ウクライナへのパトリオット追加提供、ドイツが単独3セット目の提供を検討中

ウクライナへのパトリオット追加提供、ドイツが単独3セット目の提供を検討中
https://grandfleet.info/european-region/ukraine-to-receive-additional-patriot-missiles-germany-considering-sending-third-set-on-its-own/

『2024.06.8

ウクライナが要請するパトリオットシステム(もしくはSAMP/T)の追加供給に手を挙げたのはドイツとイタリアだけで、残り5セットを誰が供給するのかに注目が集まっていたが、Bloombergは7日「ドイツがパトリオットシステムの追加提供(単独3セット目)を検討中だ」と報じている。

参考:Germany Weighs Sending Ukraine Fourth Patriot Air-Defense System
ウクライナ支援のためドイツが犠牲にする自国の安全保障は相当なものになるだろう

ウクライナはパトリオットシステムの追加供給(7セット)を西側諸国に要請中だが、提供候補に名前が挙がっていたギリシャは「自国の安全保障は犠牲に出来ない」と理由で提供を拒否、米国も発表した支援パッケージにシステム本体の提供を含めておらず、スペインも本体ではなく迎撃弾(12発)の提供に留まり、ルーマニアのヨハニス大統領は「パトリオットシステムの提供を検討する」と述べたものの「自国が防空システムなしで放置されるのは容認できない」と述べており、直ぐに保有するパトリオットシステムをウクライナに移転する可能性は低い。

出典:MApN/CC BY-SA 3.0

オランダは5月末「パトリオットシステムを構成するコンポーネントや弾薬を追加提供できる国を特定した。これを提供するよう当該国に呼びかけており、オランダが提供するコア・コンポーネントと組み合わせてパトリオットシステムを迅速にウクライナに提供したい=複数の国から構成要素(レーダー、指揮統制、発電機、ランチャー、弾薬など)を集めてパトリオットシステムを構築するという意味」と発表したが、この取り組みが何処まで進んでいるのかは不明だ。

真っ先にウクライナの要請に手を上げたドイツは「6月中に追加のパトリオットシステムを引き渡す」と、イタリアのタヤーニ外相も3日「これまでと同様にウクライナへの軍事支援の中身は秘密だが、今回のパッケージにはSAMP/Tが含まている」と明かしていたが、Bloombergは7日「ドイツがパトリオットシステムの追加提供を検討中だ」と報じている。
出典:Italian Army/CC BY 2.5

ウクライナに提供済みのパトリオットシステムは計3セット(米国が提供した1セット、ドイツとオランダが共同で提供した1セット、ドイツが単独で提供した1セット)で、ドイツは6月中に追加のシステムを提供するため計2.5セット分のパトリオットシステムを提供するのだが、ショルツ政権は新しいパトリオットシステム提供を検討中らしい。

Bloombergの取材に応じた関係者は「まだ最終決定には至っていない」と述べているものの、これが実行されるとドイツが保有するパトリオットシステムは9セット(オランダとの共同提供分はどう計算していいのか謎なので除外)まで縮小し、11セット保有時代ですら「全土を十分カバーできない」と指摘されていたため、ウクライナ支援のためドイツが犠牲にする自国の安全保障は相当なものになるだろう。

出典:Michigan Army National Guard photo by Spc. Aaron Good/Released

因みにドイツはパトリオットシステムの追加調達(4セット)を進めているが、まだ調達のための国内の手続きが終わっておらず、パトリオットシステムの通常納期は「契約締結から36ヶ月後に初回の引き渡しが始まる」と言われている。

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army Photo by Capt. Adan Cazarez
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 41  』