ロシア軍によるスームィ州侵攻の可能性、国境地域で住民避難が始まる
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/possibility-of-russian-military-invasion-of-sumy-oblast-evacuation-of-residents-begins-in-border-areas/

『2024.05.14
ウクライナ人軍事アナリストのオレクサンドル・ムシエンコ氏は「ロシア軍がスームィ州に対する攻勢を準備しているかもしれない」と警告していたが、ウクライナメディアは「スームィ州の国境地域で住民の避難が始まった」と報じている。
参考:Ціль – взяти Харків у напівоточення. Що треба знати про новий наступ РФ
参考:Почалась евакуація з іще двох міст на Сумщині
この問題だけは完全にウクライナ側の怠慢で、その代償は兵士の血で支払われることなる
RBC-Ukraineの取材に応じたウクライナ人軍事アナリスト=オレクサンドル・ムシエンコ氏は「敵の攻勢阻止に失敗すればボルチャンスク方向のロシア軍はビリィ・コロディアズに進むだろう。さらにリプシ周辺まで前進を許すとハルキウの北部郊外と東郊外が敵の砲撃圏内に収まってしまうと理解すべきだ。ロシア軍はオクチャブリスキーからコザチャ・ロパン、グライヴォロンからヴェリカ・ピサリフカやアフトゥイルカへの攻勢を準備しているかもしれない」と警告。
出典:管理人作成(クリックで拡大可能)
ボルチャンスク方向からビリィ・コロディアズへの前進はクピャンスク方面への圧力、リプシ方向への前進はハルキウに対する圧力、コザチャ・ロパン方向の前進はハルキウの西側面に対する圧力、アフトゥイルカ方向への前進はハルキウの西側面とスームィの南側面に対する圧力として作用し、現在のウクライナ軍に致命的な問題を引き起こすかもしれない。
ウクライナは動員法改正案の可決に半年以上も時間を浪費してしまい、昨年夏の攻勢、アウディーイウカを巡る戦い、チャシブ・ヤールを巡る戦いで被った人的損失の穴は埋められておらず、慢性的な兵士不足に陥ったウクライナ軍はドネツク方面の攻勢にジリジリと後退を余儀なくされているのだが、ここに振り向けるべき戦力がハルキウ方向に転用されればドネツク方面が苦しくなるのは誰の目にも明らかだ。
出典:СИРСЬКИЙ
要するにロシア軍の狙いは「数が多い方が有利な戦い」をウクライナ軍に強要することで、ハルキウ方面で軍事的な成功を収めるかどうかは副次的な要素に過ぎず、戦場の主導権を失っているウクライナ軍にとっては「ロシア軍に有利な戦いに付き合うか」「領土を放棄して時間を稼ぐか」の2択しかない。
ムシエンコ氏の警告が当たるかどうかは不明だが、ウクライナメディアは「スームィ州のヴォロズバやビロピリアでは住民の避難が始まった」と報じており、ロシア人らは「スームィ方面でも何かが起こるかもしれない」と言い始めている。
出典:Генеральний штаб ЗСУ
武器不足は米支援の停滞に原因があり、これをウクライナ人の努力だけでカバーするのは不可能な話だ。
しかし、兵士不足は半年以上も前から予見され、前線で戦う兵士、指揮官、アナリスト、メディアが何度も警告していた問題で、これはウクライナ人自身にしか解決できないため動員遅延の代償は兵士の血で支払われることなる。
追記:ウクライナ国防省情報総局のブダノフ中将はNew York Timesの取材に「ロシア軍がスームィ州で新たな攻勢を開始するかもしれない」と述べた。
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ウクライナ戦況 コメント: 37 』