大統領執務室と戦場の溝、ゼレンスキーは正しい情報を受け取っていない

大統領執務室と戦場の溝、ゼレンスキーは正しい情報を受け取っていない
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/between-the-oval-office-and-the-battlefield-zelenskyy-is-not-receiving-the-correct-information/

『2024.05.21

Economistは20日「ハルキウで戦う多くの兵士らは短時間でロシア軍が前進したことに怒っている」「少なくともウクライナの美しい公式見解は人々を落ち着かせるのに役立っていない」と指摘し、指揮官や政府関係者は「ゼレンスキーは前線の状況を把握していない」と述べた。

参考:Ukraine’s desperate struggle to defend Kharkiv

執務室で受ける報告と前線の状況に異差が生じているのかもしれない

Economistは20日「これほど早くロシア軍が前進できたことにハルキウで戦う兵士の多くが怒っている。支援の遅れが防衛能力を弱体化させたと考える者、無能さや裏切り者が重要な役割を果たしたと考える者、キーウやワシントンの政治家が和平合意前にハルキウを売り渡そうとしているのではないかと疑う声もあるが、少なくともウクライナの美しい公式見解は人々を落ち着かせるのに役立っていない」と指摘し、ウクライナ人将校や政府関係者は「ゼレンスキー大統領は前線の状況を把握していない」と述べた。

出典:Denis Yaroslavsky ヤロスラフスキー氏とブトゥソフ氏

諜報部隊の指揮官を務めるデニス・ヤロスラフスキー氏は12日「大金が防衛強化に投入されると信じていたが実際には無いもない。誰かが大統領に『この地域は要塞化されている』とデタラメを吹き込んだんだ。ボルチャンスクやストリレチャを再び奪還する?これは何だ?サボタージュか?愚かな窃盗か?この事態に誰が責任を負うのか?この地域を2年前に取り戻した軍人の殆どは生き残っていない。どうしてなんだ?」と不満をぶちまけたが、Economistの取材に「大統領には耳障りの良い情報しか届けられていない」「もっと大統領は前線の状況に耳を傾けるべきだ」「プーチンと同じ書類中心のやり方を真似るべきではない」と批判。

匿名の政府関係者も「ゼレンスキーは正しい情報を受け取っていないと感じているようだ」「少なくともゼレンスキーは将軍にそう怒鳴っている」と明かし、ハルキウの州当局者も「ウクライナ軍の精強さに関する楽観的な報道が住民避難に様々な問題を引き起こしている」「2022年に占領されたハルキウ州は他の地域よりも占領政策が緩やかだったため、再び占領されても自身の生活に大きな影響が出ないだろうと誤解している人も多い」と述べた。

出典:Головне управління ДСНС України у Харківській області ハルキウ北東部から避難する住民

ロシア軍の再侵攻を受けてハルキウ州北東部では住民の避難が始まっているものの、生まれ育った土地や家から離れたくない、年金生活のため避難資金がないなど様々な理由から避難を拒否する高齢者も多く、対象者の親族、州、警察、軍関係者が粘り付く良く説得を続けているが、ハルキウ州北東部に住む75歳のウクライナ人男性は「これ以上悪くならないとテレビもラジオも言っている。ロシア軍は負けているし、増援も来るので敵はここまでやって来ない」と娘の説得に反論したらしい。

因みにゼレンスキー大統領は17日の会見で「この数年の戦争で初めて全旅団から『砲弾がない』と不満を言われなくなった。(砲弾不足が解消された)状況は約2ヶ月間ほど続いている」と明かしたが、ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏も「この発言は前線にいた軍人のほぼ全員を唖然とさせた」「前線の実情を知らない最高司令官は側近の間違った助言を口にしただけだ」と指摘しており、執務室で受ける報告と前線の状況に異差が生じているのかもしれない。

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※アイキャッチ画像の出典:ПРЕЗИДЕНТ УКРАЇНИ
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ウクライナ戦況 コメント: 78  』

『 nachteule
2024年 5月 21日

返信 引用 

 ウクライナ単体で勝てないのは最初からわかっていた話でしょ?今更何言ってんの。

 各種武器の供与、衛星情報含め各種情報の提供、戦術や訓練の提供、建機の提供や医療関係、資金、etcをあれだけ注入してようやく持っているんだし。

 ウクライナ単独で勝つつもりならスイスばりに国民総兵の焦土作戦上等とか。戦場まで移動するのに徒歩でも構わないしなんなら物資も自転車含めて人力でもやり切るぐらいの覚悟して戦力を潰す手間を増やすような事をしないと大国には勝てないよ。昔のフィンランドだってシモヘイヘに代表される兵士達がソ連に多大な損害与えてはいるけど実際負けてるしな。

 言い方悪いけどウクライナが持つそれなりの戦力を持つ部隊全てが真っ当な軍隊ってイメージは無い。軍務経験があるインフルエンサーが旅団のNo2(リクルートやお金集めにプラスだから)とか、極右に集まりで新兵いじめとか訓練すらろくにしないで戦線投入とか実態知ったら支援を考えるレベルの集団を使わざるを得ないのが実情なんだし。
6 』

『 匿名
2024年 5月 21日

返信 引用 

これからウクライナは継戦派と停戦妥協派の内紛のリスクも抱えそう、このまま劣勢が続いて停戦派が多数になった時、停戦派が任期切れの彼に正統性は無いと言ってロシアと交渉を始める可能性も完全には否定出来ない…
38

    ミカ
    2024年 5月 21日
    返信 引用 

今のウクライナの内部のゴダゴダは継戦派の権力闘争だと思われる。
勝てないのはゼレンスキーやシルスキーが無能だからだという声。
ザルジニーを更迭した時に政府批判していた人達の声がまた大きくなってきていて一部は過激化している。
ロシアで言えば継戦派間の内ゲバだったプリゴジンの乱が似ている。
停戦派は動員される市民レベルでネット上の運動は活発化してるが、指導者不在でまだ暴動や革命の危機とはほど遠い。
有力な停戦派の指導者がいないのはウクライナもロシアも同じ。
ゼレンスキーが辞任したとて次の大統領候補とされる面々に停戦派は一人もいないのが現実。
20 』

『 2024年 5月 21日

返信 引用 

任期切れの自称大統領に情報入るかどうかがそんなに重要なことなんだろうか
とっくにルーデンドルフ独裁のような体制になってそうなものだが
20

     
    2024年 5月 21日
    返信 引用 

そっかゼレンスキー任期切れたんだな。こっからどうするんだろう
16 』