ウォール街「トランプ回帰」 バイデン氏は小口献金支え

ウォール街「トランプ回帰」 バイデン氏は小口献金支え
再戦2つの米国 変わる大統領選マネー㊤
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN013X90R00C24A6000000/

『2024年6月18日 5:31 (2024年6月18日 8:28更新)

11月5日の米大統領選まで5カ月を切った。趨勢を左右するのがカネだ。資金集めから政治広告まで、過去最大額とされる大統領選マネーの行方を追った。

19日、米首都ワシントンで共和党のティム・スコット上院議員が資金集めイベントを開く。スコット氏はトランプ前大統領陣営の副大統領候補の一人。スコット氏への資金支援はトランプ氏の選挙戦のサポートと密接に連動する。

講演者リストに名を連ねるのは、世界最大級ヘッ…

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『講演者リストに名を連ねるのは、世界最大級ヘッジファンド、シタデル創業者のケン・グリフィン氏、大手投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントを率いるマーク・ローワン氏、著名なアクティビスト(物言う株主)のビル・アックマン氏。さながらウォール街による共和支持の決起集会の様相だ。』

『「経済・移民・外交政策が国を間違った方向に導いているという懸念を多くの米国人と共有している。変革のためにトランプ氏を支持したい」。大手投資ファンドのブラックストーンのスティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)は表明した。「トランプ氏は今の困難な時代に、世界を安定させる強さをみせるだろう」(シタデルのグリフィン氏)とトランプ氏支持に傾く発言も目立つようになった。

両氏を始め、金融界の大物の多くは数カ月前までトランプ氏から距離を置いていた。ところがトランプ氏は予備選で圧勝し、本選でも優位が伝えられている。こうした情勢を見て、徐々にトランプ氏支持へ態度を変え始めている。』

『金融界は富裕層・大企業への増税方針や銀行・ファンドへの規制強化といったバイデン政権の政策運営に不満を強めている。グリフィン氏は「政府支出の拡大でインフレを制御できていない」とみる。さらにユダヤ系の影響力の大きい金融界では、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘を巡る世論の分断を招いた同政権への不信も重なり、バイデン氏に見切りをつける動きが広がった。』

『バイデン陣営も金融界をはじめとする富豪の取り込みを図る。米ヤフーの元CEOでベンチャー投資家でもあるマリッサ・メイヤー氏らは5月、米西部カリフォルニア州でバイデン氏の資金集めイベントを主催した。金融界のマネーは選挙戦の趨勢を左右しうる。』

『バイデン氏、「草の根」献金は「金融」の2倍
両陣営が競うのは大口献金者の支持の取り付けだけではない。米連邦選挙委員会(FEC)への報告によると、4月末時点でバイデン陣営の手持ち資金は約8450万ドルとトランプ陣営より7割多い。原動力は1人200ドル未満の一般人による小口献金だ。

オープンシークレッツの大統領選の候補者別献金データをみると、バイデン氏が集めた小口献金はおよそ9200万ドル。金融業界からの献金(4100万ドル)の2倍以上に達する。対するトランプ氏は金融(5700万ドル)が小口献金(3700万ドル)より多い。

ネットを通じた小口献金は間口が広く、多くの人とカネを巻き込める。米ジョージタウン大などの研究によると、16年の選挙でおよそ3700万回だった個人の献金回数は20年に1億9500万回と5倍強に拡大した。個人の献金総額に占める小口献金の割合(両党の献金サイト経由)も16年の1割から20年は4割と跳ね上がった。』

『「トランプは米国を石油メジャーに売った」。バイデン陣営は小口献金を募るメールの件名にこんな文言を盛った。米メディアで、トランプ氏が米石油メジャー幹部に選挙資金10億ドルの拠出を求め、見返りに再選時の規制緩和を持ちかけたと報じられた。こうした動きを早速、攻撃材料に利用した。

一方のトランプ陣営は5月30日に不倫口止め料の不正処理で有罪評決を受けた直後、「トランプ氏が無罪だと思う人は、100ドル献金しよう」とサイトでアピール。両陣営ともなりふり構わず草の根の支持を広げようとしている。

大統領選にかかるキャンペーン費用は回を追うごとに膨らみ、20年の選挙支出は総額57億ドルと過去最高になった。今回はさらに上回ることが確実視されている。選挙資金が多いほうが必ず勝つとは限らないが、なければ勝負の土俵に立てない。資金の獲得競争はこれから一段と激しさを増す。』

『多様な観点からニュースを考える

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト

ひとこと解説

米国の大統領選は長丁場。党大会で正式に候補者指名されるよりもはるか前から、戦いは始まっている。

そして、選挙戦にはお金がかかる。バイデン陣営はトランプ前大統領への有罪評決に焦点を当てて「犯罪者」を攻撃するテレビ広告に5000万ドル(約79億円)を投入すると発表した。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN17CFZ0X10C24A6000000/

どこからお金を調達するか。経済界からの大口献金にせよ、草の根の小口献金にせよ、献金者それぞれが何らかの利害を見出しているのだろう。

それは金銭的なものか、一方の政策を支持できないことによる消去法的選択か、それとも米国の民主主義を守る必要を感じたからなのか。

11月5日の大統領選で、そうしたさまざまな思いに多数決で決着がつけられる。
2024年6月18日 7:37 (2024年6月18日 7:52更新)』

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察 なんやかんや言って、民主主義が試されるのは政治指導者本人というよりも、有権者である。誰が選ばれるかによってその国の政治のあり方が決まる。それに政治を支える行政システムも決定的に重要である。二人の大統領候補者はどうみても、適任とはいいがたい。行政システムがしっかりしていれば、大きな混乱に陥らない。行政システムは弱まれば、アメリカにとって世界にとって悲劇になる。
2024年6月18日 6:46』