赤いヨーロッパよ、さようなら。EU議会選挙

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)6月10日(月曜日)
      通巻第8285号  
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 赤いヨーロッパよ、さようなら。EU議会選挙
  保守の津波、ルペンがマクロンの二倍、独シュルツ与党惨敗

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EU議会選挙、欧州も「トランプ劇場」となった。

極左路線はEU庶民から嫌われ、フランスとドイツの政治主導権は失速した。

ショルツとマクロンが、それぞれの国内で政治的に弱体化し、EUの共通のビジョンに信頼を抱かせることができないため、レームダック化していた。

 マクロンとショルツの個人的な関係が冷え切っていることは有名だ、フランスとベルリンが互いを非難し合い、フランス側は「ドイツが視野が狭く、連立政権に縛られている」と非難し、ドイツは「フランスはウクライナ問題でナンセンスなことばかり言っている」と非難しあってきた。

あまつさえ仏独両国はともに景気低迷に悩まされている。

6月6日から9日の欧州議会選挙は10日夜に結果が出るが、出口調査の速報では保守政党の大躍進となっている。

とくにマクロン与党はマリーヌ・ル・ペンも16パーセントポイントの大差で負けた。ショルツ社会党も3位に転落した。「ドイツのための選択肢」は二位につけた。

ヨーロッパに「保守」の津波が押し寄せた。

パリとベルリンが影響力を失う危機に瀕する一方で、他のEU首脳は影響力を高める機会をうかがってきた。

とくにウクライナ戦争と仏独枢軸の弱体化の中、ポーランドのドナルド・トゥスク首相、エストニアのカヤ・カラス、イタリアのジョルジャ・メローニといった政治家がEUの舞台で大きな実力者として台頭した。

メローニ伊首相は欧州のキングメーカーの立場に就いた。5年間の任期を続けるためには、フォンデアライエン委員長が欧州理事会と議会の両方での支持を必要とする。

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