長年無視してきたOSINTの活用、組織や人間の文化自体を変える必要性

長年無視してきたOSINTの活用、組織や人間の文化自体を変える必要性
https://grandfleet.info/us-related/the-use-of-osint-which-has-been-ignored-for-many-years-and-the-need-to-change-organizational-and-human-culture-itself/

『2024.06.22

米国防情報局のリックマン副長官は今年5月「オープンソースから得られる情報と諜報機関が収集する情報の立場が逆転した」と述べていたが、NATO作戦担当副参謀長を務める米陸軍のワーゲネン少将も「これまで無視してきたOSINTの活用には文化的な変化が必要だ」と述べた。

参考:NATO two-star calls for ‘cultural change’ for OSINT for military ops
これまで無視してきたOSINTの取り入れには反発や不快感が起こるかもしれない

米国のインテリジェンスコミュニティ(United States Intelligence Community=IC)はいち早くオープンソースがもたらす価値に気づき、これを扱う専門家の必要性を認識し、2015年にIC19番目の独立組織としてNational Open Source-Intelligence Agency(NOSA)を設立、さらにアヴリル・ヘインズ国家情報長官とCIAは今年3月「IC OSINT戦略」を発表した。

出典:U.S. Secretary of Defense/CC BY 2.0 アヴリル・ヘインズ国家情報長官

ヘインズ長官はIC OSINT戦略について「OSINTを専門分野として確立し、情報分析の在り方を変革し、米国の優秀なイノベーターや志を同じくする海外のパートナーとの新しい協力の第一歩だ」「新しいOSINT分野の人材確保と技術開発は重要項目の1つだ」「国防情報局は企業全体に対する訓練と防御戦術に重点を置いているが、ICはオープンソース情報の扱い方について大きな変革を必要としている」と述べ、情報分野における危機感についても「過去20年間と異なる環境が自身の眠りを妨げている」と表現。

ヘインズ長官は「情報の爆発的な増大が起こる中、ウクライナ危機、中東危機、中国の問題が大きくなっている。この3つが同時に発生しても情報を上手く活用できなければ我々は何もできないだろう。物事の意味を素早く理解し、これを意思決定者や兵士に手に届けることは『どちらが優れた爆弾を持っているか』と同じか、それ以上に重要なことだ」と指摘。

出典:U.S. Air Force photo by Wesley Farnsworth

米国防情報局のグレッグ・リックマン副長官も今年5月「オープンソースから得られる情報は諜報機関が収集する情報に振りかける塩に過ぎなかったが、オープンソースの爆発的な増大は情報収集と分析の在り方を大きく変え、パラダイムが逆転した現在、メインコースに振りかける塩は諜報機関が収集した情報の方だ」「我々は世の中に出回っている大量の情報を収集し、その意味を理解し、これを活用できるよう情報を加工することに苦戦しており、アマチュアではなくオープンソースを扱う真のプロが必要だ」と言及したが、パリで開催されたEurosatory 2024でもNATOの高官が同様の意見を述べている。

NATO作戦担当副参謀長を務める米陸軍のワーゲネン少将は「長年に渡って欧米の軍事組織は『情報が信用できない』『情報自体が操作されている』と考えてOSINTを無視してきたが、我々が探している情報の90%はオープンソースから引き出すことができる。そのためには情報を扱ってきた組織や人間のOSINTに対する文化的な変化が必要で、これは情報の見方に対する一種の革命だ。従来の古典的で時代遅れな手法では増大するオープンソースの情報に対応できない」と述べた。

出典:U.S. Army Photo by Spc. Thurnapuf Valle, 5th Mobile Public Affairs Detachment. ワーゲネン少将

さらに「オープンソースには誤情報や偽情報が含まれるリスクがある」「情報を扱ってきた組織や人間にも長年の偏見のせいでオープンソースから引き出せる情報を無視するリスクがある」「そのためオープンソースからの情報収集と分析について専門の訓練だ」「但し、従来の古典的で時代遅れな手法を廃止するのではなく2つの間でバランスを取らなければならない」「オープンソースから引き出した情報も現代の作戦環境に適用でき、この2つを如何に統合するかが重要だ」と述べている。

同時に「ICでは何十年も従来の手法で機密情報を収集する訓練を受けてきたため、これまで無視してきたOSINTの取り入れには反発や不快感が起こるかもしれない」と付け加えており、だからこそ「文化的な変化が必要」と訴えているのだろう。

関連記事:米国防情報局、オープンソース情報を片手間で扱うのではなく専門家が必要
関連記事:新領域からの攻撃阻止に失敗したスウェーデン、NATO加盟が遠く
関連記事:ロシアの偽情報や干渉に蝕まれる民主主義、スウェーデンは対心理機関を設置
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air National Guard photo by Technical Sgt. Luke R Sturm
シェアする
ツイートする
Twitter で Follow grandfleet_info

Tweet Share +1 Hatena Pocket RSS feedly Pin it 

投稿者: 航空万能論GF管理人 米国関連 コメント: 30  』