ネオコンとは何か?
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024年)6月14日(金曜日)弐
通巻第8291号
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『(読者の声2)(承前)タッカー・カールソン/ジェフリー・サックス インタビュー(要約/抄訳その6)
● ネオコンとは何か?(その1):ソ連崩壊後自分達の好きなように世界を操れるという傲慢な考え方の連中
((カールソン):ネオコンとは誰ですか、何ですか?
(サックス):ネオコンとは1990年代ブッシュ父大統領の頃出てきた人々のグループ、例えばチェイニー、ウオルフォビッツ、ラムズフェルドで政権終盤には権力の中枢に昇進していたが、徐々に党派を超える存在になっていった。
民主党のビクトリア・ヌーランドがその典型だ。彼女の夫ボブ・ケーガンは共和党のネオコンのインテリと言われている。彼がネオコンの戦略を書いている。
(カールソン):あははは。ボブ・ケーガンはよく知っていますが、彼は子供ですよ。
(サックス):そうなんだ。彼は考えうる最も酷い外交政策を書いてきた人物だ。
1991年にソ連が崩壊しロシアがアメリカと協力しようと歩み寄ってきて世界が平和になれ繁栄できるチャンスであったのに、これからはアメリカ(だけ)がアメリカ(だけ)の意向で好きに世界を牛耳るというとんでもない戦略を書いた人物だ。
だから我々は世界のどこでも好きな時に戦争をする用意をしておくべきだ、世界の国々はアメリカの指示通りに動けという『とんでも理論』を展開した人物だ。
アメリカが世界の各地でやってきた戦争に対してどこの国もアメリカに感謝することはなかった。
他の国は僅か世界人口の4.1%のアメリカが好き放題やって他の95.9%の人々の生活を無茶苦茶にするのはやめてくれと言っていたが彼らは聞く耳を持たなかった。
この政策が明確に出てきたのは1991年末のソ連崩壊から1992年にかけてのことで、その後のクリントン政権で実現されつつあった。
クリントン大統領は生粋のネオコンではなかったが、外交経験もなく政治的信念も心許ない人物だったので、生粋のネオコン信者であるオールブライト国務長官一派に引き摺られてしまった。
クリントンは生粋のネオコンではなかったが、世界最大の軍事力を持ち、世界最大の権力を持つとそのような主張に流されてしまいがちになるのだろう。
世界のアメリカに対する評価というものにも無頓着だったとも言える。
彼らが世界各地の戦争を招来してしまった。
そして世界各地で気に食わない国の政権は戦争やクーデター、選挙干渉、秘密作戦等で潰すか政権交代させてきた。
クリントン政権はオールブライト派、ホルブルック派、ウィリアムペリー派とで分断されていた。
クリントン政権ではNATO拡大、ベオグラード空爆等が推進された。
そしてブッシュジュニア政権になったら9.11事件が起きて「テロとの戦い」が言われ出した。
だが事態としては9.11はネオコンが作成したアメリカの新世紀プロジェクトを開始する機会として利用された。それにはネオコンのアジェンダが書かれている。
注意深く言葉を選んで書かれているが興味深いことが書かれている。
理解しておくべきことは、アメリカは巨大船舶であり急旋回が困難ということだ。その為事前に進路をよく検討したり舵が効きにくいということを頭に入れておくことが必要だ。
それにはアメリカの防衛戦略が書かれており、次の大統領のブッシュジュニアへの指針書ともいうべきものだった。
ブッシュジュニアはこれに従ってロシアとの弾道核ミサイル協定から一方的に脱退したり、イラクとの戦争に走ったり、NATOをさらに7カ国に拡大し将来的にはウクライナやグルジアの加盟も約束するなどの政策を実行した。
その後のオバマは取り立ててネオコンというわけではなかったが、東欧との接点役としてビクトリア・ヌーランドを重用した。彼女はチェイニーの安全保障担当副補佐官だった人物だ。
彼女はブッシュジュニアr政権ではNATO大使としてNATOの東方拡大を推進し、オバマ政権ではウクライナでのクーデターに暗躍し、ヒラリーの補佐官にもなった面白い役割を担ってきた人物だ。
だからオバマ自身はネオコンと言えないが外交経験はゼロであり、しっかりした柱があるわけでもないから外交方針がネオコン中心で進められている中それに乗っかってことを進めた。おかしなことを止められる大統領ではなかった。
アメリカの大統領でおかしな政策のブレーキをかけることができた人物は少ない。アイイゼンハワー、JFKなどだ。JFKはブレーキをかけ過ぎて暗殺されてしまったが。
でもオバマはついにネオコン的なことを言い始めた。
2011年にシリアのアサド政権を転覆しようじゃないかと言い出した。その後、約14年の内戦のきっかけを作り、何十万人もの死者が出ており、シリア国内を破壊したが何の目的も果たしていない。シリアの大統領は依然としてアサドだ。
2012年の出来事でこんなことがあった。抗議行動が活発化していたが、オバマはCIAを派遣してアサド政権を転覆しようと言い出した。
視聴者の方に言っておきたいがアメリカがCIAを派遣して外国の政権転覆をしたことは何十回もあるからびっくりしないで欲しい。
アメリカはシリアに武装したジハード団を送り込み、アサド政権転覆を試みた。
国連は平和的解決の為に外交交渉を開始した。
そして関係当事者は平和的解決に合意した。
だが合意に達した初日にアメリカはアサド大統領の退任を求めた。オバマかヒラリーの意向だろう。それで合意書は成立しなかった。
(カールソン):どうしてアサド政権転覆にこだわったのですか?
(サックス):それについては諜報的な理由があったとは聞いたことがない。
信じ難いかもしれないが、ネオコンの考え方は自分達がやろうと思えば何でもできるということなのだ。
これは1990年代のNATOのクラーク司令官から聞いたことだが、ネオコンはソ連ないしロシアの親派のリーダー全てを2000年代に政権追放するリストを作っていたそうだ。
シリアにはロシアの海軍基地があるからアサド政権はネオコンの敵と見做された。だから理由はと言えば信じ難いような傲慢さからきている。
(カールソン):でもその結果とんでもないことになっていますね。ISISだって。(続く)
(費府の飛行士)』