東南アジア 前近代総合

東南アジア 前近代総合
https://www.y-history.net/wh_mondai/mondai_tiiki/m_tonan-asia-01.html

『2011 龍谷大学

【問】次の文(1)・(2)を読み、下の問い(問1~問15)に答えなさい。

(1)インドシナ半島では. 1世紀項に、東南アジア最古とされる統一国家、扶南が①メコン川下流域に建国された。その民族については、( 2 )ともマレー人とも言われている。扶南から真臘へ、そして9世紀に成立したアンコール朝へと③カンボジアの歴史は続く。
 カンボジアは、豊かな水資源を利用して農業開拓をすすめ、河川の水運を活用した交易によって発展した。しかし④13世紀頃より台頭してきたタイ人諸勢力により、アンコール朝は次第に圧迫され、1431年にアンコールの都を放棄してプノンペンに移すことになる。
 一方、インドシナ半島東部の⑤ヴェトナムは、北に中国と隣接する位置関係から、中国の文化的な影響を大きく受けるとともに、⑥中国に成立した各王朝からの支配をも受けた。しかし唐の衰亡とともに独立を果たし11世紀にはヴェトナム北部に李氏が⑦大越国を建国した。その後、いくつかの王朝の興亡を経て、19世紀には( 8 )の保護国となり( 8 )領インドシナ連邦に組み込まれた。

問1
 ①について。メコン川の位置として正しいものを、次の中から一つ選びなさい。

① A   ② B   ③ C   ④ D   ⑤ E 

問2
 空欄( 2 )に入れるのに適当なものを、次の中から一つ選びなさい。
①チャム人  ②シャン人  ③モン人  ④シンハラ人  ⑤クメール人
問3
 ③について。カンボジアの歴史に関する記述として誤っているものを、次の中から一つ選びなさい。
 ①
扶南の貿易港からローマ貨幣が出土した。
 ②
フエ(ユエ)は真臘の貿易港である。
 ③
真臘は唐に朝貢した。
 ④
アンコール朝は分裂した陸真臘と水真臘を統一した。
問4
 ④について。以下の王朝の中でタイ人王朝として正しいものを、次の中から一つ選びなさい。
①チョーラ朝  ②コンバウン朝  ③クディリ朝  ④アユタヤ朝  ⑤トゥング一朝
問5
 ⑤について。ヴェトナムにおける中国文化の影響に関する記述として正しいものを、次の中から一つ選びなさい。
 ①
両班という特権階級が形成された。
 ②
交鈔という紙幣が発行された。
 ③
字喃という文字が作られた。
 ④
ワヤンと呼ばれる影絵芝居が行なわれた。
問6
 ⑥について。ヴェトナムと中国各王朝との関係に関する記述として誤っているものを、次の中から一つ選びなさい。
 ①
漢は南海郡を設置してヴェトナム全域を支配した。
 ②
唐はヴェトナムに安南都護府を設置した。
 ③
明の永楽帝はヴェトナム北部を併合した。
 ④
ヴェトナム最後の王朝である阮朝は清を宗主国とした。
問7
 ⑦について。大越国の王朝に関する記述として誤っているものを、次の中から一つ選びなさい。
 ①
李朝(大越国)はサイゴンに都を置いた。
 ②
陳朝はモンゴル軍の侵略を退けた。
 ③
西山(タイソン)党の反乱によって黎朝がほろんだ。
 ④
玩朝は国号を越南とした。
問8
 空欄( 8 )に入れるのに適当なものを、次ぎの中から一つ選びなさい。
①イギリス  ②オランダ  ③アメリカ  ④フランス  ⑤スペイン

(2)アンコール朝の歴代の王たちは、アンコール=トムや⑨アンコール=ワットなどの壮大な石造りの建築物を次々と造営した。アンコール=ワットは、12世紀前半に( 10 )が造営したヒンドゥー教寺院であった。回廊の壁面はインド文学に題材をとった浮き彫りで飾られ、あるいは神と王を合体させた特別な神像も作られた。このように⑪インド文化の影響を強く受けつつカンボジアの民族文化を開花させていった。
 しかし後にアンコール=ワットは⑫仏教寺院へと改築された。16世紀末から17世紀前半にかけて、日本の貿易船が東南アジア各地に航行し、アンコール=ワットを訪れる日本人のいたことが記録に残されている。
 ところで、 8世紀にはイスラーム世界の成立にともなって、⑬ムスリム商人がインド洋をわたり、マラツカ海峡をこえ、交易路を拡大して東南アジアや中国に進出してきた。また10世紀には宋の経済発展にともない海の道の交易が飛躍的に発展した。⑭マラッカ海峡は、このようにインド洋と南シナ海をむすぶ海上交易の要衝となり、⑮マラッカなどその海域周辺の諸国が交易の主導権をめぐり勢力を競った。

問9
 ⑨について。アンコール=ワットはどれですか。正しいものを、次の中から一つ選びなさい。

① A   ② B   ③ C   ④ D   ⑤ E 

問10
 空欄( 10 )に入れるのに適当なものを、次の中から一つ選びなさい。
①ラーマ4世 ②スールヤヴァルマン2世 ③ハルシャ=ヴァルダナ ④パーブル ⑤ティムール
問11
 ⑪について。インド文化に関する記述として誤っているものを、次の中から一つ選びなさい。
 ①
ヒンドゥー教の神に破壊神としてのシヴァがいる。
 ②
クシャトリヤはバラモンより下位の階級である。
 ③
『マハーバーラタ』はサンスクリット語で書かれた叙事詩である。
 ④
『アヴェスター』はヒンドゥー教の聖典である。
問12
 ⑫について。東南アジアの仏教に関する記述として正しいものを、次の中から一つ選ぴなさい。
 ①
ヴェトナムでは仏国寺が建てられた。
 ②
チャンパーではポタラ宮殿が建てられた。
 ③
パガンでは上座部の仏教寺院が建てられた。
 ④
ジャワ島ではプランバナン寺院群が建てられた。
問13
 ⑬について。ムスリム商人に関する記述として誤っているものを、次の中から一つ選びなさい。
 ①
ジヤンク船という三角帆の帆船による交易を行なった。
 ②
奴隷をも交易品として扱った。
 ③
東南アジアのイスラーム化に貢献した。
 ④
カーリミー商人と呼ばれたムスリム商人の拠点はカイロにあった。
問14
 ⑭について。以下の人物の中でマラッカ海峡を通らなかった人物として正しいものを、次の中から一つ選びなさい。
①義浄  ②イブン=バットゥータ  ③マルコ=ポーロ  ④鄭和  ⑤マゼラン(マガリャンイス)
問15
 ⑮について。
(a)
マラッカと周辺諸国に関する記述として誤っているものを、次の中から一つ選びなさい。
 ①
シュリーヴイジャヤはスマトラ島のパレンパンを交易の拠点とした。
 ②
マラッカは明の支援をうけて国際貿易港として急成長した。
 ③
ヒンドゥー教国家のマタラムはマラッカと主導権を競った。
 ④
16世紀初めマラッカを占領したのはポルトガルである。
(b)
ヨーロッパ勢力のマラッカ占領後、ムスリム商人を受け入れたスマトラ島北端のイスラーム教国を何といいますか。正しいものを、次の中から一つ選びなさい。
①アチェ ②ジョホール ③バンテン ④マラーター ⑤ヴィジャヤナガル

解 答 解答欄ごとにクリック。全解答を表示するには右上の「全解答表示」をクリック。クリアは左上のメニューで選択。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
② ⑤ ② ④ ③ ① ① ④ ④ ②
11 12 13 14 15(a) 15(b)
④ ③ ① 解答不能 ③

解説

問3
フエは中部ベトナムのチャンパ国に含まれている。
問6
漢の南海郡は中国の南部。
問7
大越国の都はハノイ。
問11
アヴェスターはゾロアスター教の経典。
問12
①は新羅、②はチベット、④のプランバナンはヒンドゥー教の寺院群。
問13
ジャンクは中国船。
問14
マゼラン船団はマラッカ海峡を通過しているが、マゼラン自身はフィリピンで死んでいるので、これを正解としたかったのであろうが、実は彼は世界周航の前に、ポルトガルのアルブケルケの部下として東南アジアで活動しており、そのときマラッカ海峡を通過しているので、該当しない。他のすべてもこの海峡を通っているので、正解なしとなる。大学の出題ミス。 』