キャンプデービッドに滞在している。同紙によると、撤退圧力に…

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『同紙によると、撤退圧力に屈しないよう強く迫ったのは次男のハンター氏で、バイデン氏も以前から助言を求めてきた。

キャンプデービッドには討論会の前から集まる予定だったという。

ジル夫人は28日、ニューヨーク市での資金調達集会で「ジョー(・バイデン)は昨夜の討論会後に『あまりいい気分じゃなかった』と漏らした。私は『90分(の討論)であなたが大統領だった4年間(の価値)を決める必要はないのよ』と伝えた」と明かした。

8月の民主党大会で党候補者指名を獲得して共和党のトランプ前大統領と戦うべきだと促したとみられる。「ジョーは打ちのめされても立ち上がる」とも語った。

民主政権の元高官は「出処進退など大きな政治判断で影響力を持つのは47年間連れ添うジル夫人ら一部の家族だけだ」と話す。

バイデン氏は29日、東部ニューヨーク州で演説し「この仕事ができると心から信じていなければ、再び立候補することはない。蹴落とされても立ち上がる」と話し、撤退論を打ち消した。

トランプ氏を念頭に「私を全能の神と比較せず、もう一方の候補と比較してほしい」と訴え、自身を選ぶべきだと強調した。「これは難しい戦いではない。ドナルド・トランプはこの国にとって正真正銘の脅威だ」と訴えた。

民主の主要議員からも擁護する声が相次ぐ。ナンシー・ペロシ元下院議長は30日、米CNNテレビで「1度の討論で大統領職を判断すべきではない」と明言。選対幹部のクリス・クーンズ上院議員も「バイデン氏は11月の我々の候補だ。トランプに勝てるのは彼しかいない」と述べた。

黒人の重鎮ジム・クライバーン下院議員も「バイデン氏が次の4年間をリードすることに問題があると思わない。将来の行動を予測する最良の方法は過去の実績だ」と唱えた。討論会の準備でバイデン氏に負担がかかりすぎたとの見解を示した。

南部サウスカロライナ州が地元のクライバーン氏は2020年大統領選の党候補者指名争いの序盤戦で劣勢だったバイデン氏を支持。黒人支持を得て同州での初勝利を後押しし、指名獲得の流れをつくった。30日に「彼はこの戦いにとどまるべきだ」と提起した。

下院民主トップのジェフリーズ院内総務は28日、撤退論に否定的な考えを示した。オバマ元大統領もX(旧ツイッター)に「(今回の大統領選が)庶民のために生涯をかけて戦ってきた人物と、自分のことしか考えていない人物の選択であることに変わりない」とバイデン氏支持を維持する。

米紙ワシントン・ポストによると、討論会に先立ちバイデン氏は1週間ほど10人を超える側近とキャンプデービッドにこもって模擬討論などの練習を重ねた。

準備は順調だったものの、本番では用意した想定問答と異なる回答をしたり集中力を失って言葉に詰まったりした。

米CBSテレビが28?29日に実施した世論調査によると、全体の72%がバイデン氏は「出馬すべきでない」と回答した。2月調査より9ポイント増えた。支持しない理由として86%が現在81歳の年齢をあげた。

民主支持層で「出馬すべきだ」と答えたのは54%(2月比10ポイント減)、「出馬すべきでない」は46%(同10ポイント増)だった。討論会を踏まえた認知力への不安が一因とみられる。

一方、トランプ氏が「出馬すべきだ」としたのは全体の46%、「出馬すべきでない」が54%だった。支持しない理由は91%が「有罪評決」と回答した。

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