チェコが主導するウクライナ向け砲弾の域外調達、大半の国が資金を送ってこない

チェコが主導するウクライナ向け砲弾の域外調達、大半の国が資金を送ってこない
https://grandfleet.info/european-region/czech-republic-leads-procurement-of-artillery-shells-for-ukraine-but-most-countries-refuse-to-send-funds/

『2024.05.29

チェコはウクライナ向け砲弾の域外調達を主導しており、フィアラ首相は28日「数日以内にウクライナが初回出荷分を受け取れる」と述べたものの、ヤナ・チェルノホヴァ国防相は「援助を表明した国の大半が資金を送ってこない」「借金で弾薬を購入することは出来ない」と訴えた。

参考:Czechia urges allies to meet commitments, fund ammunition for Ukraine
覚書に署名した国が資金を送ってこなければ30万発分以降の契約が締結できない

チェコのパベル大統領はミュンヘン安全保障会議で「購入可能な155mm砲弾50万発と122mm砲弾30万発を発見した」「米国、ドイツ、スウェーデンなどのパートナーから資金が得られれば数週間以内にウクライナへ届けられる可能性がある」と言及、このイニシアチブにはカナダ、英国、ドイツ、フランス、ポルトガル、オランダ、デンマーク、スウェーデン、ベルギー、ノルウェー、フィンランド、ラトビア、リトアニアなど18ヶ国が資金援助を表明。

出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Ryan Ramsammy

フィアラ首相は3月「第1バッチ=砲弾30万を購入するのに十分な資金が集まった」と述べ、Financial Timesに寄稿した記事の中で「これまでに砲弾18万発の契約を締結した」「この砲弾は数ヶ月以内にウクライナの前線に届けられる予定だ」と明かし、28日には「約束した155mm砲弾数万発が6月に納品される」「ウクライナは数日以内に最初の出荷分を受け取れるだろう」と述べたものの、未だに資金援助を表明した大半は国はチェコに資金を送金していないらしい。

ヤナ・チェルノホヴァ国防相はEuractivの取材に「多くの国がイニシアチブの覚書に署名したものの、まだ資金を送金してこない国がある。我々は借金で弾薬を購入することは出来ないため、覚書に署名した国は資金を送金してほしい」と述べ、現時点でカナダ、デンマーク、オランダ、ポルトガルしか弾薬購入の資金を送金していないと付け加えている。
出典:Petr Pavel

因みにパベル大統領は3月「我々が発見した砲弾80万発を購入するための資金を集め終わった。後は我々の手腕にかかっている。次のステップはチェコ政府が契約を締結することで、この取り組みに参加した全ての国に今後のスケジュールや状況を報告する」と言及したが、ポジャール首相補佐官は「大統領の発言はイニシアチブ全体ではなく初回バッチをカバーできるという意味」と、フィアラ首相も「最初のバッチである砲弾30万を購入するのに十分な資金を集めることが出来た」と述べた。

要するにパベル大統領の発言は「各国が表明した資金援助の合計は砲弾80万発を購入するのに十分な額」と、ポジャール首相補佐官やフィアラ首相の言及は「実際に送金されてきた資金援助額は初回バッチ=砲弾30万発の契約締結分しかカバーできない」という意味で、ヤナ・チェルノホヴァ国防相は「(資金拠出のタイミングや事情があるにしても)覚書に署名した国が資金を送ってこなければ30万発分以降の契約が締結できない」と言いたいのだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 50 』

『 名無し
2024年 5月 29日

返信 引用 

こいつら本当に豊かなんか?
30

たむごん
2024年 5月 29日

返信 引用 

そんなもんですよ。

世論・資金効率・停戦の可能性を考えれば、できる限り支払先送りした方が有利になるのがカラクリです。

外交面で見れば、小国に(チェコ)、大国の国々が簡単に華を持たせるつもりがないということかもしれませんね。
29 』