トランプ氏、副大統領候補を最終選考 討論会に全員集合

トランプ氏、副大統領候補を最終選考 討論会に全員集合
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN256240V20C24A6000000/

『2024年6月26日 4:58

【ワシントン=飛田臨太郎】米共和党のトランプ前大統領による副大統領候補選びが最終段階に入った。トランプ氏は27日に開くバイデン大統領とのテレビ討論会の会場に候補者が集まると明らかにした。最終候補者が顔を出すことになる。

トランプ氏は22日、「彼らはそこ(南部ジョージア州アトランタの会場)にいるだろう」と述べた。自身の中では既に候補を決めたとしつつ、具体名には触れなかった。会場に姿を見せなかった人…

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『副大統領候補選びは7月15日から開催する共和党全国大会が期限になる。その前か大会当日に発表する。

トランプ氏が再選を果たした場合、副大統領になる人物は4年後の共和党大統領候補の有力な1人になる。米憲法は3選を禁止しているためだ。』

『米メディアの多くは4人を有力な候補者とみている。

中西部ノースダコタ州のダグ・バーガム知事やベストセラー作家から上院議員に転じたJ.D.バンス氏、2016年大統領選の共和党予備選に出馬したマルコ・ルビオ上院議員、今年の大統領候補指名争いから撤退した黒人のティム・スコット氏だ。

トランプ氏は少なくともこの4人に資産状況やスキャンダルの有無などを審査するための書類の提出を求めた。

バーガム氏は今年の大統領候補指名争いに立候補したが、知名度が低く支持率が伸び悩んだ。撤退後はトランプ氏を支持し、米メディアによると夫妻ともども良好な関係を築いている。

16年に知事に就任する前はソフトウエア会社を率いた。米経済界での豊富な人脈を持ち、資金集めに貢献する。トランプ氏は部下が自身より目立つのを嫌がるとされる。知名度の低さが逆に強みになる。

バンス氏は中西部オハイオ州選出で、安価な海外製品の流入で製造業が衰退した「ラストベルト(さびついた工業地帯)」の悲哀を描いたベストセラー「ヒルビリー・エレジー」の著者だ。

外交や貿易、移民政策を巡り、トランプ氏が掲げる政策を支える論客と目される。39歳の「ミレニアル世代」で78歳のトランプ氏の伴走者として若さを加えられる。

16年にトランプ氏を「完全な詐欺師」などと批判した経緯がある。現在は忠誠を誓うものの、トランプ氏が忘れていない可能性もある。

ルビオ氏は外交・安全保障政策に精通し、米連邦議会で対中政策の議論を引っ張る存在だ。トランプ氏の過激な主張に反感を持つ、穏健派に秋波を送る材料になる。キューバ系移民の子どもで、ヒスパニック系有権者の取り込みにも役立つ。

16年の共和の大統領候補指名争いではトランプ氏と罵り合った。トランプ氏が重要視する忠誠心の面で他候補に比べて、印象が悪いとの見方がある。

スコット氏は演説のうまさに評判が高い。候補指名争いからの撤退後はトランプ陣営の集会での演説やテレビ出演を数多くこなす。トランプ氏が狙う黒人票の取り込みを拡大するうえで、後押しとなる。

このほか下院共和党ナンバー3で女性のエリス・ステファニク議員やトランプ前政権で住宅・都市開発長官を務めた黒人のベン・カーソン氏、元軍人で政治経験が豊富なトム・コットン上院議員らの名前が挙がる。』

『多様な観点からニュースを考える
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渡部恒雄
笹川平和財団 上席フェロー
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分析・考察 トランプ氏の副大統領選びのポイントはトランプ氏個人への「忠誠心」だと思います。

それは単なるトランプ氏のエゴを満足させるという意味ではなく、実際に大統領になって自分に対する訴追を大統領権限を使って無効にするには副大統領が重要だからです。

かつてニクソン大統領は副大統領だったフォード氏が大統領に昇格し、ウォーターゲート事件の恩赦を受けています。

トランプ氏は2021年1月の議会での票確定の際に、上院議長役のペンス副大統領に選挙結果を覆すように圧力をかけましたが、ペンス氏は自分の忠誠心はトランプ氏よりも合衆国憲法にあると拒否しました。

トランプ氏にとって自分に絶対的な忠誠心を持つ副大統領が必要なのです。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0509O0V00C22A2000000/
2024年6月26日 8:30いいね
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説 トランプ氏は副大統領候補に誰を指名するのだろうか。最終選考にあたって何を最も重視するのかが、結論を大きく左右すると考えられる。

(1)自らに対する忠誠心の強さ(過去の言動も考慮するかどうかも関心事)、(2)4年後の次の大統領選に自らの後継者として大統領選に出馬できるだけの資質が備わっているか、(3)今回の大統領選で自らの弱点(女性や黒人からの集票力の弱さ)を補うことができるか、といったあたりがポイントになるだろう。

なお、副大統領が任期の途中で、何らかの理由で辞任するケースも考えられる。

合衆国憲法の規定によると、その場合は大統領が後任を指名した上で、上下両院の過半数の賛成を得て就任することになる。
2024年6月26日 8:14 』