第3回 脳をボケさせない!毎日の生活習慣

第3回 脳をボケさせない!毎日の生活習慣
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『脳は常に適度な刺激を与えていないと衰えていきます。

せっかく蓄えたはずの脳貯金がいつしか目減りするのです。

逆に、日常的に鍛えていけば機能はますますアップします。

初心者・一般向け
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適度な刺激
脳の衰え

脳は使えば使うほど育っていきます。

80歳・90歳になっても着々と成長を続け、蓄えた機能=脳貯金をより増やしていくことができます。

では、あまり使わずにいたら…?

与えられる刺激が足りない脳番地は衰えていきます。

メリハリのない生活を送っていると、脳は徐々にボケてしまうのです。

日々の生活習慣の中で、脳番地をまんべんなく使い、成長させていくことを考えましょう。
朝の2時間の行動で脳番地にスイッチを入れる

生活にメリハリをつけるうえで最も大切なのは、「朝起きて夜は眠る」というごく単純な習慣です。

地球の自転による自然の仕組みが脳の働きのリズムをつくっています。

人間の身体は太陽が上がる少し前から交感神経が活性化し、血圧を上げ、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を減らします。

メラトニンは光の刺激によって調節されます。

日差しを浴びれば分泌が抑えられてすっきり覚醒し、逆に夜間も強い照明の中にいると分泌が増えず、眠気が訪れにくくなるのです。

起床が遅いと日中でも脳の中は夜のままです。

食欲も湧かず、行動も鈍くなります。

午後にようやく脳がクリアになっても、すぐ夕方になってしまい、身体は睡眠に向けての準備を始めます。

それに逆らって夜更かしすれば生活のリズムは崩れていくばかりです。

こうした暮らしを長年繰り返せば、脳への刺激が足りず、やがて脳の衰えが加速します。

カギは朝の2時間です。

そこで複数の行動をし、9時くらいに脳の活動がピークになるような生活をしましょう。

ピークがくれば、その後の仕事や勉強、外出などもテキパキできるようになります。

朝の行動は脳のさまざまな脳番地にスイッチを入れるものです。

簡単な体操や散歩、家事などでもよいですし、ゴミ出しに出て近所の人に挨拶する、好きな歌を歌うなどでもOKです。

新聞を読むなら、5分程度でも音読するのがおすすめです。

目で読み、声を出し、耳で聞くことで複数の脳番地が刺激されます。

しぶしぶではいけません。

楽しみながら主体的にやれば、脳もより広範囲に働きます。
いつもと違う行動が脳番地への刺激になる

ただし、そこでもう1つ大事なのが、マンネリを避けることです。

脳には学習機能があり、慣れた行動では限られた部分しか使わなくなります。

物事がラクにできるようになるのはよいことですが、脳の成長にとってはリスクです。

時にはいつもの行動に変化をつけて、脳に苦労をかけたほうが成長を促せます。

歯ブラシを持つ手を逆にする、いつもと違う場所を掃除する、違う道を歩くなどちょっとしたことでよいのです。

歯ブラシを持つ手を逆にするのイラスト

さらによいのは初めてのことへの挑戦です。

楽器、書画、スポーツ、語学、野菜づくりなど新しい趣味に取り組めば、多くの脳番地が活発に働きます。

初めてのスーパーでの買い物なども、大いに刺激になるでしょう。

毎日そんなふうにしていたら脳が疲れてしまう?

心配ありません。昼夜の生活リズム確保はそのためでもあるのです。

夜に充分な睡眠を取れば、その間に脳の老廃物は排出され、朝にはリフレッシュされています。

また自分の脳のくせ、得意不得意がわかれば対策もできます。

脳は弱いところからボケていきます。強い部分を伸ばすと同時に、弱い部分を刺激しましょう。

例えば視覚では覚えやすいけれど聞いて記憶するのは苦手という人は、視覚系脳番地が強く、聴覚系と記憶系脳番地の連携が弱いということです。

メモを取りながら聞くなどすれば、視覚系・聴覚系脳番地双方への刺激になります。
ふだんの姿勢や歩き方、食べるものにも留意を

意外に思われるかも知れませんが、脳を鍛えるには姿勢も重要です。

それには2つの理由があります。

1つは筋力を維持することです。

脳が健康に働くには多くの酸素を必要とします。酸素を含んだ血液をしっかり送り届けてくれるのは筋肉。

正しい姿勢による座り方、立ち方、歩き方は筋肉を鍛え、同時に運動系脳番地を刺激します。

もう1つは視野を広く保つことです。

猫背でうつむいた姿勢では視野が狭まり、目から得られる情報も少なくなります。

横になると眠くなるのは、脳への刺激が減るからです。

背筋を伸ばして視野を広げれば、多くの情報を通して全体の状況を把握できます。

視覚系・理解系の脳番地が日常的に鍛えられるわけです。

脳の成長のためには食事も大切です。

たんぱく質やビタミンはしっかり摂るようにしましょう。

神経細胞の酸化を防ぐとされるプラズマローゲンを多く含む鶏肉や魚介類はぜひ積極的に食べたいものです。

酸化物質を含みがちな加工食品やジャンクフードはなるべく控えたほうがよいでしょう。

視覚や味覚を刺激しながら楽しんで食べるのが一番ですが、肥満や高血圧には気を付けてください。

食をコントロールできないのは脳の感度が緩んでいるということになります。

体重が1㎏増えるだけでも思考系脳番地に衰えが出るという研究結果もあります。

1日3食でも2食でもかまいませんが、夜遅い食事は睡眠を阻害します。

またアルコールも適度ならコミュニケーションを促して脳を刺激しますが、飲み過ぎるとよい睡眠が得られなくなります。

実は今、最も危惧されているのがコロナ禍で人との接触が減ったことです。

脳をボケさせる最大の要因は孤立なのです。

家族や知人と会えない日々、世界中で認知症患者が急増しました。

感染が落ち着いたら、どんどん人に会うことをおすすめします。

それができない状況なら電話やメール、手紙などで交流を持ってください。

そして1人でもできる生活習慣で、脳貯金を増やしましょう!

本コンテンツは、金融広報中央委員会発行の広報誌「くらし塾 きんゆう塾」Vol.63 2023年冬号(2023年(令和5年)1月発刊)から転載しています。
広報誌「くらし塾 きんゆう塾」目次』