中国、月裏側の土壌採取に成功 地球に帰還へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM042HF0U4A600C2000000/
『2024年6月4日 11:49
【北京=多部田俊輔】中国の無人月面探査機「嫦娥(じょうが)6号」が4日、月の裏側の土壌サンプルなどを採取して月から離陸した。国営新華社が伝えた。世界で初めてとなる月裏側の土壌を地球に持ち帰るサンプルリターンに向けて前進した。月面探査で米国に先行することで国威発揚を狙い、「宇宙強国」の確立をめざす。
中国当局によると、4日午前7時38分(日本時間同8時38分)に月裏側で土壌サンプルや岩石を採取した…
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『中国当局によると、4日午前7時38分(日本時間同8時38分)に月裏側で土壌サンプルや岩石を採取した着陸機が離陸し、月の周回軌道に入ることに成功した。月裏側の地形や土壌の構造分析などの調査分析も計画通り行った。
月の裏側は隕石(いんせき)の衝突の跡が多く、地形も複雑だ。約2キログラムの土壌サンプルを解析し、将来の月面開発などに役立てるとみられる。着陸機に搭載した欧州宇宙機関(ESA)、フランス、イタリアの観測機なども正常に稼働したという。
月の裏側は地球からの電波が届かないため直接交信ができない。3月に打ち上げた通信衛星「鵲橋(じゃっきょう)2号」を中継することで、地球から嫦娥6号をコントロールする仕組みだ。
嫦娥6号は5月3日、中国南部の海南省から大型ロケットで打ち上げられた。30日に月面で土壌サンプルを採取する着陸機を切り離し、6月2日に月裏側に軟着陸。約2日かけて月の裏側で土壌サンプルの採取などを手掛けていた。
月を離陸した着陸機は今後、月の周回軌道に待機している帰還機とドッキングし、6月下旬に内モンゴル自治区に帰還する計画だ。今回の月裏側からのサンプルリターンの成功をテコに、月面基地の建設や月面での資源開発を前進させる。
中国は19年に嫦娥4号を世界で初めて月の裏側に軟着陸させた実績を持つ。20年には嫦娥5号で米国、旧ソ連に次ぐ3カ国目として44年ぶりに月の土壌サンプルの持ち帰りに成功しており、今回の取り組みにつなげた。
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