オランダがウクライナへのパトリオットシステム提供を発表、ある国と共同提供

オランダがウクライナへのパトリオットシステム提供を発表、ある国と共同提供
https://grandfleet.info/european-region/netherlands-announces-joint-offer-of-patriot-systems-to-ukraine/

『2024.06.22

ウクライナはパトリオットシステムの追加供給(7セット)を西側諸国に要請中で、オランダのオロングレン国防相は21日「パトリオットシステムの構築に必要な構成要素の収集に成功した」「ある国はオランダと共同でウクライナにパトリオットシステムを提供する」と明かした。

参考:Netherlands teams up with another country to supply Ukraine with Patriot missile system
まだウクライナが要請する7セットには届かないものの、確定分だけでも防空能力の改善に役立つだろう

ウクライナはパトリオットシステムの追加供給(7セット)を西側諸国に要請中で、オランダは5月末「パトリオットシステムを構成するコンポーネントや弾薬を追加提供できる国を特定した。これを提供するよう当該国に呼びかけており、オランダが提供するコア・コンポーネントと組み合わせてパトリオットシステムを迅速にウクライナに提供したい=複数の国から構成要素(レーダー、指揮統制、発電機、ランチャー、弾薬など)を集めてパトリオットシステムを構築するという意味」と発表。

この取り組みが何処まで進んでいるか不明だったが、オロングレン国防相は21日「パトリオットシステムの構築に必要な構成要素の収集に成功した」「ある国(管理人はドイツだと思っている)はオランダと共同でウクライナにパトリオットシステムを提供する」と明かした。

提供国 弾道弾迎撃に対応したシステム 数量

米国 パトリオットシステム 単独提供
ドイツ・オランダ パトリオットシステム 共同提供
フランス・イタリア SAMP/T 共同提供
ドイツ パトリオットシステム 単独提供
提供済み 計4セット

追加供給に応じた国

ドイツ パトリオットシステム 単独提供
ルーマニア パトリオットシステム 単独提供
オランダとある国 パトリオットシステム 共同提供
イタリア SAMP/T 単独提供
提供確定分 計4セット

提供が噂されているものの公式発表がないもの

米国 パトリオットシステム 単独提供
ドイツ パトリオットシステム 単独提供
提供の可能性 計2セット

Bloombergは7日「ドイツがパトリオットシステムの追加提供(単独3セット目)を検討中だ」と報じていたが、ドイツのピストリウス国防相は「これ以上の提供(単独3セット目)は難しい」と、New York Timesは11日「バイデン大統領がウクライナの差し迫ったニーズに対応するため2セット目のパトリオットシステム提供を決断した」と報じたものの、オースティン国防長官は13日「今のところパトリオットシステムの追加提供について新たな発表はない」と述べている。

ホワイトハウスのカービー報道官は20日「パトリオットシステムやNASAMSで使用する迎撃ミサイルの同盟国・友好国向け輸出を一時的に停止しウクライナに供給する」「今回の決定で今後16ヶ月間に必要とされる全てのものをウクライナは手に入れる」と発表したが、パトリオットシステム自体の提供については言及しておらず、提供確定分はドイツの単独提供、ルーマニアの単独提供、オランダとある国の共同提供、イタリアのSAMP/T単独提供だけだ。

出典:U.S. Army photo by Eugen Warkentin

まだウクライナが要請する7セットには届かないものの、米国はパトリオットシステムやNASAMSで使用するPAC-3MSEとAMRAAMを「夏の終わりまでに数百発提供する」と、ドイツはデンマーク、オランダ、ノルウェーと共同で「パトリオットシステムの迎撃弾100発(PAC-3MSEかMIM-104DかMIM-104Eかは不明)をウクライナに提供する」「既に32発の引き渡しを終えており、今後数週間以内に残りの68発も引き渡す」と発表しているため、ウクライナ軍の防空能力は一定の改善を見せるだろう。

因みにRTX(旧レイセオン)のヘイズ最高経営責任者は2023年6月「パトリオットシステムの年間生産量を12基に増やし、2024年末までに5つのパトリオットシステムをウクライナに引き渡す予定だ」と明かしていたが、続報がないため「5つのパトリオットシステム」の行方はわかっていない。

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army Photo by Capt. Adan Cazarez
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 37  』