バイデン氏次男に有罪評決 銃所持など、大統領の子で初
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『2024年6月12日 0:40 (2024年6月12日 6:02更新)
【ワシントン=芦塚智子】バイデン米大統領の次男ハンター氏が銃を不法に購入・所持した罪に問われた裁判で、東部デラウェア州の連邦地裁の陪審団は11日、3件の罪状すべてについて有罪の評決を下した。米メディアが報じた。現職大統領の子供が刑事事件で有罪評決を受けたのは初めてという。
11月の大統領選でバイデン氏と再対決するトランプ前大統領陣営や野党・共和党は、銃を巡る有罪評決を機に、ハンター氏のビジネスを巡る不正疑惑やバイデン氏の関与についての追及を再び強める見通しだ。
民主・共和両党は大統領選への影響を注視する。バイデン陣営はトランプ氏が受けた有罪評決を批判材料に使ってきた。バイデン氏の選挙戦略に影響がでてくる可能性もある。
保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所のカーリン・ボウマン名誉上級研究員は「大統領選に大きな影響を与えるとはまったく思わない」と語った。候補者自身が有罪評決を受けたトランプ氏と違い、今回は子どもが有罪となった点などを理由に挙げた。
ハンター氏は2018年10月、薬物を使用していたのに「使用していない」と虚偽申告をして銃を購入し、薬物使用中に銃を所持していた罪に問われた。ハンター氏の捜査を担当するデビッド・ワイス特別検察官の要請を受けて大陪審が23年9月に起訴した。
3件の罪状は銃の不法購入・所持を巡るもの。最高で禁錮25年の刑が科される可能性があるが、初犯のため軽い刑になるとみられる。控訴する可能性が高い。ハンター氏は別に税務不正の罪でも起訴されており、大統領選の約2カ月前の9月に西部カリフォルニア州で裁判が始まる予定だ。
米メディアによるとバイデン氏は声明を発表し「この裁判の結果を受け入れ、ハンターが控訴を検討する中で引き続き司法プロセスを尊重する」と述べた。バイデン氏は評決前、ハンター氏を恩赦しないと明言している。
トランプ氏は5月30日に不倫の口止め料の不正処理を巡る裁判で有罪評決を受け、「不正な裁判」「政治的迫害」などと司法批判を展開した。バイデン氏はトランプ氏との姿勢の違いを際立たせてみせた。
バイデン氏は声明で父親として息子であるハンター氏を愛し、誇りに思っているとし「多くの家族が薬物依存と闘う愛する者を持っており、愛する人が回復途上の中で強く立ち直るのを見て誇りに感じる気持ちを理解している」と語った。
薬物依存は米国の深刻な社会問題の一つだ。バイデン氏は薬物問題の影響を受けた人々に対する理解を強調した。
バイデン氏は11日夕、ハンター氏と時間を過ごすためにデラウェア州を訪れる予定だ。
トランプ陣営は声明で「この裁判は、中国やロシア、ウクライナから何千万ドルもかき集めたバイデン犯罪者家族の真の犯罪から注意をそらすものに過ぎなかった」と主張した。
ハンター氏のビジネスを巡る不正疑惑を調査してきた共和のコマー下院監視・説明責任委員長も「今日の評決は一歩前進」としたうえで、司法省が疑惑の捜査に乗り出さない限りバイデン氏を引き続きかばっているのは明確だと批判した。
民主議員らは、ハンター氏に対する有罪評決は司法省の公平さを証明したと反論している。マクガバン下院議員は、共和がトランプ氏への有罪評決を攻撃しながら、ハンター氏の有罪は受け入れるのは矛盾していると非難した。
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